黒桂河内
二ノ右俣大滝
Data | 住所 | 早川町 |
評価(5段階) | ★★★★ |
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難易度(5段階) | ◆◆◆◆◆ | |
現地へ | 身延山の北西部。県道37号の南アルプス邑野鳥公園を通り過ぎ、その先にある橋を左折。ダートの林道を進むとゲートがあり手前で駐車。その先の林道を歩き、黒桂河内を遡行しおよそ6時間で到着。 | |
コメント | 滝下から見上げた時、GLAYのHOWEVERが流れ、ついつい替え歌を口ずさんでました。 柔らかな 飛沫が吹く この場所で〜♪ ってな感じでノリノリで素晴らしい空間でした。 長く、とても長く非常に疲れた滝巡りでございました。 でもその甲斐あって素晴らしい滝に出会え、感動させて頂きました。 片道、約10km。林道歩き5kmに沢の遡行も5km。これだけ長いのも久しぶり。ちなみに長いと有名な三沢大滝が片道5kmほど。距離だけならほぼ倍でありつつ滝の高巻きもあるこの黒桂河内の大変さは三沢の非ではないと行く前からビビッていました。 実際に林道で5km歩かされるだけで「ゲ〜」っと言ってしまうのに、そこから更に遡行も5kmあると言われたらさかなクン並みに「ギョギョギョ!」って驚いてしまいます。 しかし、行くと決めたなら覚悟して挑みました。 仕事終わってから江戸切子さんと府中で待ち合わせ。 現地までノンストップで車を走らせて、林道のゲート前に到着。ここには3台ほど駐車できるスペースがあるので、その場で仮眠。1時間ほど寝たら準備を始めて、3時45分、まだまだ暗い中にヘッドライトを装着して林道を歩き始めました。 ゲートを越えたらすぐにヘッドライトの明かりの中に鹿さんが姿を現した。 とにあえず挨拶をしようと話しかける。 なるほど、足が2本しかないし悪臭が漂ってる。初っ端から嫌な空気にさせられてしまった。 林道はただただ歩くだけだと思っていたけれど、いきなり道路が消えてしまったのには驚いた。崩落地です。 それも軽度ではなく見たことないような凶悪さ。上部にある崖が崩れ道路を埋め尽くし、それが岩石ではなく砂で覆われていて、そこに安易に乗って滑り始めたら林道から放り出され何十メートル空中浮遊するのかと想像すると恐ろしい。 暗闇の中で動くには中々ハードです。有り難い事に太いロープが下がっていてそれを利用して越えられたけど、かなり緊張しました。 そこを越えると普通の林道に戻る。でも岩や倒木が点在していてちょっと歩きづらい。とにかくひたすら歩くだけ。日の出の時間が近づいてきて周囲が明るくなった頃に林道の終点。ここからは取水堤の巡視路を辿る。 林道からはグッと狭まるけれど、手摺があって安心な道。崖を削って造られた道には感服させられます。 緩やかな登りで息が上がっていく。こんな所でバテる様では滝には着けないぞと自分に激を飛ばすが、一呼吸入れる為に一度だけ足が止まってしまった。 やっと取水堤に到着。こんな山奥に発電の為の施設があるのがホント凄い。しかもこの施設の御蔭で下流域のゴルジュをカット出来たのだから感謝しかありません。 さてやっと水に触れて元気が戻ってきた。乾いたスポンジが水を吸い込んで一気に膨らんだ感じ。林道の方が安全で歩きやすいけれど、水の音を聞けて水と戯れる沢登りの方が俄然楽しいです。 道中はほとんどがゴーロですが、大岩から作られる小滝が沢山あって、越えるために何度も渡渉を強いられる。ただ特別難しい訳ではありません。 目の前に深い釜を持った10m滝が現れる。これは左岸に明瞭な踏み跡があって容易に高巻ける。 またまたゴーロ、ときどき小滝、ときどき渡渉を繰り返す。 そして沢ヤさんの醍醐味である五つ釜がご登場。名の通り深く澄んだ釜が五つ連続する美しいスポットです。ここを沢ヤさんは泳いだりへつったりして直登していくようだ。 一・二・三の釜は水に浸からずとも越えられた。問題は四の釜。絶対に足が着かないと分かるほど深い釜(そして綺麗)。しかも大きい。 沢ヤさんのレポを読む限り、右から泳いで取りつき、直登していくようだけど……。 フムフムと観察をして決断する。 良し! 無理だ! 突っ込んだ時を想像すると笑っちゃうくらい怖い。 高巻きしようと江戸切子さんを見ると、 勘弁して下さいと懇願し、高巻きを選択させて頂いた。 沢ヤさんからすればこの黒桂河内に来て五つ釜を楽しまないなんて信じられないと思うでしょう。だからここに高巻き道はないんです。 巻き道は自分で探すのみです。 行き易そうなのは右岸とみて斜面を上がっていく。四の釜の右岸側のルンゼ状の亀裂の上まで登ってトラバース出来ればよいのだけど、右岸斜面はなかなか急で、しかも狭くかなり緊張しました。 無事に高巻けたら五の釜も越えていて、とりあえず沢に戻れてよかった。 再びゴーロ&小滝を延々と進む。変わり映えしない景色だけど、小滝が現れるたびをちょっと元気になれる。 次に現れる10m滝を右岸から高巻くとようやく一ノ右俣との出合です。ここまでで4時間20分経過。もう二踏ん張りか三踏ん張りくらい強いられるだろう。まだまだ頑張らなければ。 特に難所なくただ長いだけのゴーロを歩き、一ノ右俣から1時間10分で二ノ右俣の出合に到着。あとは滝まで右俣を進むのみだ。 ゴールが見えてきたと思った途端、緊張の糸が切れたかのように脱力してしまい、途端に疲れが表に出てしまって、ここからの登りはしんどかった。 とゾーマが言ってきてる気がしたけど、滝に出会うまではもがいてやるさ。 最初はゴーロ、その後もゴーロ。そして連瀑帯が出現。3m+3m+10m+20m。これを越えればゴールだ。 3m+3mは問題なく越えて、次の10m滝が厳しい。高巻くのしんどそう。と正面を見つめると滝の真ん中に段があって、緩やかに上がっていけそうに見えた。 これが一番手っ取り早そうだけど、滝の水をモロに被る事になる。 衝撃で飛ばされないか心配だったので、ザックを置いて空身で抜けた。ビッショビショになったし滝に打たれている時は呼吸が出来なくてかなり焦った。抜けてからザックをロープで上げて何とか越える。 次いで20m。お見事な直瀑で迫力がある。ここは左岸から泥斜面を踏ん張りつつ巻けた。 そしてついに姿をお目見えした二ノ右俣大滝。山奥の山奥で、柔らかな飛沫を放出した綺麗な分岐瀑に出会えた。 惜しいのは巨大な倒木が視界を埋めている事、そして左からの枝沢の水量が少ない事。倒木が無ければ、滝本来の姿が見えれば、枝沢の水がもっと多ければ、より感動を得られただろうと思うとちょっと悔しい。たらればを言っても意味ないけどね。 真下から見上げてもびしょ濡れにはならない飛沫はやや物足りないものの、疲労しきった体を優しく撫でてくれているようで心地よい。 そして口ずさむHOWEVER。 絶え間なく そそぐ 飛沫の名を 永遠と 呼ぶことが 出来たなら〜♪ 気持ちよい空間で、忘れられない一時を頂きました。 さてちょっとハプニング。無我夢中に写真を撮っていると、体が震え出したのです。 そんなに寒くないのに何故? 不思議に思ったけどすぐに結論が出る。先ほど水をモロ被りした時に首に巻いていたタオルも濡れたのだけど、それをそのまま巻いたままだった。冷たいタオルが血液を冷やしてしまったのだろう。 慌ててタオルを取って、カッパを着込んだけれど寒さが止まらない。体を動かして温めなければと滝前から離れる。 本当はもう少し滞在してGLAYの歌でノッていたかったのだけど、留まっているのはヤバいと江戸切子さんに伝えた。自分のせいで江戸切子さんの滝前の時間が極端に減ってしまったのは大変申し訳なかったです。 帰りはガムシャラに進むだけ。動くにつれて体は温まっていき震えは収まり一安心。でも今度は疲労が表に現れてきて、歩くたびに足の裏の痛みが増し、関節も固まってくる。 取水提辺りで痛みも疲労もピークを迎えたように思う。最後の林道はとんでもなく長く感じて、たまに足がもつれたりしていた。 それでもなんとか明るい内に帰って来れた。その後、温泉に入ったけれど動く度に「いてっ!」って呟いていた気がする。 これだけ疲労したのも久しぶり。百四丈の滝と兵衛谷と越後沢右俣大滝と同じくらいしんどかったかな。 3:45 林道ゲート前 出発 4:10 崩落地 4:40 林道終点 5:00 取水提 5:25 10m滝 7:00 五つ釜 8:05 一ノ右俣 9:15 二ノ右俣 出合 9:40 20m滝 9:50 二ノ右俣大滝 11:15 下山開始 12:10 二ノ右俣 12:40 一ノ右俣 13:30 五つ釜 15:15 10m滝 15:25 取水提 16:15 林道終点 16:50 崩落地 16:15 林道ゲート前 到着 沿面距離 21.8km |
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他写真 | ||
訪問日 | 2017/05/31 |