赤木川 支流 小口川 支流 滝本北谷
滝本北谷
屏風滝
| 所在地 | 和歌山県新宮市
![]() |
|---|---|
| お勧め度 | ★★★★★ |
| 難易度 | ◆◆◆◆ |
| 訪問日 | 2025/08/15 |
2025年08月15日
煉獄とは──
『天国と地獄の狭間』『清めの時間』『清めの火』
生前に犯した罪を炎で浄化する。
その苦罰によって清められた後、天国に入る。
その名を冠する技が、「喧嘩稼業」という格闘技の漫画の中に登場する。
一撃必殺ではなく、連撃必殺。
倒れる事さえ許されぬ連打を叩き込まれ続ける。
それが進道塾の秘伝『煉獄』。
恐ろしい大技を食らったような錯覚をこの滝本北谷で味わう。
つまりはこういう事だ。
誤解があると困るので、説明させて頂く。
この谷は危険だとか怪我をするとかの恐ろしい谷ではない。
むしろ逆。
感動を余儀無くされる素晴らしい滝が怒涛の如く現れては歓喜し、昇天するかのように呆然としてしまう様を表現したかったのです。
これでもかと言わんばかりの滝の連撃。あなたはその衝撃たる様々な滝との出会いに正気は保てるのか試して頂きたい。
きっと天国へと向かう狭間に陥る事になるでしょう。
エロの視点から述べるなら、
「お兄さんお兄さん、いい娘揃ってまっせ!
若い娘から熟女の人妻。ギャルもいればロリッ娘も。
絶対にお眼鏡に叶いますんで。一時間八千円ポッキリです。
AFも行けますよ! 寄ってって下さいよ!」って言われてるのと一緒だ。
昇天しちゃうでしょう?
あれ、この説明は逆に不信感が出ちゃうかな。
でもこの勧誘で生唾飲み込んだ人もいるだろう(いるはずだ!)
いやいやいや、お約束しますよ。
貴方も知らないアナタの特別な笑顔が作られる。
完璧な滝巡りです。
今年の夏はフグさんと過ごす。お互いにメインにしていたのがこの滝本。
紀伊半島は本当に遠い。
気力、体力、資金力、休日取得力、家族説得力と数多の力をフル活用しないとなかなか来れません。
まして那智勝浦町は紀伊半島でもほぼ最南まで来るので大変なもんです。
前日は五ヶ所滝を楽しんだので、今日はゆっくり目のスタート。
国道168号から南下して走って来たのだけど、県道44号の狭さがキツい。
崖っぷちなのに、道路幅が狭いのでハンドルさばきに凄く気を遣う。
四国の酷道よりはマシだけど、相当滅入りました。
駐車場所は下山路の事も考えて、北谷の林道終点には進まず、県道44号沿いの空きスペースを利用。
北谷の往復なら、林道終点まで車で進める所まで走った方が楽でしょう。
空地から歩き始めです。
まずは滝本小学校跡地から東へ折れて、林道を進みます。
この跡地にも駐車出来るようだけど、車を置ける感じがしませんでした。
林道の終点までアスファルトで歩きやすいです。
そして終点には早速、滝が現れます。
筆藪の滝です。
広い滝壺が印象的です。滝前は砂地があってのんびり寛げるのが良い点ですね。
ここは右岸から簡単に越えられます。
踏み跡があるだろうと思ってましたが、以外と薄くてよく分からなかったですが、適当に進めば大丈夫です。
滝を右手に見つつ越えたのを確認出来たら、ゆっくりと斜面を下っていくと北谷に戻れました。
そこから穏やかな谷を遡上していくとやがて右岸の支流から滝が落ちているのに気付きます。
が、ここは後で来るので立ち寄らずスルー。
そのまま本流を進むと部屋滝の登場。
両岸共に高く、絶壁に囲まれた滝。
北向きなので時間を調整すれば光芒を望めます。
撮り応えのある滝なので、カメラマンに人気があるようです。
私達がここに来たときは太陽が滝壺に光を刺して、深く鮮やかなエメラルドグリーンの滝壺がそれはもうキラッキラと輝いていました。
季節は真夏。そんな暑い最中に美しさ溢れる滝壺を魅せられたら、誘惑に駆られてしまうのは佐賀・・じゃなくて性でしょうよ。
メガネを外して岩場からダイブ! 宝石箱の中に飛び込む! 深い滝壺に突き刺す光が剣のようで勇ましい。
ゴーグルがあれば水中の芸術をもっと楽しめたのだろう、忘れたのが悔やまれる。入れたと思ったんだけどね。
滝壺の輝きを堪能し、十分に満足したら、上流を目指します。
この絶壁を巻くのは結構遠回りをしなければなりません。
その為に先ほど右岸支流から流れていた滝まで戻ります。
猿手の滝です。支流にある小さな滝で、特徴はあまりないので通過点の目印といった所でしょう。
滝を正面にした右手の岩壁に高巻き道が設けられています。
急斜面を一気に登る緊張感のある高巻きな感じなんですが、そうでもないです。
というのも、これでもかと言わんばかりに補助ロープが沢山垂れ下がっているので掴み放題です。
怖い所もロープがあれば安心ですね。ていうか多過ぎで逆に秘境感が減少しちゃって興醒めなくらいでした。
部屋滝の落ち口を眺めつつ、上流に向かいます。
ちなみにこの部屋滝の落ち口からジャンプする人もいるようです。滝壺はすごく深いので安全なんでしょうけど、高さがあり過ぎて無理っす。
さてさて次に現れるのは溜湾殿滝。
ここはナメ。圧倒的ナメ。
こんなに遊べる滝ってあるの? 完全な滑り台じゃないの。
って事で高巻き道の左岸を登っていって、落ち口からしっかり滑らせて貰いました。ナイスアクティビティーです。
全身濡れまくってウキウキになったら、改めて左岸から巻き終えて上流へ。
この先には今では使われていない取水堰?があります。唐突に現れる人工物にビックリしますが、なんか調和が取れてて良い感じでした。
この滝本北谷はボコボコの大岩が転がっています。それが多角形をしていて、神殿の柱が倒れた廃墟感があります。
だから人工物も違和感がなかったのでしょう。その大岩を越えるにはよじ登ったり潜ったりとけっこう力技でした。
ちなみにその柱のような巨岩を見ていると、MSX版のグラディウス2のステージを思い出してしまい、そのステージの音楽を口ずさんでいました。
次いでケヤキ原の滝。
分岐瀑と直瀑のハイブリッド。
水勢は強く激しく、かつ岩に当たって分岐した水は複雑な流れで落ちてくる。
それが末広がりに迫ってくる贅沢極まりない形状。
これは惚れる。ヤバい。
カッコいいし可愛い。
癒やしだけではなく、迫力でも魅せてくれる滝本北谷の器の広さと深さは凄まじい。
もう技のデパート過ぎて呆れる。
スケールの大きな滝で、飛沫も豊富なのが最高だね。滝前は大岩が転がりまくってて寛げないのがやや残念な点でしたが。
大きなケヤキ原の滝を巻くのは左岸から。
大きな滝なので、大きく巻く事になります。と言っても優しい高巻きです。
左岸に聳える岩壁に近付けば踏み跡が見えます。
その岩壁を回り込んで行きますが、最初は高く手が付けられないので、滝から離れるように岩壁沿いに進んでいくと徐々に岩壁が下がってきて、やがて足が乗れる斜面となり登って行きます。 踏み跡もあるし、とにかく登れば良いです。
すると無事に高巻きを終えてケヤキ原の滝の落ち口に到着。安全な巻きでノンストレス、有り難い優しさです。
そして現れる屏風滝。
私はこの滝に惚れ込んでいました。いつか逢える日を楽しみにしていたのです。
ようやくお逢い出来ましたね。待ち望んでいましたよ。
あなたはやはり輝いております。美しいをこえて「ふつくしい」でございます。
端正という言葉がお似合いですね。はっきり四角形。
横幅、縦幅、ほぼ同じって相当レアですよ。
ここの演出が凄いのはそれだけではなく、手前に広がる滝壺で屏風滝がリフレクションされているのが憎いじゃないの。
一石二鳥というか、一目二滝な気分。輝く水面に写し出される屏風の姿。
この滝ならではの美しさには見惚れてしまいました。
更にそれだけではありません。真下に行けば直瀑の迫力が堪能出来ます。
しかもそれが見上げる角度によって迫力の度合いを変えるし、飛沫の塩梅も調整してくれるので、お好みの具合を探すのも楽しい。
ってかどこにいてもええ空間でございますよ。
楽しすぎて色々場所を移動していたんですが、岩の上に乗ろうとしたら思いっきり滑って後逸し、その勢いで後ろにある岩に衝突。
それがお尻の境にジャストヒット。尾骨にズコンと衝撃を受けた。
カンチョーされた綾南の田岡監督の気分を味わった。
ズキンズキンときて悶えたが、やがて痛みは落ち着いたので、屏風滝へと気持ちを戻した。
滝前は広くてのんびり出来ます。ヒルさんを見つけてほんのちょっとテンション下げたけど、この滝の前では些細な事です。気にせず出逢いを楽しみましょう。
屏風滝とその下のケヤキ原の滝、どちらも甲乙つけがたい素晴らしい滝ですが、個人的には屏風滝が勝ります。
これについてはホント人の価値観は様々なので、どれがベストフォールなのかは変わるのでしょう。
屛風滝の巻きは左岸から。
全く難しくない優しい巻き道に導かれて落ち口上へと着くと、すぐに斜瀑の登場。
亀壺の滝です。
屏風滝落ち口のテーブルマウンテンが広がる開放感は抜群。
落ち口に近づき過ぎると落ちちゃうかも知れないから気をつけてね。
この滝の魅力の一つ、めちゃ深い滝壺。
ポットホールなのかな。悠久の時と水流で岩肌を削り深く深くなったのだろう。
その美しさは魔性の魅力。
ここでは太陽が出て、滝が光に照らされて輝きまくってます。
そして私がいつかはやりたかった夢がここで叶った。
それがトップに載せている動画です。
甌穴などのフラットの足場から歩いて、一気に水没するってのを北海道の沢登りのホームページで見て、鼻水吹き出すほどに笑わせて貰った。
これを自分でもやりたいなぁっていつも思っていたけど、そんな環境がなかなか見つからなくて、ついにここで実現出来ました。
もう一度、ここにも出しておきます。ぜひ音量ONで見て頂きたい!
何度見てもオモロいわ。
撮影して頂いたフグさんに感謝。
やりたい事の意図をすぐに汲んで頂き、一発撮りで成功したのはフグさんのセンスの賜物です。さすが変態!
ちなみに(わざと)落ちた時、滝壺の底には足がつかなかったので、かなり深いんでしょうね。
全身ずぶ濡れになりながらも爽快感は抜群で、これだから夏の沢は楽しい。
亀壺の滝は右岸で高巻く。
ここからは癒やしの滑床歩き。
ナメ歩きって、ただ歩いているだけなのに、なんでこんなに楽しいのだろう。
よく分からないけど、なんかにやけちゃうよね。
名のあるラストの滝、比丘尼滝の登場。
大きな滝壺に大きな広場。開放的に寛げて気持ち良い環境。ここでは滝を見ながらのんびり食事を楽しみました。
この滝は左岸から小さく巻きました。
その先には無名のナメ&多段の滝。
今日は水量が多く、渡渉するのはちょっと緊張しました。カッコいい滝なのになんで名前がないのか不思議です。
滝の先も難所はないので気ままに進んでいくと、遡行打ち切りとなる堰堤が出てきてここでストップ。
まだ上流(一旦道路へ出た先)にも滝はあるけど、結構離れているのでここで良しとしました。
帰りは本谷と北谷の間にある尾根を進みます。
ここには巡視路があるので、安全に戻れるのです。
堰堤から左岸を見れば、明確な道が見えます。それが巡視路です。
階段も設けられていて安心な登り。
と思ってたら途中で道を見失っちゃった。
まあ踏み跡は見えるんで、気にせずに斜面を登っていけばコル(窪地)に着くと思っていたら、やや離れた所に登ってしまっていた。
尾根に出れば道はバッチリなので踏み跡に乗ります。
巡視路をちゃんと辿れなかったのは謎ですが、帰路に問題はありません。
中盤からは鳥獣除けのネットを外したり付けたりが面倒臭いけど分かりやすい道を下っていって、終盤は太いパイプの脇にある鉄階段を下りればゴール。
民家横に出たのにはビックリしたけど、そのまま道路に出れば駐車した空き地へと戻って来ました。
帰り道は少々長いけれど、安全に気楽に帰れるだけ有り難いです。
北谷、そのどれもが素晴らしい。完璧とはこの事だろう。
滝に出会うまでの道のりってのは苦行であり、それが至難であればあるほど感動は大きく思い入れも強くなると思っていましたが、それは北谷で覆されました。
帰り道が面白くないのは否定しないけれど、谷を歩いている時は全てが楽しい楽しすぎる。
強いて言うなら笑いすぎて咽せちゃうような苦しさだけだ。
映画「ラストサムライ」で渡辺謙演じる勝元のセリフを思い出す。
「完璧な花にはめったに出会えない。完璧な花を探し求めるために人生を過ごすことは、決して無駄ではない」
そして私はこの滝本北谷で出会えた。
『perfect! its all perfect』
ならば、これで滝巡りは終わりか?
まだだ、まだ終わらんよ。
まだ見ぬ滝へ。新たな感動を求めて。
『天国と地獄の狭間』『清めの時間』『清めの火』
生前に犯した罪を炎で浄化する。
その苦罰によって清められた後、天国に入る。
その名を冠する技が、「喧嘩稼業」という格闘技の漫画の中に登場する。
一撃必殺ではなく、連撃必殺。
倒れる事さえ許されぬ連打を叩き込まれ続ける。
それが進道塾の秘伝『煉獄』。
恐ろしい大技を食らったような錯覚をこの滝本北谷で味わう。
つまりはこういう事だ。
誤解があると困るので、説明させて頂く。この谷は危険だとか怪我をするとかの恐ろしい谷ではない。
むしろ逆。
感動を余儀無くされる素晴らしい滝が怒涛の如く現れては歓喜し、昇天するかのように呆然としてしまう様を表現したかったのです。
これでもかと言わんばかりの滝の連撃。あなたはその衝撃たる様々な滝との出会いに正気は保てるのか試して頂きたい。
きっと天国へと向かう狭間に陥る事になるでしょう。
エロの視点から述べるなら、
「お兄さんお兄さん、いい娘揃ってまっせ!
若い娘から熟女の人妻。ギャルもいればロリッ娘も。
絶対にお眼鏡に叶いますんで。一時間八千円ポッキリです。
AFも行けますよ! 寄ってって下さいよ!」って言われてるのと一緒だ。
昇天しちゃうでしょう?
あれ、この説明は逆に不信感が出ちゃうかな。
でもこの勧誘で生唾飲み込んだ人もいるだろう(いるはずだ!)
いやいやいや、お約束しますよ。
貴方も知らないアナタの特別な笑顔が作られる。
完璧な滝巡りです。
今年の夏はフグさんと過ごす。お互いにメインにしていたのがこの滝本。
紀伊半島は本当に遠い。
気力、体力、資金力、休日取得力、家族説得力と数多の力をフル活用しないとなかなか来れません。
まして那智勝浦町は紀伊半島でもほぼ最南まで来るので大変なもんです。
前日は五ヶ所滝を楽しんだので、今日はゆっくり目のスタート。
国道168号から南下して走って来たのだけど、県道44号の狭さがキツい。
崖っぷちなのに、道路幅が狭いのでハンドルさばきに凄く気を遣う。
四国の酷道よりはマシだけど、相当滅入りました。
駐車場所は下山路の事も考えて、北谷の林道終点には進まず、県道44号沿いの空きスペースを利用。
北谷の往復なら、林道終点まで車で進める所まで走った方が楽でしょう。
空地から歩き始めです。
まずは滝本小学校跡地から東へ折れて、林道を進みます。
この跡地にも駐車出来るようだけど、車を置ける感じがしませんでした。
林道の終点までアスファルトで歩きやすいです。
そして終点には早速、滝が現れます。
筆藪の滝です。
広い滝壺が印象的です。滝前は砂地があってのんびり寛げるのが良い点ですね。
ここは右岸から簡単に越えられます。
踏み跡があるだろうと思ってましたが、以外と薄くてよく分からなかったですが、適当に進めば大丈夫です。
滝を右手に見つつ越えたのを確認出来たら、ゆっくりと斜面を下っていくと北谷に戻れました。
そこから穏やかな谷を遡上していくとやがて右岸の支流から滝が落ちているのに気付きます。
が、ここは後で来るので立ち寄らずスルー。
そのまま本流を進むと部屋滝の登場。
両岸共に高く、絶壁に囲まれた滝。
北向きなので時間を調整すれば光芒を望めます。
撮り応えのある滝なので、カメラマンに人気があるようです。
私達がここに来たときは太陽が滝壺に光を刺して、深く鮮やかなエメラルドグリーンの滝壺がそれはもうキラッキラと輝いていました。
季節は真夏。そんな暑い最中に美しさ溢れる滝壺を魅せられたら、誘惑に駆られてしまうのは佐賀・・じゃなくて性でしょうよ。
メガネを外して岩場からダイブ! 宝石箱の中に飛び込む! 深い滝壺に突き刺す光が剣のようで勇ましい。
ゴーグルがあれば水中の芸術をもっと楽しめたのだろう、忘れたのが悔やまれる。入れたと思ったんだけどね。
滝壺の輝きを堪能し、十分に満足したら、上流を目指します。
この絶壁を巻くのは結構遠回りをしなければなりません。
その為に先ほど右岸支流から流れていた滝まで戻ります。
猿手の滝です。支流にある小さな滝で、特徴はあまりないので通過点の目印といった所でしょう。
滝を正面にした右手の岩壁に高巻き道が設けられています。
急斜面を一気に登る緊張感のある高巻きな感じなんですが、そうでもないです。
というのも、これでもかと言わんばかりに補助ロープが沢山垂れ下がっているので掴み放題です。
怖い所もロープがあれば安心ですね。ていうか多過ぎで逆に秘境感が減少しちゃって興醒めなくらいでした。
部屋滝の落ち口を眺めつつ、上流に向かいます。
ちなみにこの部屋滝の落ち口からジャンプする人もいるようです。滝壺はすごく深いので安全なんでしょうけど、高さがあり過ぎて無理っす。
さてさて次に現れるのは溜湾殿滝。
ここはナメ。圧倒的ナメ。
こんなに遊べる滝ってあるの? 完全な滑り台じゃないの。
って事で高巻き道の左岸を登っていって、落ち口からしっかり滑らせて貰いました。ナイスアクティビティーです。
全身濡れまくってウキウキになったら、改めて左岸から巻き終えて上流へ。
この先には今では使われていない取水堰?があります。唐突に現れる人工物にビックリしますが、なんか調和が取れてて良い感じでした。
この滝本北谷はボコボコの大岩が転がっています。それが多角形をしていて、神殿の柱が倒れた廃墟感があります。
だから人工物も違和感がなかったのでしょう。その大岩を越えるにはよじ登ったり潜ったりとけっこう力技でした。
ちなみにその柱のような巨岩を見ていると、MSX版のグラディウス2のステージを思い出してしまい、そのステージの音楽を口ずさんでいました。
次いでケヤキ原の滝。
分岐瀑と直瀑のハイブリッド。
水勢は強く激しく、かつ岩に当たって分岐した水は複雑な流れで落ちてくる。
それが末広がりに迫ってくる贅沢極まりない形状。
これは惚れる。ヤバい。
カッコいいし可愛い。
癒やしだけではなく、迫力でも魅せてくれる滝本北谷の器の広さと深さは凄まじい。
もう技のデパート過ぎて呆れる。
スケールの大きな滝で、飛沫も豊富なのが最高だね。滝前は大岩が転がりまくってて寛げないのがやや残念な点でしたが。
大きなケヤキ原の滝を巻くのは左岸から。
大きな滝なので、大きく巻く事になります。と言っても優しい高巻きです。
左岸に聳える岩壁に近付けば踏み跡が見えます。
その岩壁を回り込んで行きますが、最初は高く手が付けられないので、滝から離れるように岩壁沿いに進んでいくと徐々に岩壁が下がってきて、やがて足が乗れる斜面となり登って行きます。 踏み跡もあるし、とにかく登れば良いです。
すると無事に高巻きを終えてケヤキ原の滝の落ち口に到着。安全な巻きでノンストレス、有り難い優しさです。
そして現れる屏風滝。
私はこの滝に惚れ込んでいました。いつか逢える日を楽しみにしていたのです。
ようやくお逢い出来ましたね。待ち望んでいましたよ。
あなたはやはり輝いております。美しいをこえて「ふつくしい」でございます。
端正という言葉がお似合いですね。はっきり四角形。
横幅、縦幅、ほぼ同じって相当レアですよ。
ここの演出が凄いのはそれだけではなく、手前に広がる滝壺で屏風滝がリフレクションされているのが憎いじゃないの。
一石二鳥というか、一目二滝な気分。輝く水面に写し出される屏風の姿。
この滝ならではの美しさには見惚れてしまいました。
更にそれだけではありません。真下に行けば直瀑の迫力が堪能出来ます。
しかもそれが見上げる角度によって迫力の度合いを変えるし、飛沫の塩梅も調整してくれるので、お好みの具合を探すのも楽しい。
ってかどこにいてもええ空間でございますよ。
楽しすぎて色々場所を移動していたんですが、岩の上に乗ろうとしたら思いっきり滑って後逸し、その勢いで後ろにある岩に衝突。
それがお尻の境にジャストヒット。尾骨にズコンと衝撃を受けた。
カンチョーされた綾南の田岡監督の気分を味わった。ズキンズキンときて悶えたが、やがて痛みは落ち着いたので、屏風滝へと気持ちを戻した。
滝前は広くてのんびり出来ます。ヒルさんを見つけてほんのちょっとテンション下げたけど、この滝の前では些細な事です。気にせず出逢いを楽しみましょう。
屏風滝とその下のケヤキ原の滝、どちらも甲乙つけがたい素晴らしい滝ですが、個人的には屏風滝が勝ります。
これについてはホント人の価値観は様々なので、どれがベストフォールなのかは変わるのでしょう。
屛風滝の巻きは左岸から。
全く難しくない優しい巻き道に導かれて落ち口上へと着くと、すぐに斜瀑の登場。
亀壺の滝です。
屏風滝落ち口のテーブルマウンテンが広がる開放感は抜群。
落ち口に近づき過ぎると落ちちゃうかも知れないから気をつけてね。
この滝の魅力の一つ、めちゃ深い滝壺。
ポットホールなのかな。悠久の時と水流で岩肌を削り深く深くなったのだろう。
その美しさは魔性の魅力。
ここでは太陽が出て、滝が光に照らされて輝きまくってます。
そして私がいつかはやりたかった夢がここで叶った。
それがトップに載せている動画です。
甌穴などのフラットの足場から歩いて、一気に水没するってのを北海道の沢登りのホームページで見て、鼻水吹き出すほどに笑わせて貰った。
これを自分でもやりたいなぁっていつも思っていたけど、そんな環境がなかなか見つからなくて、ついにここで実現出来ました。
もう一度、ここにも出しておきます。ぜひ音量ONで見て頂きたい!
何度見てもオモロいわ。
撮影して頂いたフグさんに感謝。
やりたい事の意図をすぐに汲んで頂き、一発撮りで成功したのはフグさんのセンスの賜物です。さすが変態!
ちなみに(わざと)落ちた時、滝壺の底には足がつかなかったので、かなり深いんでしょうね。
全身ずぶ濡れになりながらも爽快感は抜群で、これだから夏の沢は楽しい。
亀壺の滝は右岸で高巻く。
ここからは癒やしの滑床歩き。
ナメ歩きって、ただ歩いているだけなのに、なんでこんなに楽しいのだろう。
よく分からないけど、なんかにやけちゃうよね。
名のあるラストの滝、比丘尼滝の登場。
大きな滝壺に大きな広場。開放的に寛げて気持ち良い環境。ここでは滝を見ながらのんびり食事を楽しみました。
この滝は左岸から小さく巻きました。
その先には無名のナメ&多段の滝。
今日は水量が多く、渡渉するのはちょっと緊張しました。カッコいい滝なのになんで名前がないのか不思議です。
滝の先も難所はないので気ままに進んでいくと、遡行打ち切りとなる堰堤が出てきてここでストップ。
まだ上流(一旦道路へ出た先)にも滝はあるけど、結構離れているのでここで良しとしました。
帰りは本谷と北谷の間にある尾根を進みます。
ここには巡視路があるので、安全に戻れるのです。
堰堤から左岸を見れば、明確な道が見えます。それが巡視路です。
階段も設けられていて安心な登り。
と思ってたら途中で道を見失っちゃった。
まあ踏み跡は見えるんで、気にせずに斜面を登っていけばコル(窪地)に着くと思っていたら、やや離れた所に登ってしまっていた。
尾根に出れば道はバッチリなので踏み跡に乗ります。
巡視路をちゃんと辿れなかったのは謎ですが、帰路に問題はありません。
中盤からは鳥獣除けのネットを外したり付けたりが面倒臭いけど分かりやすい道を下っていって、終盤は太いパイプの脇にある鉄階段を下りればゴール。
民家横に出たのにはビックリしたけど、そのまま道路に出れば駐車した空き地へと戻って来ました。
帰り道は少々長いけれど、安全に気楽に帰れるだけ有り難いです。
北谷、そのどれもが素晴らしい。完璧とはこの事だろう。
滝に出会うまでの道のりってのは苦行であり、それが至難であればあるほど感動は大きく思い入れも強くなると思っていましたが、それは北谷で覆されました。
帰り道が面白くないのは否定しないけれど、谷を歩いている時は全てが楽しい楽しすぎる。
強いて言うなら笑いすぎて咽せちゃうような苦しさだけだ。
映画「ラストサムライ」で渡辺謙演じる勝元のセリフを思い出す。
「完璧な花にはめったに出会えない。完璧な花を探し求めるために人生を過ごすことは、決して無駄ではない」
そして私はこの滝本北谷で出会えた。
『perfect! its all perfect』
ならば、これで滝巡りは終わりか?
まだだ、まだ終わらんよ。
まだ見ぬ滝へ。新たな感動を求めて。
8:20 駐車スペース 出発
8:45 - 9:50 筆藪の滝(林道終点)
10:10 - 10:35 部屋滝
10:40 猿手の滝
11:20 溜湾殿滝
12:00 - 12:30 ケヤキ原の滝
12:45 - 13:50 屛風滝
14:00 - 14:25 亀壺の滝
15:10 比丘尼滝
16:15 堰堤
18:20 駐車スペース 到着
8:45 - 9:50 筆藪の滝(林道終点)
10:10 - 10:35 部屋滝
10:40 猿手の滝
11:20 溜湾殿滝
12:00 - 12:30 ケヤキ原の滝
12:45 - 13:50 屛風滝
14:00 - 14:25 亀壺の滝
15:10 比丘尼滝
16:15 堰堤
18:20 駐車スペース 到着













