滝人の源

王滝川 支流 鈴ヶ沢東股&溝口川

鈴ヶ沢東股&溝口川
滝マーク探訪

滝写真 滝写真
所在地 長野県王滝村
お勧め度
難易度 ◆◆◆◆◆
訪問日 2024/10/21

2024年10月21日

昨年、大樽の滝に行ったときの約束を実行しに来たのだ。 上流にある滝マークの散策。 この溝口川には遥か上流に滝マークがある。それが本当の大樽の滝ではないか。
まだネットでは解明されていないようで、えだ2さんがとても気にしていました。
勿論、それは私もおんなじ気持ち。だけど昨年はそれを探索できる時間がありませんでした。

そして、今年は時間をしっかり作ってこの地に戻ってきました。

まず前日にどうやって行こうかを検討。
昨年の大樽の滝に行ったときに高巻きルートは構築済みなので、それを越えていけば滝マークまで行けるとは思いますが、いかんせん道中が長い。だるい。

溝口川を詰めると御嶽山への登山口でもある田の原観光センターにすぐ近くの道路に上がれるようになっている。 それなら沢を下って行けば最短距離で滝マークに行けるだろうと、上流からのアプローチで作戦会議は終了した。

翌日。
まだ太陽が出ていない早朝から動き始め。
田の原観光センターへと向かう御岳スカイラインを走行し、標高を上げていく。途中では雲海と日の出が見えて、凄くキレイだった。

滝写真

雲海とスキー場

滝写真

駐車場から南を見る

滝写真

朝の御嶽山

駐車場に着くと気温は3℃くらいだったかな。氷点下に近い温度で空気が締まっている。標高2150m付近まで来たので、下界とは気温がさすがに違いますね。
ここから見る朝日の御嶽山も素敵だったな。

冬の装備は持ってきていないの、とりあえず車内に入っているシャツやらフリースやらを重ね着して何とか寒さをごまかす。まあ、動き出せば自ずと温まるから今だけの辛抱だ。

出発。まずは御岳スカイラインを下っていく。
GPSで位置を把握しつつ溝口川の出合いを探す。
400mくらい進んだら大きな尾根が出てくる。その東側には谷が下方に見える。これが溝口川の谷であろう。
この谷を下って滝マークを目指す。と意気込んだけど道路から谷へと下って行くのは傾斜もきつくちょっとデリケートだ。
朝一から面倒な動きになるのかと躊躇っていると、えだ2さんより「隣の鈴ヶ沢東股にある滝マークも行きたい」と要望を受ける。

この鈴ヶ沢東股は沢登りではメジャーで、沢山の記録が上がっている。しかもその詰めは御岳スカイラインに出ていて、まったく藪漕ぎがないようだ。
って事は下るのも簡単なんじゃないの西にある鈴ヶ沢東股の詰め部を除くと確かにとても容易に見えた。

それなら鈴ヶ沢東股の滝マークを見てから、中間の尾根を乗っ越して溝口川の滝マークに行くダブルヘッダーにすれば良いではないか。
早速の計画変更ではあるけれどとてもベストなプランが出来上がった気がした。

滝写真

道路から見る鈴ヶ沢東股の詰め

滝写真

どんどん下りていきます

目指す方向は定まったし、藪漕ぎがないので気軽に鈴ヶ沢東股へと足を踏み入れた。
ゴツゴツした岩が積みあがる谷で、水はまだ出てこないけれど藪も少なく軽快に下って行く。
我々が下りているのは滝マークの右隣にある谷であるので、東股に合流してから少し遡上すると思っていた。
しかし実際はそうではなく、東股に出合う手前でこの枝沢に20mクラスの滝が現れて、下れなくなってしまった。これは地形図に描かれていない滝。水量は少ないけれど周りの岩盤の威力が凄まじい。

滝写真

唐突に落ち口が現れた

鈴ヶ沢東股を沢登りしてレポートにはこの滝の表記は見てはいない。セオリーは滝マークから左岸壁を越えているようになっている。特に難しいような記事はなかったので、どこかに巻き道があるはずだけど、周りは崖だらけで肝が冷える高さにとなっている。

とりあえず落ち口から戻り、東股のある西側を見ながらウロウロしてみる。
どうにも下りやすいような所が見当たらない。懸垂滑降すれば何とかなるかと思ったけれど、えだ2さんが緩やかなポイントを見極めてフリーで岩壁下へと行けた。
この巻き道は、自分の目では見つけられなかった。さすが滝を探索しまくってるえだ2さんの経験には恐れ入りました。

滝写真

岩壁の弱点。フリーで下りる。

木の根や枝を掴んで、フリーで下りていく。
上からでは分からなかったけど、下からだとしっかり踏み跡が見える。これが沢ヤさんの巻き道であるのは間違いないようだ。
岩壁を下りたら、あとは適当に。
鈴ヶ沢東股に出たら1850m付近の滝マークは目の前に。

滝写真

1850mの滝マーク

滝写真

紅葉はベストでした

滝写真

真下から見上げて

完全に枯れていると思っていたが、ほんとにチョッとだけど水が落ちているのが有難い。
周囲の崖の迫力は凄まじい。これで水があれば名瀑なんだけど仕方ないね。
当然だけど滝としても魅力はほぼ無い。だけど滝壺の美しさと上部の鮮やかな紅葉に喜びを得られた。

滝写真

滝壺はとても綺麗だ

滝写真

岩壁が広がっている

では次の滝を目指そう。
溝口川の滝マークではなく、先ほど落ち口にいた東の谷の20mクラスの滝を目指す。
って事で鈴ヶ沢東股を下って行く。下るほどに水量が増していき、沢が活性してくる。すると小滝やら壺が現れて、それがまた青く透き通っていてとても綺麗であり、この沢が人気である事に納得した。

滝写真

鈴ヶ沢東股の綺麗な滝

って楽しんで下っていると東の谷の出合いを通り過ぎてしまった。
気付けば出合いよりも100m以上は下っている。左から入ってくる枝沢を気にしながら下っていたのに、見落としたようだ。
今度は遡上。出合いを探すために慎重に進んでいくと草藪に生まれたチョロチョロとした水の流れが見えた。
これを見つけるのは難しい。パッと見はただの草が生えているだけで、よくよく下部を見つめると鈴ヶ沢東股とは違った水流が見えるだから。
とにかく見つかって良かった。

滝写真

20m級の滝

滝写真

閉鎖的な岩盤

で、東の谷を遡ると先ほどの滝の真下へ行けた。水量はもちろん少ないけれど、閉鎖的な岸壁は良い感じだった。

さあ、ここから本命の溝口川の滝マークに向かおうではないか。
中間の尾根まで登って越えて、溝口川へと下りれば良い。ただこれだけお仕事です。計画はとても簡単なものです。

しかし、だ。
中間尾根へ目指す斜面は、まるで登っていけるイメージが浮かんでこない景観が広がっていた。
笹一色。
しかも濃厚。

もしもここがジロー系のラーメン屋であれば、
「にんにく入れますか?」
「笹マシマシ、背丈タカメ、斜面キツメ、視界ナシで!」
って注文しない限り、こんなの出てこないでしょ。

これを越えるにはどれくらい時間が必要か。正直、想像がつかない。
やべぇ所に来ちまったぜ。別に絶対に進まなければいけない訳じゃないから、嫌なら鈴ヶ沢東股を詰めれば帰れるのは分かっている。だけど、そんなの考えもしないぜ。
カルカンのキャットフードのCMのように、僕らは滝まっしぐらなのだから。

滝写真

滝の岩盤沿いを登る

滝写真

岩盤脇でも笹の密度がエグイ

かと言っていきなり笹の壁にぶつかっていく訳ではなく、20m滝の岩壁沿いに進んでいく。
岩壁の脇は笹が生えずらいですからね。ちょっとした隙間があるので掻き分けずに登っていけます。
まぁそれでは岩壁が終わったら、もう視界は笹だけになっちゃいました。

ここの藪漕ぎは本当にしんどかった。一心不乱に笹を押しのけて登っていく。
腕を笹の壁に突っ込み、視界を広げて、足を持ち上げる。
それを繰り返すのだけど、あまりの笹の密集度に膝が前に出せない。

そんな苦労から編み出した技。ハードルを越えるように膝を外に向けて股関節を開いてから、膝を内側へと畳みつつ一歩上がっていく。股関節のストレッチで行う動きだ。
ただ膝を前に出すのは笹に当たって進めないのだけど、外から内へと膝を送ると笹をすり抜けていい感じに前進ができた。
藪漕ぎ職人としてスキルアップした感じだけど、普通の藪漕ぎではそんな膝送りをしなくても進んで行けるから、この技を発揮する事は少ないだろう。

滝写真

尾根に近づくと楽になった

3m登ったら呼吸が乱れてしまうので一旦止まって、整える。それの繰り返し。
マジできつい藪漕ぎ死闘。20m級滝から尾根まで、直線距離200m、高低差およそ100m。たったそれだけの距離。
もしもこれが登山道だったら15分くらいかな。

全力で挑み続け、1時間40分かけて何とか尾根に辿り着いた。
もうこの時点で体力は殆ど使い果たしてしまった。

ここからは下りになるので、幾分かは楽だ、って思ってたけどその後も苦労は続いた。

滝写真

笹との格闘は続く

尾根は当たり前だけど道ではなく藪まみれで気軽には歩けない。
溝口川へと下降を始めたがここも濃厚な笹薮が広がっており、下るのも体を押し込まなきゃならず体力は削られる。

溝口川が近づくと、下部はやや岩壁となりすんなりとは下りられない。
しかしそこをえだ2さんがうまい具合に下降ポイントを見つけてロープの補助なしで無事に着地できた。
僕はちょっとでも下るのが危ういと思ったら、すぐにロープを出してしまうけれど、えだ2さんは的確にフリーで下りられる場所を見つける。
探すのが上手いし、体の使い方も上手い。とても真似出来ないが何とか近づきたいと切に願う。

溝口川についたら笹薮はないので、ストレス無く歩ける。
しかし残念なことに水も無い。
予想はしてたからショックはないけど、ちょっとは水の流れに癒されたかったな。

とにかくようやく滝マークのポイントに近づいた。

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二段の滝

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更に上流にある滝の形

そして現れたのが二段の滝。
うむ、ちゃんとした滝の姿ではないか。流れていればカッコ良いことだろう。流れていれば。

ここは巻かずに右側を直登。と言っても僕は登れず、えだ2さんがサクッと上がってロープ出してくれました。自力で上げれなかったのは悔しい。
この二段の滝の上がちょうど滝マークになるのだけど、滝っぽくない岩盤となり特定は厳しい。

そんな中で見つけたのがこれ。
命名、『おっぱい岩』
滝写真

おっぱい岩

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んまぁ! 破廉恥!

( ゚∀゚)o彡゜おっぱい!おっぱい! こんな感じでノリノリになりました。
とっても面白い岩の形に笑わせて貰いました。

岩盤をうまい具合に越えていくと、もう沢の姿は無くなって、ただの斜面となる。
笹薮が出てきたら嫌だと震えていたが、それほどの濃さではなく余り抵抗なく登っていける。
ただもう私には体力が残っていないので、かなり遅い歩みとなった。

そんな中でもえだ2さんはずっと元気で、常に先行して導いて頂きました。
体力も技術も熱意も全てが滝のために特化している素晴らしい方。ずっと足を引っ張ってしまった感じです。

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岩壁の隙間を登る

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ただの山斜面

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なんとか戻ってきた

ラスト、早朝に溝口川を見下ろしてた御岳スカイラインに戻ってきた時には、日没ギリギリ。
なんとか帰ってこれたけど、ガチンコできつかった。

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駐車場まであと少し

滝写真

日没後の御嶽山

水の無い滝が3つという成果。
滝との出会いとしては物足りないのは否定しないけれど、今回の目的が探索ですから、それはバッチリ成功です。

溝口川には常時水が流れている滝は、去年に行った滝のみなので、それが大樽の滝で間違いないでしょう。それが分かっただけで十分満足なのです。

人にお勧めは出来ませんが、この探索は本当に楽しかった。
全てが謎である中を突き進み、答えを知り、ちゃんと帰って来れたのだ。このような滝の遊び方もあるんだよね。

そして何よりも、尊敬しているえだ2さんと共に挑めた事がとても嬉しい。
好きな人との初デートなんて、どこで遊んだとしても絶対に楽しいでしょ。好きな人が隣にいるだけでハッピーなのだから。

今回の探索滝巡りはまさにそれ。えだ2さんといるだけでとても楽しい。
高さに怖気づいている時も、藪漕ぎの死闘も、それは誠に苦しかった。でも終始ず~っと楽しかったです!
素晴らしい一日をありがとうございました!

6:15 田の原観光センター 駐車場 出発
6:35 鈴ヶ沢東股 下降開始
7:40 20m級の滝の落ち口
8:30 鈴ヶ沢東股の滝マーク
9:15 出発
10:40 20m級の滝 真下
12:45 中間尾根
13:50 溝口川の滝マーク
14:05 おっぱい岩
16:40 御岳スカイライン
16:55 田の原観光センター 駐車場 到着

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