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デカイ、デカすぎる。間近で見上げた時、自分の口から咄嗟に出た言葉です。 以前、滝仲間が「あまりにも大きくて二度見した」と言ってましたが、なるほど納得。 これは現実か? 今までの概念を覆されてしまい、トリックアートを見せられているような錯覚。その大きさをすぐに受け止める程の度量は持ち合わせていませんでした。
落差100m以上。200mと言われても納得してしまうような迫力を持っています。
霞むほどに落ち口は遥か遠く、そこから水を落とす。「目が悪いからでしょ?」って言われてしまえばそれだけの事かも知れませんが、落ち口がくっきりはっきり見えない滝は珍しいです。それほどの落差を有していながら、更にその高さを作り上げた岩盤は堂々たるもので木々を寄せ付けぬ故に全てをさらけ出しています。 当然ながら滝水も隠れる事がなく、落ち口から滝壺まで目で追い続けられるのは、躍動感萌えの方にとっては堪らない景観です。
無限と思われるほどに、その水が滝壺に触れるには相当な時間を消費します。 まだかまだか、スピードを増しつつ時に岩盤に当たりながら水はようやく広く深い滝壺に出会う。安らぎはつかの間、直ぐに下段の滝へと向かい、そこから急峻なゴーロへと導かれる。この水が落ち着いて流れに沿うようになるのはずいぶん先の話し。
非常に厳しい谷に、我が力を誇示し堂々と立つこの小木森滝の前では感嘆とするだけ。その滝前に自分が居る、それはとても幸福な一時でした。
漫画「ワンピース」の青キジが言う。
「お前にゃ まだこのステージは早すぎるよ」
同じく「HUNTER×HUNTER」のヒソカは言う。
「このフロアに足を踏み入れるのは まだ早い」
私は小木森滝からこのように突き放された敗北感で一杯です。でも自分の未熟さを露見させられ、もっと鍛練を積まなければいけないと褐を入れて貰ったので感謝しています。
国道42号から往古川沿いに走る林道へ折れます。最初は道幅も広くアスファルトの道なので快適ですが、すぐに細いダート道に変わります。 だいぶ荒れている道ですが車高を落とした車でなければゆっくり走れば問題ないくらいの荒れです。ただ落石が転々としてますので、邪魔であれば面倒でも車から下りて脇に転がしておきましょう。 ガタンゴトンと車を揺らしながら進み、標高を上げていくとその巨大な小木森滝が遠望できます。
車越しに望むだけでも迫力に息を飲みます。 アプローチ開始地点はもうちょっと先なので、そのまま車を走らせて行くと、左手に見える河川に堰堤があり、その近辺に2〜3台駐車出来るスペースがあるります。 そこで準備を整えてスタートです。 なだらかな斜面を下りて堰堤に立ち、対岸に渡渉。ここは水量が少ないので訳無く渡れます。 堰堤の基部に立つと、小木森へ向かう登山道があり、それに従い山へ入って行きます。その道はしっかりと踏まれていて、とても分かり易いので迷う心配はありません。 そのまま快適に進んで行くと小木森の左岸尾根に出て、そこに分岐点があります。 左岸尾根は二手に別れており、ほぼ南に向かう沢近くの尾根を辿ると落ち口に着きます。ほんのちょっとの歩みで高所恐怖症の方には絶対にお勧め出来ない落ち口からの絶景が見れます。車で登ってきた林道と遥か先には海が見える素晴らしい景観ですので、是非立ち寄りましょう。
滝壺に向かうには一旦分岐まで戻り、東南へ進む東側の尾根を辿ります。 マークや案内はありませんが、踏み跡はしっかり残っていますので、それを辿って高度をグングン下げます。
これ以上は申し訳ありませんが、正確には記載出来ません。何故なら強引に進んだからです。
私達は東南の尾根を進み、ある程度下りた所で尾根から離れ南へ進路を変えて崖を直滑降しました。傾斜はきついものの、木々に助けられたりロープで補助したりで懸垂下降はせずに下りれたのは幸いです。 その崖を過ぎると驚くほど平坦な樹林帯になり、進路を西に取ると滝壺に到着です。 こう書くといとも簡単のように思えるかも知れませんが、滝に出会えるまで相当の苦労をしました。 その前日、同じように滝壺アタックをし、辿り付けなかったのです。 前日も同様に東南の尾根を進み、尾根の終わりの崖が見えた所で西へトラバースをし進んだ所、滝よりもはるか下に着いてしまい急峻なゴーロを見て登れずと判断をして撤退。 まだ時間があったので、尾根まで戻り、もうちょっと西よりで下降を開始。しかし今度は肝の冷える高い崖上に出てしまい懸垂下降の余地もない。 そしてここでタイムアップ。辿りつけなかった悔しさ、無念。自分のヘタレ加減を見せ付けられ、更に体力も奪われた喪失の一日でした。
次の日は、先駆者の力を借りて到達しました。 下降のポイントを間違えれば行き詰まる。経験が物言うアタックです。 私には経験が足らなかった訳です。
しかし、その平坦な樹林帯の所(滝壺よりすぐ東)で炭焼き小屋の跡を見ました。 先人はここで炭を作り、荷物を担いで崖を登ったのでしょうか?
そんな訳はないと思います。きっと安全な道があるんです。 その道さえ見つければ、特別な装備がなくても滝壺へ到達が可能だと思っています。
今度訪れるチャンスが来たら、小木森から歓迎して貰えるように自分の足でしっかり歩き、堂々と出会いたいと思います。
ヒソカから「200階クラスへようこそ」と言われるように。
追伸:今回の滝巡りには沢山の方にご迷惑をお掛けしました。
初日に辿り着けず、もとなかさん・ぴなさんと感動を分かち合えなかった点を悔しく思います。
私の車が脱輪した時に協力して頂いた、おでんさん・ちかりんさん・ゴットンさん・もとなかさん・ぴなさんには心からお礼を申し上げます。
がぶんたさんのカップラーメンは滝壺で冷え切った体にはとても有り難かったです、ご馳走様でした。それとヘルメットの回収ありがとうございます。
最後に、この滝へ案内して頂いたパンダさん(リンク参照)。貴重な休日を割いて頂きとても感謝しています。どうもありがとうございました。
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