男滝
(鬼光頭沢)








所在地
福島県西会津町

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆
現地へ 磐越道「西会津I.C」の西部。鬼光頭沢の上流部。ガイド道を1〜2時間で到着。案内は全くない。
訪問日 2019年6月9日

関東が梅雨に入ってしまい、どこに行っても天気が悪そうな感じで、元々は奥秩父の予定でしたが雨に降られる可能性が高いので、行き先を変更。

あっきーさんとサモハンさんと鶴ヶ島近辺で合流し、どこに行こうか迷いに迷って深夜2時、ようやく目指す滝が決定。
埼玉から西会津へ、いざ約300kmの物凄い強行滝巡りが始まりました。

ここの滝は以前から行きたいと思ってましたが、水量に不安がある滝でしたので機会を逸していました。
雪解けの水が期待出来るかもという希望と、北に行くほど雨を避けられるという逃亡、その二つを元に現地入りです。

西会津町では毎年この滝のガイドツアーを行っているようで、道が整備されている模様。ただし現地への案内は全くありません。町のパンフレットに滝が写真付きで紹介されているのに、何にも案内が無いのは不思議です。

案内はなくてもガイド用の道を見つけながら行ければあんまり苦労しないで到達出来るだろうと簡単に考えてました。勿論、距離はあるのでその点の準備は怠ってはおりません。


鬼光頭沢の脇のアスファルト道を進み、集落を越えていくとY字路が出まして、空きスペースに駐車。この地点から高速の磐越道が下部に見えました。

Y字路を左に、沢に下りる方向を進むと田んぼが広がるので、その脇を南進。時期的に高くはない藪を進んでいくと堰堤用の巨大なコンクリートのU字溝が現れました。これを越えるのが全く出来ないので、その脇を下降していくと無事に鬼光頭沢に到着しました。下りた所は藪が多く斜面もなかなか厳しかったので、ここはガイド道でないでしょう。

沢に下りて踏み跡や行き先を示すピンクテープ等を探しましたが全然見当たりません。仕方ないのでそのまま沢の中をバシャバシャ入って遡って行きます。

この鬼光頭沢は地形図で見る限り滝マークも崖マークもなく等高線も非常に緩やかで、だから沢沿いを進んでも穏やかな沢を進むだけの優しい沢登りだろうと値踏みしてました。

当初は予想通りでのんびりとした沢歩き。沢はタンニンを含んだ独特な赤茶色の水が流れていて、周囲の景観はグリーンタフと言われる緑色の岩盤が包む珍しい雰囲気で、「まるでマスクメロンや〜」とその色を楽しみながら優雅に歩いて行きます。


なんか怪しいなぁと思ったのはその20分後くらい。周囲の岩壁が高くなっていき、そして川幅が狭まって行きます。

視界が岩壁だけになったら小滝の登場。その先をチラッと見ても暗く狭いまま。

なんとゴルジュが出現しました。予想外にビックリですが、最初に出てきた小滝はタンニンが沈殿したどす黒い滝壺で、非常に珍しい景観に大興奮。


戻って高巻くという選択は考えられず、ゴルジュ内に突入を選択。

そんなに濡れる事はなかろうと安易に判断していた自分は防水パッキングをしないで来てしまった。

滝壺は深く、もしも滝壺に落ちたら自身の怪我はなくてもカメラは致命傷を負う事でしょう。

ここから私は絶対に落ちられない戦いが始まりました。ダチョウ倶楽部の「聞いてないよ〜!」が頭の中で連呼されてましたが、2人は色んな想定をして道具も持参し防水パッキングの処理もして挑んでいました。自分の滝に対する認識の甘さが露見されて反省した次第です。

いつも以上に緊張しながら滝を越えて行きます。小滝小滝小滝の連続。腰まで浸かるのは良いとして、ひっくり返ってザックが濡れるのだけは阻止しないといけないので慎重な足取り。

滝を越えて、目まぐるしく変化する景色を見るのはアクション映画の中に入ったかのようでとっても楽しい。


濡れるのを想定した準備をしていれば、もっと大胆な動きが出来てとても楽しかっただろうと思うと悔しかったです。

ゴルジュの出口、ここは深すぎる滝壺で絶対にカメラが浸水してしまう事から、左岸から高巻きしてゴルジュを終えました。

滝壺に入って越えていればゴルジュ完遂だったのに、私の準備の甘さで2人の楽しみを奪ってしまいました。申し訳ありません。

ゴルジュを終えればしばらく穏やかな様相。たまにガイド道かなって思える踏み跡らしい所を発見するも藪が多く歩き辛くて沢の中に戻る。

第2のゴルジュなのか、再び両岸が狭くなって来ました。しかし今回は岩質が変化したのかすり鉢状の釜のようになっていて、滑る苔がビッシリついていて足を取られて転びそうになる。

苔でこける、って面白いシャレを思いついたものの、シャレにならない苔の滑り加減に進むことが出来ず、右岸から高巻く事に。

泥斜面を上がっていくと明確な踏み跡が出現。ようやく出会えたガイド道。沢からだいぶ離れていたのですね。


ここからはもう高速道路と同じ。遮る物はなくサクサク進んでいけます。
ずっと右岸の上にある平坦な道で行けるかと思いましたが、一度沢に戻らされたらまた道が分からなくなってしまいました。


もう距離も残り僅かだしと沢の中を進みプチゴルジュを越えて行くと特徴的な二俣に到着。右俣の先を見ればもう男滝は姿を表しています。

水量は決して多いわけではないですが、それなりの量があって滝としての体を成しています。
落差は上部のナメの部分を合わせると40〜50mと推測。立派な大きさです。

圧巻は滝を包む岩盤にあるでしょう。非常に細かな柱状摂理がこの滝の特徴です。櫛を使って綺麗なストレートヘアにしたかのように整っています。
滝の落水のラインと、岩盤のラインが合わさって良い雰囲気を醸し出していました。


まったりご飯を食べながら滝を見ていると、機械の音が聞こえてビックリ。振り返ると草刈り機で道を整備をしている様子。ガイドツアーを開催している地元民なのだと思います。数えて10人くらい、滝前は一気に賑やかになりました。

その方に話を聞いたところ昨年の夏にガイドツアーで来た時はこの水量の1/10だったと言ってましたので今回は多いというのが分かりました。

男滝を終えて、多段の女滝も終えて、帰り道。

さっきまではただの泥と藪の斜面だった所に明確な道が出来ているのに驚きです。

藪を切り、草を刈り、斜面を整地した出来立てホヤホヤの整備された道を有り難く利用させて頂くと、とっても安全に道路まで戻って来れました。

7:20 歩き始め
8:20 ゴルジュの始まり
10:10 男滝・女滝
12:30 出発

13:45 起点到着

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