ヒスイの滝
(ヒカゲ沢大滝)


Data 住所 川根本町
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
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南アルプス深南。光岳の南。アプローチの定石はなく東西南北様々のアプローチがあるが、いずれも超長距離で1泊以上は確実。

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ガッツリ巨大な滝です。
岩盤を飛び越えて勢い強く落ちる直瀑は、張り出した無骨な岩棚に当たって爆発し猛烈な飛沫を四方八方に散らす。
その迫力は「パッと光って咲いた花火」みたいな衝撃で、このヒスイの滝の物語は圧巻の始まり方でした。

飛散した水は三筋に別れ、岩肌を撫でるように、はたまた駆けるように一つ一つの水が個性を持って落下してくる。滝という舞台上で色とりどりの衣装をまとった演者がダンスをしているミュージカル。

中盤、分岐瀑はより幅広になり横15m程に拡張した舞台となる。滝しか視界に入らない、いや視界に収まらないスケールで怒涛の演出が繰り広げられる。

フィナーレに近づくと分岐瀑は収束に向かって狭まる。まるで物語の伏線を回収しているかのようにまとまって落ちる。

直瀑の飛沫が遥か頭上から舞い降りてくると共に、下段の分岐瀑が終演を迎える。滝壺のない岩肌に当たり、水が弾け、風を生む。

滝は終わりを告げたが会場には余韻が残る。開いた花火がすぐには消えずキラキラと垂れ落ちる「しだれ柳」のように、小気味良い水の音と飛沫が私を包んだ。

大きくて、勇ましい、息をつかせない衝撃的な物語でした。

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7/14

江戸切子さんからこの滝を打診され、計画を練り始めたのは一年前の夏。どこからアプローチするかを二人で何回も打ち合わせしました。

決まったのが今回のルート。池口岳北峰に登頂したのち南峰から東に伸びる尾根を下降。ダルマ沢に入渓し更に下り、リンチョウ沢を遡行し、ヒカゲ沢に到着。

計画は決まったが、物凄く体力が必要になるのが目に見えて怖くなる。

年齢と共に落ちる体力は顕著で悲しくなる。二泊三日の大冒険だった越後沢右俣大滝の時は、下山後に熱が出てうなされてしまった。滝が終わった以降も元気じゃないと成功とは言えないと思う。
このままでは過去の二の舞になるし、むしろ疲労で滝に到達出来ない恐れがある。じゃあどうするか、いつもよりもっと体力を作るしかない。

そんな訳で今年は本当に頑張りました。特に二ヶ月前からは嫌になるほど走りました(自分なりにね)。三日に一度のペースで、約10kmのジョギング。筋トレもやった。休みの日は娘とバスケの練習をして汗を流した。

黒川大滝でふくらはぎの弱さが露見されたので、集中的に鍛えて、心なしか足が一回り太くなった気がした。
これだけやれば幾分か余裕が生まれるだろうと思ったけれど、全くそんな事はなくやはり過酷な道中になりました。


7月14日 快晴
ついに迎えた実行の日。この日をどれだけ待ち侘びたか。

道の駅「遠山郷」であっきーさんと合流し、そこから池口岳の登山道に向かいます。池口川を渡った先から登山口までは九十九折りのダート道ですが、このダート道が予想以上に溝が深く悪路で、ノーマル車だと進めない状態でした。

そんなトラブルに見舞われて、予定よりも遅くに登山口に到着。車が4台ほど止まっていたので、100mほど先に行った避難小屋の脇に止めて、準備をして出発です。

まず目指すは池口岳の北峰。山頂の標高は2392mで現在は1076m。1300m弱を登らなければなりません。3日間の食料と寝具類、それに加えて沢靴やハーネスを入れてパンパンに膨らんだ50リットルのザックを背負っての行動です。

二百名山に入っている池口岳の案内は明確。登山口には山頂までの到達時間が書いてあります。6時間25分ですって。うげー。

山道は優しく、ただひたすら尾根道を登り続けます。歩き始めて5分もすれば汗だくでゼーゼー状態。トレーニングは何だったんだと悲しくなる疲労。

日本のチロルと言われ、里山100選に入っている「下栗の里」が登山道から見えると記録にありましたが、よく分かりませんでした。というか疲れて疲れて周りを楽しむ余裕なんかありません。

適度に休憩を挟みつつ、3時間かけて見所の一つ黒薙を通過。更にザラ薙を過ぎて、テン場と水場下降点に着く。

尾根道では水は大変貴重ですからね。2.5リットルを持ってきて、まだ500ミリリットルしか消費してないから水を補給しに行かなくても大丈夫そう。ちなみに下降点から急斜面を15分下りて、30分の登り返しになるようです。下降路はピンクテープが巻いてあったので迷う心配はなさそうでした。

加加森山とのジャンクション、これを過ぎてやっと北峰に到着。およそ7時間掛かりました。日帰りの軽装ではないので、コースタイムより遅くなるのは仕方ないように思うが、息切れせずにここまで来たかったなぁ。やはり山のトレーニングは山じゃないと出来ないのかな。

山頂と言っても見晴らしは良くないし特に感動はない。まだまだ通過点の一つなだけです。

さてダルマ沢へと下りる尾根を目指します。今までは登山道が明確にあって何にも考えなくてもここまで導かれましたが、ここからは違います。案内はありません。

南峰まで登山道はありますが、頂上には興味がないので少しでも早く尾根に取り付く為に、緩やかに下り始める。

所々に踏み跡がある。獣道よりもより濃い跡になっている。それを辿ってダルマ沢へ下りていく真東に伸びる尾根に到着。

今回の滝巡りの中で、ここが分岐点です。
引き返すか、突っ込むか。

体力的に厳しければ、ザラ薙のテン場に泊まってリタイア。これも選択肢の一つ。
尾根を下り始めたらもう止まらない。ダルマ沢まで行くしかない。

時間は16時、日没が近づいている。明るい内に沢に下りて、幕営しないといけない。550m位の下り。はたして間に合うか、厳しいような気もするが、ここまで来て戻る選択肢は一切考えられなかった。

下り始め。最初は踏み跡がありそれを辿る。次第に藪が濃くなって尾根を真っ直ぐ下りられなくなる。すると道も消える。
藪を避けたり、もしくは突っ込んだりして目に入る斜面の中で藪の薄い場所を探して下りていく。
時に尾根に戻ると踏み跡が出てくる時もあった。

中腹は明瞭な尾根で藪もなく気軽に下りられたが、終盤は傾斜もきついし道も消えるし藪が視界を遮った。
軽快に下りられず時間が奪われていく斜面に焦りが出てきた矢先、周囲が雲に覆われて真っ白になった。文字通り暗雲が立ち込める状況。

とにかく下るしかない。先はよく見えないけれど下ればダルマ沢には必ず出るのだと信じて藪を振り払う。
およそ2時間でダルマ沢が見えた。時間は18時ちょい。そこは枝沢との出合でありガレ場になっていた。雷雨が来ても浸水はない地形と判断しここを幕営地と決めた。というか疲れててこれ以上動く気になれないのが本音。理想は更に沢を下って広河原に出ることだったけど、ダルマ沢に出るという水場の確保が最低限の目標で、それをクリア出来たので良しとする。

3人で協力してガレ場の石を取り除いて整地して、何とか明るい内にツェルトを張れた。
枝沢の水でお湯を沸かして晩ご飯を食らい、あとはもう寝るだけ。
物凄く疲労して、ただ移動しただけの一日がやっと終わった。

8:05 池口岳 登山口 出発
10:40 黒薙
12:20 ザラ薙
14:20 ジャンクション
15:05 池口岳 北峰
18:00 ダルマ沢 幕営地

沿面距離 10.97km
7/14
記録
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7/15

7月15日 快晴

目覚めた途端に自分の汗臭さに鼻が曲がる。ああ風呂に入りたい。

山の天気は急変しがちだけど、夜中も穏やかで雨も風もなく、ツェルト内の結露もなく快眠が出来た。

今日は滝にアタックする日。どのように行動するか前日に相談した結果、再びここに戻ってくる事にして、荷物を置いて最低限の道具だけをザックにいれた身軽な状態で挑む事にした。

今日もなんだかんだ道中は長い。それにゴルジュも待っている。滝に会える楽しみと、果たして到達できるのかという不安が交錯する。

昨日は登山靴、今日は沢靴に履き替えてまずはダルマ沢を下っていく。小滝がたまに出てくる渓相で難所がある訳ではなく、ルート取りで迷う事もなくサクサクと下りていく。

東に下りていた沢が南にカックンと90度折れる地点。目の前には高い尾根がある。これを乗り越えればリンチョウ沢に出れてショートカットになるけど、とても上がれる気がしない。通りぬけフープがあれば楽なのにと22世紀の科学力が欲しくなる。

素直に南下していくとダルマ沢左岸に広河原が現れる。平坦な原っぱで、枝沢から水も取れる。幕営地として目指していたのはこの場所(もしくはリンチョウ沢出合の広河原)で、予想通り寝やすそうな場所でした。

南アルプス深南は殆ど人の立ち入りのない地帯。踏み固められていない故、浮き石が非常に多い。
ジョギングで痛めた足首で浮き石に乗ると、グラグラと揺れて足首に痛みが走りうめき声を上げてしまう事が何度かあった。

一段と開けた河原に着いた。これがリンチョウ沢とダルマ沢の出合である広河原。平坦な地、誰かが整備したんじゃないの? と疑問を持つほど真っ平だ。

奥にダルマ沢に合流する水の流れが見える。これこそがリンチョウ沢。ようやくここまで来た。
ジョギング中や筋トレ中に、苦しくなった時に「リンチョウ〜!」と叫んで鼓舞した遠い目標。何度叫んだか分からない。
リンチョウ沢に足を入れその水の流れを直に受けたら、涙が出そうになった。滝に着いた時以外で体が感動で震えたのは初めてだ。
やっとスタート地点に着いた。ようやく滝を目指しての遡行が始まる。

広河原はこの先も平らな岸を作ってくれていて、歩きスマホでもいけそうなほど非常に歩きやすい。
だけど北上する毎にジワジワと河原は狭くなっていく。右岸に枝沢の小滝が見えるとその脇に岩清水が湧き出している。冷たくてまろやかで旨い。
その対岸には真っ平らな地面がある。ここは素晴らしいテン場。のんびり寝転がって一泊したいと心底思えるほど泊まるのに適した環境でした。

左右とも側壁が高くなってきて沢らしい姿になる。水と戯れながら遡る楽しい一時。そして問題の三つの滝を構えるゴルジュに到着。

見たら分かる、怖い奴やん。こんなの直登は考えられない。

左右の壁を見てどちらが巻きやすいか確認し、協議して右岸を選択。ゴルジュからほんのちょっと戻った斜面に取り付く。小石が堆積した急斜面、足を置くと石が滑って体も滑る。ゆっくりしてると引っ張られるように下がってしまうので間髪入れずセカセカ登る。20mくらい上がって大木を掴むまでなかなかの緊張感があった。

ここからは高度感との戦いか。右岸のトラバースになるが一旦斜面を下りねばならず、ここで少しの距離だが懸垂下降。
登ってきた斜面と同様で小石が積み重なっている。でも先ほどよりは傾斜がちょっと落ちた気がする。足を乗せてドンドンと踏み固めるとギュッと石が締まって足場が出来る。小石は転がらず安定のトラバース。下を見ればゴルジュが大口を開けていて、飲み込まれそうで怖くて怯むものはあったけど、冷静に行動が出来たと思う。

これで難所は終わりかと一息つけた。そういえばトラバース中にカーンカーンと金属音がした。おそらく沢ヤさんがゴルジュにハーケンを打っているのだろう。ゴルジュの落ち口から下方を望んでみたが姿は見えない。こんな深い大自然に私達以外に歩んでいる人がいると思うと挨拶をしたくなったが、いつ来るか分からないので遡行を再開する。

あとは難しい所はないはず。ただどこが滝のあるヒカゲ沢なのか分かっていないので、慎重に歩まなければならない。

ヒスイの滝へのヒントは二つ。
@行き過ぎれば第二ゴルジュが現れる。
Aヒカゲ沢の手前の左岸には滝となって出合うヒウチ沢がある。
この二つを念頭にリンチョウ沢を遡っていく。

5m程の滝が左岸に現れ、その先にリンチョウ沢に出合う左岸の枝沢が見えた。

おそらく、これがヒカゲ沢。5分もしない内に滝が現れるとあるから、ちょっと進めば発見出来るはずで、10分進んでも滝が出現しなければ誤りとして戻ればよい。

枝沢に入って5分、滝が現れて、更に奥には絶壁と白煙が見えた。間違いなく、ヒスイの滝だ。

10m程の前衛滝。午前中は太陽が当たり輝いていた。この滝は左岸を高巻く。ここには踏み跡もあった。

そして滝前。真下に来たときには完全な逆光。その逆光で輝く飛沫は眩しすぎた。

直瀑から岩盤に当たって弾け飛ぶ飛沫。四方八方に広がる花火のように爆発した白煙が舞い上がっていた。
逆光のこの時間にだけ映し出される白く輝く滝の姿に、威風堂々たる不動明王の姿を垣間見た気がした。

撮影に関してはこの逆光を撮る技術はないので、順光になるまで滝を見ながら食事をする。滝前は広く優雅に寛げるのも利点。
青空を見て、光を浴びて、滝を楽しむ。この上ない至福の時間。
滝の写真を見れば、その大きさと美しさは想像が出来る。でもどんな飛沫なのか、どれだけの迫力なのか、自分が真下に立ちその滝を見上げた時、自分にどのような感情が生まれるのか? それは写真では想像出来ず滝と対峙しなければ答えが出ない。
それを求めて、冒険心と好奇心をザックに詰め込んで新たな滝を目指している。
今回の滝も素晴らしい感動を頂いた。三日間を一つの滝に費やす価値は確かにありました。

さて帰路です。沢ヤさんとはすれ違う事はなかったので、おそらくリンチョウ沢をそのまま遡っていったのだろうと思われる。

ゴルジュは往きと同様に右岸巻き。最初に登った小石が乗ってる急斜面をフリーで下りる気にはなれず懸垂下降でゴルジュ手前に着地。

ゴルジュ以外に難所は特にないので、気持ち良く下って行き、ダルマ沢出合の広河原に到着。

ここからは標高差400mの沢登りとなる。結構時間を取られるだろうが日没までには幕営地に戻れそうなので、ゆとりを持った行動が出来た。
たっぷり2時間ほど遡ると自分のツェルトが正面に見えて無事に到着。
予想よりも早くに戻って来られて、のんびりした晩御飯の時間を過ごした。

6:30 幕営地 出発
7:20 ダルマ沢の広河原
8:25 リンチョウ・ダルマ沢出合の広河原
8:50 幕営適地(対岸に岩清水あり)
9:30 第一ゴルジュ
10:05 ゴルジュ終了
10:30 ヒカゲ沢 出合
10:35 前衛滝
10:55 ヒスイの滝
13:00 出発
17:00 幕営地 到着

沿面距離 11.62km
7/15
記録
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7/16
7月16日 快晴

三日間全てが快晴。雷雨もない天気に恵まれたパーフェクトな三日間。雨男の勲章を張り付けられていましたが、もういいですよね。「先生! 、、、晴れ男になってもいいですか?」

今日は下山だけの日。

この2日間の筋肉痛が全身に表れているし、体力が低下しているのがよく分かるくらい動きが悪い。そして自分が猛烈に臭くてマジでキモイ。

昨日は軽い荷物で行動できたが、今日は全ての道具を背負わなければならない。子泣き爺でも後ろにいるのかと思うくらい重い。

元々の計画では尾根を登って池口岳の登山道に出る予定だったが、下りてきた尾根は藪が多かったり急斜面だったりでとても登れる気にはなれない。

それに尾根に乗った瞬間から始まる水の不安に襲われるのは嫌だったので、ダルマ沢を遡行して詰め上がる事にした。これならば最後まで沢の水が得られるので、疲れてもすぐに水分補給が出来る点は安心。

一つ懸念として、ここから遡るダルマ沢には10m級の滝が沢山待っているという事。どれだけ時間がかかるのか未知数である。

時間のリスクと、水のリスク。天秤に掛けると水の方が重要と判断した。初日であれば体力万全なので時間を選択したかも知れないが、三日目でバテバテの状態であれば、疲れても水をがぶ飲みして体力を戻せる環境の方が安全と言える。

ダルマ沢に入ると早速現れる滝群。高巻けるけれど、どれも容易とは言えない。ここも人が殆ど入っていないので不安定な巻きとなる。
掴む石はボロボロ剥がれるし、乗った斜面が崩れるのは当たり前。
先行者が登れても、同じホールドと足場は崩れて使えなくなるので緊張する高巻きが続いた。

最後の滝が一番大きい為、これをダルマ沢の大滝とする。そしてこれより先は滝が無くなるので、この大滝で存分に飛沫を楽しみ英気を養った。

大滝を右岸で越えると(手前の滝群もほとんどが右岸巻きだった)様相は穏やかになり、水も減っていく。
向かう先には稜線が見え始める。ダルマ沢はここからいくつか枝分かれし、誤った方へ入ると途端に傾斜がきつくなるので、二俣が現れると足を止めてGPSと地形図を照らし合わせて、なだらかに上がる沢を詰めていく。

水があるのは本当に有り難い。登ればすぐに息切れして喉が乾く状態の自分にとって、水の消費を気にせずに歩けるのはとても気楽だ。
米米CLUBの「君がいるだけで」の冒頭の歌詞。
“たとえば 君がいるだけで 心が強くなれること”
とあるが、この“君”というのは、『水』の事を指しているんだなとこの時初めて気付きました。

稜線が近付いてくると水の音はか細くなっていく。水が減るのとは逆に、薮が増えていき面倒な登りになる。
ついに水が消えたという目前の水流の箇所で、水をたらふく飲んでペットボトルを満水にさせる。

水の涸れた沢を100mくらい遡ると、ピンクテープが現れて、踏み跡が確認出来た。
このテープは、稜線歩きをしている登山者がダルマ沢の水を求めて下りてくる為の案内である。
ここで沢登りは打ちきり。沢靴から登山靴に履き替える。濡れた沢靴をザックに入れると益々重くなってしんどい。
踏み跡を辿っていくと5分もしない内に登山道に出れた。その登山道には「水場下降地点」の看板がある。ダルマ沢の水を取りに行くのはわりかし容易で、稜線歩きの方はここで水の確保の為に下りるのをお勧めします。

ジャンクションまでの登りはしんどい。もう体力は殆ど残っておらず、ここから自分は遅れるようになる。
一昨日歩いた池口岳の登山道に着けば、あとは下り。たまに登りも出てくるが休み休み下りていく。

ザラ薙の辺りから肩が猛烈に痛くなる。ザックのショルダーやベルトの締めるとこ締めたり、逆に緩めたりと試したが効果がなく更に歩みは遅くなる。

クロ薙からは殆ど下り。緩やかにジグザグと下っていく。登山道は明確だから迷いようがないので目の前だけを見て転倒しないよう気をつける。疲労と痛みで注意が散漫しているのを意識してゆっくり歩む。

こんな道、よく登ったものだと一昨日の自分に感心する。もうこのコースは歩きたくないと心底思った。

あっきーさんの下りはとにかく早い。そりゃあもう頭文字Dの86並だ。とかく今回の下りは早過ぎる。「アミノバイタルが効いた」と言っていたが100円ちょいの商品で体力が全快するとはどんなヤバい成分が入っているのか疑ってしまう。今度、自分も買うとしよう。

下るほどに気温が上がっていく。2000m辺りにいたときはちょうど良い気温だったのに、気付けば汗が吹き出てくる。麓に下りてきたのだと嬉しくなるが、この暑さの中に入っていくのはなんか嫌な気分だ。

肩の痛さに耐えつつ、ようやく登山口に着いた。すぐさま車に乗って道の駅「遠山郷」のかぐらの湯で3日間の汚れを落とす。
ショックな事に替えのパンツを忘れてしまった。綺麗なTシャツとズボンを履いてさっぱりしたのに、股間だけは臭いまま。不快感満載での帰宅となりました。

6:15 幕営地 出発
7:50 ダルマ沢大滝
10:05 水場 下降地点
10:25 ジャンクション
11:50 ザラ薙
13:05 黒薙
15:00 池口岳 登山口 到着

沿面距離 10.68km

三日間の累積沿面距離 33.27km
三日間の累積標高(上り)4009m
三日間の累積標高(下り)4020m
7/16
記録
訪問日 2018/07/15

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