利根川 支流 広瀬川 支流 粕川
銚子の伽藍 キャニオニング



所在地 | 群馬県前橋市
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---|---|
お勧め度 | ★★★★★ |
難易度 | ◆◆◆◆◆ |
訪問日 | 2025/06/26 |
2025年06月26日
フグさんの記録はこちら!
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絶望の灰色と希望の青と。
有名な赤城不動滝の上流。
赤城山の中央火口丘を粕川が浸食し穿った事で出来た極狭のゴルジュ。
そこは「銚子の伽藍(がらん)」と呼ばれている。
銚子とは酒やお茶をそそぐ器でありその注ぎ口の細さが特徴的である。
伽藍(がらん)とは僧侶が集まり修行する清浄な場所の意味である。
・
・
ええい、漢字が多い! ややこしい!
とにかくよく分からんし書けない伽藍ってのは「がらん」と読むんだなって事は分かった。
何を伝えたいかって言うと、ここに来たらこの歌を口ずさんじゃうよって事。
「悔しいけれど お前に夢中 がらんドゥ!♪」ってね!(西城秀樹 ギャランドゥ)
今回の銚子の伽藍キャニオニングはフグさんにプランニングして頂きました。本当にありがとうございます!
今回はC.C.Aメンバーのヒロさん、フグさん、そしてはるばる関西からえだ2さんが参加の計4人でのパーティーとなります。 キャニオニングに関してはえだ2さんと私はド素人なのでお二人に頼りっぱなしになります。お世話になりました。
最終ゴールは赤城不動滝の下流になるので、登山道途中にある新しい林道の脇に駐車。
昔からここの道は工事してましたが、ついに開通したんですね。便利になるなぁと思ってたけど、本当に便利だよ、ありがたや。
ただ付近に止められるのは二台がマックスかな。ちょっと離れた所にも路肩はあるけど、大勢で来るのはお勧め出来ません。
ここに我々の車を駐車して、ヒロさんの車で一気に上流へ向かいます。
牛石峠と呼ばれる登山口の付近に駐車して、ここから歩き始めます。
ちゃんとした登山道なので歩きやすいです。 20分程山道を下っていくと粕川が現れて、その下流には銚子の伽藍の落ち口が見えました。
ここに立つのはハイキングでも問題なくこれます。
平和な盆地といった景観の中に流れる粕川は穏やかで、でもそのまま下流へ向かうと抉られた絶壁の中へと潜っていきます。
なんという狭さ、そして暗さ。 子供の頃、ジャンケンで何を出すかで悩んだ時に、指を交互に組んで、腕を捻って手を持ち上げて、その手の中を覗いた時に指の隙間から光る穴が何個あるかでジャンケンの手を決めるっていう願掛けをやった事あるかな?
その土地での流行りかも知れないけど、うちらの周りでは給食のデザート余りジャンケンの時とかに使ったりしてました。
その闇のような暗さを思い出しました。
(余談ですが、立てた親指の数を当てる「いっせーのー! イチ!」ってやつ。 この掛け声は、うちらの界隈では「うー! イチ!」って言ってました。独特だねぇ。)
雑談が過ぎました。
と、とにかく銚子の伽藍落ち口から見下ろす世界は光が当たらないようなヤバい空間だって事です。
ここに入っていくなんて、正気の沙汰ではないな。ってのはよく分かる。
狂気の空間に挑むのだ。真っ当な感覚は捨てなければならない。
準備を終えるとフグさんから侵入していく。気合を入れたのか、ハイテンション過ぎるからか分からないけどフグさんの雄たけび一発が伽藍の中で反響した。 他の方のレポを読むと、中に入るには右岸の岩壁から濡れないように懸垂下降しているのだが、さすがキャニオニアは考えが違います。
落ちている滝の中、滝に打たれながら懸垂下降です。
中腹からは腹に滝水がボコンボコンと当たる。油断すると滝の勢いに体が持ってかれそうになる所を、ロープをちゃんと引いてエイト環の制動をしっかり効かせて、足の置く位置を確認しながら下りていく。
浅い滝壺に着水したら、ロープから離れ、自分の足で伽藍を踏む。
見上げる光景は一瞬で変化した。 溶岩が固まったボコボコの岩壁が押し迫ってくるように聳える。それが左右共に。それだけではなく上部にも覆い被さっているように思える。重力が違う。のし掛かるものがある。
流れる水の色は灰色で、その全てが常識とはかけ離れている。
分かり切ったことだが人が憩う所ではない。むしろ逆で損傷していくように思える。
ピノキオがクジラに飲み込まれた時ってこんな感じかね。
消化器官の中に入ったようにしか思えない。
ここにいたら、体は溶かされてしまう。僕らは今、食料として侵入してしまった。
赤城山としては飛んで火にいる夏の虫だろう。エグいゴルジュ作ったらものの見事にキャニオニアが釣れた。
ヤバい所に来たなってのはすぐに分かった。
既に心はこの伽藍の狭さとごつさと威圧感にときめいて溶かされ始めている。
その迫力に魅了されているのだ。
ここに自らの足で立っている事が尊い。ただその空間にいるだけで脅威に震える。素晴らしい圧迫感。伽藍すげえぞ! ちょっと進むと3m程の段差。どうやって下りるか悩んだけど、右壁には良いホールドが沢山あるので、しっかり掴めば安心して下りられる。
勿論、モロに濡れるけどね。
そして再びの落ち口。左壁にアンカーがあるので、そこからロープを下す。
まずはフグさんが先行で下降し、真ん中にはえだ2さんと私、殿にヒロさんを配置する。えだ2さんと私、キャニオニング素人の我々を守る陣形でとても暖かい限りです。
えだ2さんが腰を落とし足を広げてしっかりバランスを取って下りていく。
下りた先は見えないけれど、フグさんからOKの案内(笛を2回吹く)が来ると、滝壺からえだ2さんからの大声が聞こえた。
興奮している叫び声。
滝を見ても淡々としているえだ2さんなので、そのはしゃいでいる姿には驚いた。多分楽しんでいるのかな。
いくつかの滝が現れ、フグさんを筆頭に懸垂下降。
水の中の懸垂下降は足元が見えない分、バランスを崩しやすい。しっかり腰を落としていないと体が伸びきって指が岩にぶつかってしまうので、気を付けないといけない。 途中ではフグさん、ヒロさんからロープワークを教えて頂いた。
うまく手首を捻じりながらカラビナにセットすると見事に固定される。
ササっと出来るその動きに惚れ惚れする。一朝一夕で出来るものではないので、自宅で練習しないといけないな。頑張ろう。
何度かの滝の落ち口に立ち、いくつかの懸垂下降を行う。
最後の小滝(伽藍滝)を終えると側壁高い崖から解放されて空が広がる空間に出た。
差し込む青空と光が輝かしい。
運が良いことに青い空が僕らを照らしてくれて、神のご加護を頂いた感じがした。 これで銚子の伽藍は終わりを告げた。
その距離、およそ300mくらいだろうけど、とてつもない充足感。
味の濃すぎるラーメン、いやそんなもんじゃないな。特上カルビって感じで口に中に入れたとたんに肉汁と旨味が広がり全身がとろけるような桃源郷な時間。
これぞ正しくとんでもネイチャーな空間に胸焼けしちゃいそうなくらい(キャベジン飲んどけばよかったよ)濃ゆ~い世界を堪能いたしました。
これで終わりかな。これより下流にも滝はあるようだけど、高巻いている表記しかないから、車を目指して巻き道を下って行くのだろうと思いました。
実際に右岸には高巻き道が見えるしね。
いやいやいや、そんなんじゃ終わらないのがC.C.Aの活動ですよ。
銚子の伽藍は一次会。ここからは二次会だ。
下流には「錦の滝」「夫婦滝」「亀割の滝」という3つの滝が存在している。
キャニオニングは巻く訳ないっしょ。下降っしょ。
もう銚子の伽藍で十分にお腹一杯なのに、まだカルビが運ばれてくる。
まずは錦の滝。 ここはそれほど大きくはないのだけど、落ち口はチョックストンが挟まっているように空間が生まれているため、懸垂下降をすると空中懸垂となる。
そこに落ち口から落ちてくる滝水が体にのし掛かるので如何に冷静に対処出来るかが問題だった。
でも大丈夫。
次に来るのが、夫婦滝。
これはデカい。20mはあるな。
周囲の崖の威圧感と、滝壺までの遠さに引くものがある。
フグさんがサラッと言う。
「あそこの落ち口まで行って、そこから懸垂です」と。
どうやらそこにアンカーが打たれているようだ。
えーっと、どうやって行くの?
そもそもそれが正道なの?
トイ状に勢いよく流れている水の中を下りていき、落ち口脇にあるアンカーにロープをセット。
そこからは滝壺まで一気に懸垂下降を行う。 この落ち口まで向かうというのが、そもそも怖い。
フグさんの気合い一発の掛け声から、ロープが張られ、安全に下りられるようにセットが構築されていく。
なぜそんなギリギリの縁を攻めなければならないのか、もっと安全な場所から懸垂下降が出来るポジションは周囲に沢山あるのに。
そんな疑問をヒロさんに尋ねたところ、「その方が水に当たれるじゃん❤️」ってウキウキしたパリピな言葉が返ってきた。
これがキャニオニアか・・・。
攻めてナンボ、水に飛び込んでナンボ。
勿論、そんなノリだけの行動ではなく根底には綿密に計算された安全第一の作法がある。
その安全の基準の中で、ギリギリを攻めているように思う。
だからこそ、そこでしか見れない光景があり、それを愛して止まない方々がキャニオニアなのだろう。
私にはその覚悟も技術も足りていない。
フグさんのセットが終わったので、下降開始だ。
まずはトイ状の上から張られたロープにエイト環をセットして落ち口へと目指す。
足を滑らせたらそのまま滝下へと放り出されてしまうのではと心配になるが、別に岩壁沿いにロープが張られており、そこにカラビナをかけているので滑っても落ちる事はない。
って事は理論では分かっているけど、だからといって心配は拭えない。
そんな中で、一歩一歩慎重に下りていく。 落ち口脇にあるアンカーにスタンバイしているフグさんと合流。
ここからエイト環を滝下へと垂直に下がるロープを掛け替える。
これが本当に怖い。
まずはここまで下りてきたロープをエイト環にグルグルと巻き付け(ちゃんとやり方があるよ)、これ以上下がらないようにロック。
これでロープから手を放しても下がることなく、手が自由に動けます。
セルフビレイ(カラビナとスリング)を落ち口アンカーにセットして、セルフビレイにテンションをかける。
これでエイト環は外せるので、固定してたロープを解除して、エイト環からロープを外す。
外れたエイト環を落ち口アンカーから下りているロープにセット。
セルフビレイのテンションから、エイト環へとテンションが移ったのを確認したら、エイト環を固定する。
セルフビレイをアンカーから外す。
ロックしていたロープを解除して、懸垂下降を始める。
うむ、カタカナが多過ぎで、訳分からんな。
何を伝えたいかと言えば、とにかく怖えって事です。
人が造ったものには簡単に信用する癖に、自分で自作したものには、不安でならない。
今回のセルフビレイ(命綱)は好日山荘で切り売りのロープを買って、それを自分で結んだもの。
この結びがほどけたら、落下しちゃうんだなと考えてしまう。本当に大丈夫か? そんな疑問ばかり。
気分はまさにコレ。
普段通りの自然体で挑めばササッと作業出来たと思うが、崖っぷちで不安たっぷりでは全く冷静になれず、変な力の入れ方と緊張感から「もうどうにでもな~れ」って投げやり感も出てきて、操作は停滞するばかり。
横にいるフグさんが冷静に的確な指示を飛ばしてくれて、内視鏡検査をするときに横にいてくれる看護士さんのように暖かかった。 何とか無事に懸垂下降を始めれば、夫婦滝の真横を下りるプラチナな景色。
この状態になるには難易度は高いけれどそれに余りある凄い世界が見れた。
キャニオニングならではだね。 夕方から雨予報の今日は、午後からは天気が悪くなっていき、太陽はなくなり雲が増える。
最後の亀割りの滝の下降については霧に覆われてしまいよく分からなかったのが残念かな。 この名のある三つの滝を終えると堰堤が現れる。
更に下れば赤城不動滝の落ち口に至る。
C.C.Aでは不動滝も下降したようだが、脆い岩盤で落石激しい非常に危うい下降になったとの事なので、今回は素人の私がいる故に安全を優先し、ここでキャニオニングを終了とした。
左岸には尾根があり、何となくの踏み跡が見える。
藪は薄いので進みやすいが後半はなかなかの急斜面となるので、ジグザグと斜めに移動しながらゆっくりと確実に登っていくと登山道と合流。
あとは南下していけばアスファルトの林道に簡単に復帰。無事に車へと戻ってこれました。
伽藍のハードさとは裏腹にエスケープはソフトで良いですね。 締めは冷えた体を回復させる為に温泉へ。
ただそこに行くまでに寝落ちしながら運転してて、危うく信号無視しそうになってヤバかった。
風呂上がりの食事では夫婦滝の下降が怖かったと話題に。
えだ2さんがフグさんに質問。
もっと右壁の方が安全に懸垂下降出来るのではないか、と。
「あそこ(落ち口)からの方が水に当たれるから❤️」って楽しそうに語るフグさんに我々は呆れるばかり。
キャニオニアはスゴい。俺はまたもやそう思った。
絶望の灰色と希望の青と。
有名な赤城不動滝の上流。
赤城山の中央火口丘を粕川が浸食し穿った事で出来た極狭のゴルジュ。
そこは「銚子の伽藍(がらん)」と呼ばれている。
銚子とは酒やお茶をそそぐ器でありその注ぎ口の細さが特徴的である。
伽藍(がらん)とは僧侶が集まり修行する清浄な場所の意味である。
・
・
ええい、漢字が多い! ややこしい!
とにかくよく分からんし書けない伽藍ってのは「がらん」と読むんだなって事は分かった。
何を伝えたいかって言うと、ここに来たらこの歌を口ずさんじゃうよって事。
「悔しいけれど お前に夢中 がらんドゥ!♪」ってね!(西城秀樹 ギャランドゥ)
今回の銚子の伽藍キャニオニングはフグさんにプランニングして頂きました。本当にありがとうございます!
今回はC.C.Aメンバーのヒロさん、フグさん、そしてはるばる関西からえだ2さんが参加の計4人でのパーティーとなります。 キャニオニングに関してはえだ2さんと私はド素人なのでお二人に頼りっぱなしになります。お世話になりました。
最終ゴールは赤城不動滝の下流になるので、登山道途中にある新しい林道の脇に駐車。
昔からここの道は工事してましたが、ついに開通したんですね。便利になるなぁと思ってたけど、本当に便利だよ、ありがたや。
ただ付近に止められるのは二台がマックスかな。ちょっと離れた所にも路肩はあるけど、大勢で来るのはお勧め出来ません。
ここに我々の車を駐車して、ヒロさんの車で一気に上流へ向かいます。
牛石峠と呼ばれる登山口の付近に駐車して、ここから歩き始めます。
ちゃんとした登山道なので歩きやすいです。 20分程山道を下っていくと粕川が現れて、その下流には銚子の伽藍の落ち口が見えました。
ここに立つのはハイキングでも問題なくこれます。
平和な盆地といった景観の中に流れる粕川は穏やかで、でもそのまま下流へ向かうと抉られた絶壁の中へと潜っていきます。
なんという狭さ、そして暗さ。 子供の頃、ジャンケンで何を出すかで悩んだ時に、指を交互に組んで、腕を捻って手を持ち上げて、その手の中を覗いた時に指の隙間から光る穴が何個あるかでジャンケンの手を決めるっていう願掛けをやった事あるかな?
その土地での流行りかも知れないけど、うちらの周りでは給食のデザート余りジャンケンの時とかに使ったりしてました。
その闇のような暗さを思い出しました。
(余談ですが、立てた親指の数を当てる「いっせーのー! イチ!」ってやつ。 この掛け声は、うちらの界隈では「うー! イチ!」って言ってました。独特だねぇ。)
雑談が過ぎました。
と、とにかく銚子の伽藍落ち口から見下ろす世界は光が当たらないようなヤバい空間だって事です。
ここに入っていくなんて、正気の沙汰ではないな。ってのはよく分かる。
狂気の空間に挑むのだ。真っ当な感覚は捨てなければならない。
準備を終えるとフグさんから侵入していく。気合を入れたのか、ハイテンション過ぎるからか分からないけどフグさんの雄たけび一発が伽藍の中で反響した。 他の方のレポを読むと、中に入るには右岸の岩壁から濡れないように懸垂下降しているのだが、さすがキャニオニアは考えが違います。
落ちている滝の中、滝に打たれながら懸垂下降です。
中腹からは腹に滝水がボコンボコンと当たる。油断すると滝の勢いに体が持ってかれそうになる所を、ロープをちゃんと引いてエイト環の制動をしっかり効かせて、足の置く位置を確認しながら下りていく。
浅い滝壺に着水したら、ロープから離れ、自分の足で伽藍を踏む。
見上げる光景は一瞬で変化した。 溶岩が固まったボコボコの岩壁が押し迫ってくるように聳える。それが左右共に。それだけではなく上部にも覆い被さっているように思える。重力が違う。のし掛かるものがある。
流れる水の色は灰色で、その全てが常識とはかけ離れている。
分かり切ったことだが人が憩う所ではない。むしろ逆で損傷していくように思える。
ピノキオがクジラに飲み込まれた時ってこんな感じかね。
消化器官の中に入ったようにしか思えない。
ここにいたら、体は溶かされてしまう。僕らは今、食料として侵入してしまった。
赤城山としては飛んで火にいる夏の虫だろう。エグいゴルジュ作ったらものの見事にキャニオニアが釣れた。
ヤバい所に来たなってのはすぐに分かった。
既に心はこの伽藍の狭さとごつさと威圧感にときめいて溶かされ始めている。
その迫力に魅了されているのだ。
ここに自らの足で立っている事が尊い。ただその空間にいるだけで脅威に震える。素晴らしい圧迫感。伽藍すげえぞ! ちょっと進むと3m程の段差。どうやって下りるか悩んだけど、右壁には良いホールドが沢山あるので、しっかり掴めば安心して下りられる。
勿論、モロに濡れるけどね。
そして再びの落ち口。左壁にアンカーがあるので、そこからロープを下す。
まずはフグさんが先行で下降し、真ん中にはえだ2さんと私、殿にヒロさんを配置する。えだ2さんと私、キャニオニング素人の我々を守る陣形でとても暖かい限りです。
えだ2さんが腰を落とし足を広げてしっかりバランスを取って下りていく。
下りた先は見えないけれど、フグさんからOKの案内(笛を2回吹く)が来ると、滝壺からえだ2さんからの大声が聞こえた。
興奮している叫び声。
滝を見ても淡々としているえだ2さんなので、そのはしゃいでいる姿には驚いた。多分楽しんでいるのかな。
いくつかの滝が現れ、フグさんを筆頭に懸垂下降。
水の中の懸垂下降は足元が見えない分、バランスを崩しやすい。しっかり腰を落としていないと体が伸びきって指が岩にぶつかってしまうので、気を付けないといけない。 途中ではフグさん、ヒロさんからロープワークを教えて頂いた。
うまく手首を捻じりながらカラビナにセットすると見事に固定される。
ササっと出来るその動きに惚れ惚れする。一朝一夕で出来るものではないので、自宅で練習しないといけないな。頑張ろう。
何度かの滝の落ち口に立ち、いくつかの懸垂下降を行う。
最後の小滝(伽藍滝)を終えると側壁高い崖から解放されて空が広がる空間に出た。
差し込む青空と光が輝かしい。
運が良いことに青い空が僕らを照らしてくれて、神のご加護を頂いた感じがした。 これで銚子の伽藍は終わりを告げた。
その距離、およそ300mくらいだろうけど、とてつもない充足感。
味の濃すぎるラーメン、いやそんなもんじゃないな。特上カルビって感じで口に中に入れたとたんに肉汁と旨味が広がり全身がとろけるような桃源郷な時間。
これぞ正しくとんでもネイチャーな空間に胸焼けしちゃいそうなくらい(キャベジン飲んどけばよかったよ)濃ゆ~い世界を堪能いたしました。
これで終わりかな。これより下流にも滝はあるようだけど、高巻いている表記しかないから、車を目指して巻き道を下って行くのだろうと思いました。
実際に右岸には高巻き道が見えるしね。
いやいやいや、そんなんじゃ終わらないのがC.C.Aの活動ですよ。
銚子の伽藍は一次会。ここからは二次会だ。
下流には「錦の滝」「夫婦滝」「亀割の滝」という3つの滝が存在している。
キャニオニングは巻く訳ないっしょ。下降っしょ。
もう銚子の伽藍で十分にお腹一杯なのに、まだカルビが運ばれてくる。
まずは錦の滝。 ここはそれほど大きくはないのだけど、落ち口はチョックストンが挟まっているように空間が生まれているため、懸垂下降をすると空中懸垂となる。
そこに落ち口から落ちてくる滝水が体にのし掛かるので如何に冷静に対処出来るかが問題だった。
でも大丈夫。
次に来るのが、夫婦滝。
これはデカい。20mはあるな。
周囲の崖の威圧感と、滝壺までの遠さに引くものがある。
フグさんがサラッと言う。
「あそこの落ち口まで行って、そこから懸垂です」と。
どうやらそこにアンカーが打たれているようだ。
えーっと、どうやって行くの?
そもそもそれが正道なの?
トイ状に勢いよく流れている水の中を下りていき、落ち口脇にあるアンカーにロープをセット。
そこからは滝壺まで一気に懸垂下降を行う。 この落ち口まで向かうというのが、そもそも怖い。
フグさんの気合い一発の掛け声から、ロープが張られ、安全に下りられるようにセットが構築されていく。
なぜそんなギリギリの縁を攻めなければならないのか、もっと安全な場所から懸垂下降が出来るポジションは周囲に沢山あるのに。
そんな疑問をヒロさんに尋ねたところ、「その方が水に当たれるじゃん❤️」ってウキウキしたパリピな言葉が返ってきた。
これがキャニオニアか・・・。
攻めてナンボ、水に飛び込んでナンボ。
勿論、そんなノリだけの行動ではなく根底には綿密に計算された安全第一の作法がある。
その安全の基準の中で、ギリギリを攻めているように思う。
だからこそ、そこでしか見れない光景があり、それを愛して止まない方々がキャニオニアなのだろう。
私にはその覚悟も技術も足りていない。
フグさんのセットが終わったので、下降開始だ。
まずはトイ状の上から張られたロープにエイト環をセットして落ち口へと目指す。
足を滑らせたらそのまま滝下へと放り出されてしまうのではと心配になるが、別に岩壁沿いにロープが張られており、そこにカラビナをかけているので滑っても落ちる事はない。
って事は理論では分かっているけど、だからといって心配は拭えない。
そんな中で、一歩一歩慎重に下りていく。 落ち口脇にあるアンカーにスタンバイしているフグさんと合流。
ここからエイト環を滝下へと垂直に下がるロープを掛け替える。
これが本当に怖い。
まずはここまで下りてきたロープをエイト環にグルグルと巻き付け(ちゃんとやり方があるよ)、これ以上下がらないようにロック。
これでロープから手を放しても下がることなく、手が自由に動けます。
セルフビレイ(カラビナとスリング)を落ち口アンカーにセットして、セルフビレイにテンションをかける。
これでエイト環は外せるので、固定してたロープを解除して、エイト環からロープを外す。
外れたエイト環を落ち口アンカーから下りているロープにセット。
セルフビレイのテンションから、エイト環へとテンションが移ったのを確認したら、エイト環を固定する。
セルフビレイをアンカーから外す。
ロックしていたロープを解除して、懸垂下降を始める。
うむ、カタカナが多過ぎで、訳分からんな。
何を伝えたいかと言えば、とにかく怖えって事です。
人が造ったものには簡単に信用する癖に、自分で自作したものには、不安でならない。
今回のセルフビレイ(命綱)は好日山荘で切り売りのロープを買って、それを自分で結んだもの。
この結びがほどけたら、落下しちゃうんだなと考えてしまう。本当に大丈夫か? そんな疑問ばかり。
気分はまさにコレ。
普段通りの自然体で挑めばササッと作業出来たと思うが、崖っぷちで不安たっぷりでは全く冷静になれず、変な力の入れ方と緊張感から「もうどうにでもな~れ」って投げやり感も出てきて、操作は停滞するばかり。
横にいるフグさんが冷静に的確な指示を飛ばしてくれて、内視鏡検査をするときに横にいてくれる看護士さんのように暖かかった。 何とか無事に懸垂下降を始めれば、夫婦滝の真横を下りるプラチナな景色。
この状態になるには難易度は高いけれどそれに余りある凄い世界が見れた。
キャニオニングならではだね。 夕方から雨予報の今日は、午後からは天気が悪くなっていき、太陽はなくなり雲が増える。
最後の亀割りの滝の下降については霧に覆われてしまいよく分からなかったのが残念かな。 この名のある三つの滝を終えると堰堤が現れる。
更に下れば赤城不動滝の落ち口に至る。
C.C.Aでは不動滝も下降したようだが、脆い岩盤で落石激しい非常に危うい下降になったとの事なので、今回は素人の私がいる故に安全を優先し、ここでキャニオニングを終了とした。
左岸には尾根があり、何となくの踏み跡が見える。
藪は薄いので進みやすいが後半はなかなかの急斜面となるので、ジグザグと斜めに移動しながらゆっくりと確実に登っていくと登山道と合流。
あとは南下していけばアスファルトの林道に簡単に復帰。無事に車へと戻ってこれました。
伽藍のハードさとは裏腹にエスケープはソフトで良いですね。 締めは冷えた体を回復させる為に温泉へ。
ただそこに行くまでに寝落ちしながら運転してて、危うく信号無視しそうになってヤバかった。
風呂上がりの食事では夫婦滝の下降が怖かったと話題に。
えだ2さんがフグさんに質問。
もっと右壁の方が安全に懸垂下降出来るのではないか、と。
「あそこ(落ち口)からの方が水に当たれるから❤️」って楽しそうに語るフグさんに我々は呆れるばかり。
キャニオニアはスゴい。俺はまたもやそう思った。
8:00 牛石峠 出発
8:20 銚子の伽藍 落ち口
10:00 伽藍滝
10:40 錦滝
12:00 夫婦滝
13:15 亀割の滝
14:30 堰堤上
15:00 登山道
15:40 車道 駐車場所 到着
8:20 銚子の伽藍 落ち口
10:00 伽藍滝
10:40 錦滝
12:00 夫婦滝
13:15 亀割の滝
14:30 堰堤上
15:00 登山道
15:40 車道 駐車場所 到着