釜滝
Data | 住所 | 静岡県川根本町 |
評価(5段階) | ★★★★★ |
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難易度(5段階) | ◆◆◆◆◆ | |
現地へ | 寸又峡の西部、青ナギ沢にかかる。県道77号で寸又峡の最奥地で駐車。そこからダート道や崩落地などを越えながら進む。距離もさることながら難所等の通過には危険が伴う。 | |
コメント | 「お前がナンバーワンだ」 ドラゴンボールのベジータがこの滝と会ったら、間違いなくこの言葉を呟くと思います。 滝業界(ってあるの?)の中で、滝仙人と崇められている「あっきーさん(リンク参照)」から『究極のヒョングリ』の称号を得た滝と、是非とも対峙したく挑みました。 そのままドラゴンボールつながりで言うと、ベジータ編でクリリンが栽培マンをほぼ一掃した拡散エネルギー弾くらいカッコイイ。 そしてそれ同様の勇ましい放物線を描く滝でもあります。 ヒョングリとは「跳ね返る」という丹沢地方の方言のようで、全国各地に様々な跳ね返る滝がある中で、このピョングリっぷりは類を見ないです。 水の躍動感、それを嫌う滝ヤさんはまずいないでしょう。そしてそれを存分に堪能させてくれるのがヒョングリ滝なのです。 見事に宙を舞う水飛沫。上段は滑り台のように磨かれた岩盤で、水の速度は一気に上がる。 勢いに乗っている水は壁にぶつかり直角に曲がる。そこで抵抗が生じ、スピードを溜め込んだ水は一気に噴き出される。 が、そこで待ち受けるのは鬼の角のように尖った岩盤。水は逆らいようがなくその角に乗り必然と舞い上がる。 更に、その衝撃でまとまっていた水が飛散させられ、いくつもの細かな粒子が放物線を描きながら落ちていく。 太陽に照らされた飛沫はダイヤモンドのように煌めきを放ち、ココロオドルと共に安らぎをくれる。なんとまぁ素敵な事か。 ヒョングリの欠点とすれば、「真横から見るには興奮するけど正面はいまいちピンと来ない」点。 しかし釜滝は違います。正面も凄い。間欠泉のように上空に水が飛び上がっているのがよく分かります。 その姿はまさしくウルトラマンセブン、おっとDBで表現するならチチのブーメランのように放てる兜ですね。 1秒たりとも同じ姿を見せぬ滝の中でも究極の躍動感。絵画では得られぬ芸術的な感動がここにあります。 SL・秘境駅としても有名な静岡の奥地にある寸又峡。 その更に奥地にこの釜滝はあります。県道77号で車で行ける寸又峡の最奥地まで走らせると、終点に数台分の無料駐車場があります。ここには質素ながらもトイレもあって便利です。 もしここが満車であっても、ちょっと戻った所に広くて綺麗な駐車場がありますのでそこを利用されると良いでしょう。 さて、ここでこの滝へ向かう必須アイテムを紹介します。 それは“自転車”です。 この林道はとにかく長く、およそ10km程あります。 歩いて行けない距離ではないですが、相当な時間短縮になりますのでお勧めです。 早速、自転車に乗ってスタート。今回はオフ会として滝を目指しますが、10台も自転車が並ぶと中々異様です。 MTB・ママチャリ・折り畳み自転車と、様々な種類でサイクリングのスタートです。 ちなみに私は「松見の滝」用に購入した折り畳み自転車で向かいます。 最初はアスファルトの道で、ほぼ平坦であり快適に走行出来ます。途中、寸又峡の名物「夢の吊り橋」を見下ろせて観光気分。 そのまま進むと飛龍橋という大きな橋を渡りT字路を左に折れるとアスファルトは終了。ここからはダートの上り坂になります。 ここは頑張って自転車を漕いで体力を削られるよりは、下りて押して進んだ方が良いです。 中々急な上り坂で押しているだけでも息が切れますし、自転車を放り出したくなりますが我慢です。 飛龍橋から進むこと約2.5km程で分岐点。中部電力管理の道が現れます。「立入禁止」とゲートになっているので分かりやすいです。 地形図を見て進んでいる方は要注意。 釜滝は青ナギ沢の760mと記載された地点にありますが、そこに向かう軌道の点線はこのゲートより先にあります。 しかしそこは完全な廃道なので行けません。というか我々はそこまで行って過ちに気付き、下りて来たので間違いありません。全く以って無駄な体力を使いました。やれやれだぜ。 中部電力道のゲート内へ無理矢理に自転車を入れると快適なサイクリングの始まりです。 アスファルトで平坦、漕げば漕ぐほどスピードを増し、風を切るのはとても気持ちいいです。もしここを歩いて進むのならばそれは拷問の一つです。つまらない事この上なし。自転車を捨てないで良かったと心から思いました。 所々、落石が落ちているし真っ暗なトンネルを通るので、口笛吹きながら走れるほどの余裕はありませんが、ダート路に比べれば楽チン。 中部電力施設の取水堤が沢床に見え、アスファルトが切れた所で自転車は終了。ここまで来て盗まれる事はなかろうと思いますが、念のため鍵をかけて、靴紐をしっかりしめて、林道歩きの始まり。 道は終始大間川の左岸を進みます。落石の多いダート路ですが、もともと林業のトロッコ軌道跡ですから、起伏は穏やかで歩きやすいです。 ここからは難所が4つ。 大崩落地の通過が1つ。朽ちた橋の通過が2つ。そして最後の1つはヒルです。 歩き始めてからはヒルをずっと見ながら進んでいたように思います。 枯れ葉の上で、こちらの様子を伺いながらニョロニョロ動いています。靴紐が緩んだので、足を止めて締め直していた所、その隙にズボンの上に這い上ってきた輩もいました。 幸いデコピンで弾いて被害はありませんでしたけど。 大崩落地は道がどこにあるのか分からない状態の程、見事に崩れています。 目指すはかなり上部に見えるコンクリの堤体。 小石が積み上げられた場所をトラバース。その箇所をやり過ごすとデコボコの岩盤が現れ、そこに太い鋼鉄ワイヤーが垂れ下がっているので、それを頼りに登っていくとコンクリ堤体に到着です。ただし岩盤はだいぶ急なので滑落しないように気をつけましょう。ここまで登ると再び軌道を辿れます。 ここでゆっくり緊張を解いて休みたい所ですが、ヒルが歓迎しているので腰を落とせず気が休みません。 大崩落地を終えて、また穏やかなダート路を進み、続いての難所「朽ちた橋・その1」が出て来ます。 ここの橋は怖いです。安定感という言葉は取り除かれています。下は10m程の崖。そこに朽ちたレールと太い木が横たわっています。 このレールと木を頼りに渡るのですが、グラグラ揺れるし木が折れるかも知れないし、落ちたら戻って来れないのは確実だしで、生きた心地はしなかったです。 私は、徃きはその木に足をかけるのが怖かったので、沢へ向かうように急斜面を下りて、橋の先で登って道に戻りました。 このように橋の手前で沢に下りて、ちょっと(100m程)沢靴で遡行すると滝前で簡単に道へ戻れますので、それも有りかと思います。 この橋を越えると釜滝が姿を現し感嘆の声を上げます。 駐車場から3時間30分で到着しました。 滝前に行くには対岸に渡らないと行けないのですが、ここで難所「朽ちた橋・その2」を渡らないといけません。 ただ「その1」に比べれば距離は長いものの鉄骨に安定さがあるので、私自身は怖くなかったです。 しかし人によっては「その2」の方が怖いと言ってましたので、恐怖の対象には個人差があるかと思います。 右岸に渡ると滝壺は目の前に。見事にヒョングっている滝を心ゆくまで楽しみました。 帰路は来た道を戻るだけですが、朽ちた橋を渡るのは怖いし、ヒルは挨拶してくるしで自転車に乗るまでは相変わらず気の抜けない道でした。 更に10台の自転車の中、3台がパンクするというアクシデントも発生。 幸いにも仲間が補修キットを用意してくれていたので、大きな時間ロスにならずに済みました。「ジーコさん」ありがとうございました。 それと、嬉しい事にその道中で少ないながらも見事な肉厚の椎茸を見つけ、天然のお土産を貰ってホクホク。 素焼きで醤油を垂らしただけのシンプルな食べ方ですが、濃厚な味を堪能しました。 |
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他写真 |
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訪問日 | 2011/04/10 |