阿武隈川 支流 荒川
風岩の滝




所在地
福島県福島市

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆
現地へ 土湯温泉の西部。男沼に向かう林道から奥に進み、荒川に入渓し沢登り。
訪問日 2020年6月21日

コロナ禍自粛から県外移動が可能になった2日後の日曜日。
滝に行きたくても行けない日々を悶々と過ごした4・5月の鬱憤を晴らせた素晴らしい滝巡りとなりました。

昨年の西会津町の男滝と同様に、当日の予定は埼玉県の豆焼沢でしたが、どうにも天気が芳しくないので代替案に変更。自粛解除になったからこそ福島県まで走らせる事が出来ました。

この滝はあっきーさんから教えて頂いた「ふくしまの滝」という素晴らしい本にデカデカと掲載されています。
生憎、その本では滝の行き方は記載されていませんでしたので、どこに滝があるのか、どのような道中になるのか詳細不明で、出たとこ勝負の冒険って感じで非常にワクワクしました。

まず、この滝は荒川の名瀑「幕滝」の下流にあります。地形図を見る限り、下流部で滝マークがあるのは一か所だけ。そこを航空写真で確認すると確かに滝の存在が確認できました。こんな風に行かなくてもパソコンであるていど滝の状態が見れるとは本当に便利な世の中になりましたね。
位置に当たりをつけられても、出会えるのかは別問題。こればっかりは自分の足で進まないと判断取れません。

どのようにアプローチするかを検討。滝の下流に堰堤があり、その近くまで林道が伸びている。おそらく堰堤工事用の道だと思われる。この堰堤から遡行する手段となりそうだ。問題はこの林道が歩けるか、ですが、確認すると不動湯温泉に向かう十字路でゲートが出てくるようだ。
つまりはそこから歩き始めとなりますが、林道を歩くのは非常に遠回りになるので、栂森の南にある破線で描かれている登山道を利用して堰堤に向かうよう決めました。

当日、あっきーさんとサモハンさんと合流し、一台で東北道を進む。行きも帰りもずっと運転して頂いたサモハンさんに感謝申し上げます。ありがとうございました。

ちなみに車中ではお笑い第七世代の話から膨らんで、自分たちは滝のどの世代になるのかを談義。
彩志会や全日本瀑布連合(全瀑連)が第一世代とすると、いちご会や個人の滝HPが開設され相互リンクで賑やかだったのが第二世代、mixi等のSNSでの交流が盛んになった第三世代、FacebookやTwitterが第四世代? Instagramは第五世代か? とか話してました。
じゃあ自分はどこの世代なのか? 滝巡りを始めて二十年は過ぎてますが、今回のように滝を愛する仲間と交流を始めたのはmixiからですので、第三世代かな~と勝手に判断しました。どなたか滝仲間やグループの系譜でも作ってくれると嬉しいな。

土湯温泉は良い感じの観光地。久しぶりの温泉街を見てワクワクし始める。ますは観光地として掲載されている男沼に向かう細道を走行。
途中から砂利道になりますが整備されていて走りやすい。歩き始めと予想している十字路に到着。やはりゲートが立ちはだかっていて車はここまでって感じ。

路肩のスペースは十分にあるので車を止めて歩き始め。不動湯温泉に向かうように南下。栂森に向かう破線に到着。明確な踏み跡がある。ここまでは順調。
しかし5分くらい歩くと急変。道が完全に消えた。ここから西へ林道との合流まで約2.6kmも藪漕ぎして進んでいくのかと思うと、時間がどれだけ消費させられるのか想像がつかない。これなら距離は長いけれど安全な林道を歩いたほうが時間の目途が立つので安心だ、ということで最初の十字路まで戻る。

ここから長い長い林道歩きの始まり。地形図で林道を計測すると終点までは約6.6km。時間にして2時間くらいになるのかな。距離の長さに若干ため息が漏れたが、滝の為なら苦にはならぬと気合を入れる。

現れるゲート。これが無ければなとゲートを押すとあっさり開いてしまった。ありゃびっくり。で、周りにある看板を見ると「入った場合の責任は負わないンゴ」って書いてある。という訳で自己責任を認識した上で車に乗って林道を進みます、めっちゃ楽ちんヒャッホー。

ゲートの先の林道も整備は良好。走りやすいフラットダート。塩の川に向かう登山道の起点では登山客であろう一般車が普通に駐車している。他にも入っている人がいるのは一安心です。
林道終点まで残り400mって所で木が横倒しになっていて唐突に林道終了。ここは4〜5台は駐車出来るくらいの広いスペースがありました。


もうこれ以上は車では行けない。残りは少ないので、ここで入渓スタイルに着替えて本当の出発。林道歩きがカットできたのは本当にこの上ない幸せです。

その先は林道跡がちゃんと続いていて、踏み跡もある。というかこんなに巻かなくても迷わないよってドン引きしちゃうくらいピンクテープが沢山巻かれている。堰堤管理の仕事なのか、僕たちのような滝好きなのか分からないけれど、ガイドがあるのはとても有難い。
そのままピンクテープを辿っていくと、鋼鉄の頑丈な階段が現れた。これもまたビックリ。林道歩かない、階段がある。なんて至れり尽くせりなんだろう。苦戦するだろうと思っていたのに、こんなに親切だったとはやや拍子抜け。でも楽に越したことはないから感謝して階段を利用させて頂く。
苦労なく堰堤に到着。あんまり見ない堰堤の造りに異様さを感じる。


異様といえばこの荒川は凄い。硫黄臭プンプン、湯の花だと思うけど岩盤を触れば手がオレンジ色に染まる。さすが土湯の温泉地。この荒廃とした荒々しい雰囲気、異質な世界は大好きです。
さあ、進んでいこう。ここまではかなり楽が出来た。このまま難所もなく滝に出会えるとは思ってはいけない。気を引き締めよう。

すると現れるは深い釜。青白い釜は底がよく見えないけれど足がつかない深さがあるのは分かる。脇をへつって進めるけれど滑ったらドボンなので防水パッキングもちゃんと締め直す。

太ももくらいまで浸かったが、水はややぬるめ。夏の河川でももっと冷たいのにと首を捻るが、どこかから源泉が流れ込んで水温を上げているのかと想像してみた。


釜を終えると5mほどの小滝。これは綺麗。しばし写真撮影の時間となる。
滝の右側を直登したが、湯の花でコーティングされている岩盤はヌルヌルしていてやや上り難かった。登り切ってズボンをみると湯の花にこすれてオレンジ色に染まっていた。

この先も独特なビジョンが続いていく。箱根の大涌谷、登別の地獄谷のように火山独特な谷の中を歩んでいる。硫化水素のような毒ガスが出ていなければ良いけどなんて心配になるけど、それ以上にこのワイルドな景観に興奮してしまって楽しくて仕方ない。


この先は大岩地帯。簡単には越えられない大きな岩が積まれていて行く手を阻む。迷路のようにウロウロしつつどこから越えるか探して進むので歩みは遅くなる。左岸の樹林の中にピンクテープと境界杭が見えた。緩やかに登っていけるような斜面だったのでエスケープルートとして使えるかも知れない。

出発から1時間15分。目の前にはオレンジ色の壁が立ちふさがった。そしてその岩盤から荒ぶる水が滝壺に一気に落ちている。風岩の滝に到着した。


高さは30m程か。大きさは申し分なし。狭まった岸壁から放出される飛沫の威力は凄まじい。その空間は気圧される迫力を持っているものの、居心地は良し。深い滝壺が良い癒しになっているからだろうか。

滝壺の淵から滝を見上げる。目の前で浴びる爆風マシマシの飛沫は一瞬でずぶ濡れになるが心地よさに満ち溢れている。温泉を浴びていると思うとなんかすごい効能があるんじゃないか期待しつつ全身で飛沫を受け止める。分かった効能は「ストレス解消」「疲労回復」。この二つは間違いなく感じられました。

滝の見える場所ではどこでも飛沫が散布されているので、カメラを構えるとレンズに水滴がついてくるので拭うのに忙しない。ちゃんと撮れたと思っていたけれど、半分以上が水滴で失敗写真だったのが悔しい。液晶モニターでチェックして大丈夫だと思ったけれど、失敗写真の連続。老眼で液晶モニターが明確に見えなくなってきていて悲しくなる。

ご飯を食べたり、写真を撮ったり、思い思いに滝を楽しむ。岩盤を見ていて不思議に思う、この滝の上流に美瀑の「幕滝」があるとはどうも信じられない。それだけ景観に違いがありすぎる。
荒川という一つの河川を家族に見立てると、上流の幕滝が親であり、この風岩の滝は子供に当たるだろう。こんなに姿形が変わるなんて本当に血縁関係があるのだろうかと疑問に思ったが、桑田真澄とMATTの親子関係を思うと十分に納得が出来た。素晴らしい河川なんですね。良い親子です。

帰路、5mの小滝では万全を期して懸垂下降。それ以外は軽快な歩きで堰堤まであっさり戻ってこれた。階段は全部で320段あった。急斜面に設けられているので息は切れたが、この階段がなかったら相当な苦労を強いられていたと思う。
林道走行、階段と難易度をグッと下げてくれた。滝前の空間は広いので複数人で楽しむオフ会向きの滝だと思います。お勧めです。


夕方、今日の滝巡りを終えて土湯温泉へ。せっかくなんだから温泉に入りたいと日帰り温泉を検索。
遅くまで入浴させてくれる所は少ない中、「福うさぎ」という旅館は利用させてくれるようで立ち寄ってみた。
明日は平日だというのに大繁盛。コロナ禍での福島県民限定宿泊割引のお陰かなと従業員の方は言ってました。
送迎バスを我々の為に動かしてくれて、日帰り温泉の利用だけでは恐縮しちゃう。
「コロナには負けてられないからね!」と笑顔で語る従業員の元気さは、温泉の効能の一つとして心にも体にも沁みこみました。


8:45 林道 出発
9:00 堰堤
10:00 風岩の滝 到着

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