赤滝

 

所在地
福島県西郷村

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
現地へ 茶臼岳の北部。白河より国道289号を西へ進み、甲子温泉入り口で左折。国道の橋脚部に駐車スペースがあり、そこから徒歩3時間程。
訪問日 2010年10月3日
2021年10月25日

2021年10月


紅葉を求め再訪問です。
ルートは変わらず、明確な踏み跡とピンクテープのお陰で迷わずに滝まで連れて行ってくれます。


最初は林道を歩き、堰堤上に来たらここからは本沢沿いを進みます。
今回は沢靴で訪問したので適当に沢に入りつつ気軽に遡っていきました。
名物の「ひとまたぎ」を過ぎると雌滝の登場。


雌滝を越えるのは右岸に設けられている鎖場。
これを無事に越えると雄滝。



急斜面にある雄滝の巻き道には非常に疲れます。詰めのガレ場の高度感あって中々の緊張感。
この詰めを通過すると登りの巻き道は終えて、今度は本沢へ戻るために下っていきます。
本沢が見えた辺りの支流からは天狗滝が見えています。丁度良い休憩ポイント。


天狗滝から本沢に出ると、何故か案内も踏み跡も薄くなります。
沢靴履いているので本沢沿いを進むと綺麗な壺が見れて感激。
本命の赤滝の前に、そのまま本沢を進むと霧降滝。

そして霧降滝の手前で合流している支流の沢を進むとすぐに本命である赤滝の登場です。


今回は紅葉を狙っていたので、色が変化した赤滝が見れました。赤く染まる葉っぱがあれば良かったのですが、黄葉のみだったのは、ちょいと残念かなぁ。

ここでのんびり滝を楽しみつつ、焚火をおこしてサツマイモを投入。
焼き芋には30分位掛かるので、待っている間に滝を撮影しようと思ったら、風の流れが変わって焚火の白煙が滝全体を覆ってしまって撮影が出来なくなってしまった。
これは、あっきーさんに迷惑かけてしまって反省。もっと離れた所で焚火せなあかんね。でも今回の焼き芋はうまく焼けて良かった。

赤滝を終えて下山するのが阿武隈本沢のテンプレの行動ですが、今回はついでに本沢の上流を散策してみました。

霧降滝を囲う岩壁を、左岸から大きく巻いて上流へ降り立ちました。


その目の前には小さいながらも左右に反り立つ壁を持つ3m滝。

直登一択だろうけれど、おそらく胸くらいまで浸かる事になる。夏で濡れる覚悟して挑んで来たなら登ったと思うけど、心の準備が出来てない寒風の秋では躊躇うものがありました。

仕方なく再度左岸を高くまで戻り、3m滝を越えてから降下。最後は掴み所のない泥壁を懸垂下降して3m滝の上に立つ。


そこからちょいと進むとすり鉢状の岩壁を切り裂く8m滝の登場。下段を合わせるなら3段12m滝となるでしょう。


この先には小滝しかないようなので、「霧降滝の上流にある小熊滝」というのは、ここを指すのだろうと特定しました。

こんな感じで高巻きをしながら滝の捜索してたら結構時間を消費してて、雌滝に戻ってきた辺りで日没を迎え、ヘッドライト装備して車まで戻って来ました。

各々の滝で遊び過ぎたかな。理想は明るい内の下山ですね。


6:45 出発
7:10 堰堤上
7:40 ひとまたぎ
7:45 雌滝
8:05 出発
8:25 雄滝
8:45 出発
9:35 天狗滝
10:00 出発
10:20 霧降滝
11:10 出発
11:15 赤滝
13:20 出発
14:40 小熊滝
14:55 出発
18:00 車 到着



2010年10月3日


百選「乙字ヶ滝」の掛かる阿武隈川の源流部にある極めて特徴的な滝です。

薄黄色い岩肌の流れというだけで珍しいのですが、それ以上に特徴的なのはこの滝を支えているかのように突き出した無骨な岩盤でしょう。
特異な二つが相伴うこの滝は稀有な存在故に以前から憧れを抱いていました。

まず、ここに挑むには足元で難易度が変わります。これはとても重要です。

登山靴で濡れずに向かうのも可能です。メリットは高巻き時にしっかり踏めて安心して動ける事。デメリットは沢の徒渉やトラバースを濡れぬように突破するのは至難である点です。


下に一覧をまとめます
(軽)登山靴 長靴 沢靴
(アクア)
沢靴
(フェルト)
登山道
渡渉 ×
ヘツリ ×
高巻き ×
※個人的な判断であり、実際に検証した訳ではありませんので参考程度でお願いします
という訳で沢靴(アクア)が1番負担なく進めると思います。

しかしそんな中で私が選んだのは軽登山靴。渡渉もトラバースも濡れずに越えてやるぜ! そう意気込んでいました。

国道289号から甲子温泉に向かう道に折れて、橋の脚の所に詰めれば3分の駐車スペースがあります。

本流の右岸沿いに登山道が延びていて、その橋の下からスタート。

特に案内がある訳ではありませんが、明確であり緩やかな道でとても歩きやすいです。前半はハイキングといった感じで軽快な足取りです。

大きな堰堤の上で一旦沢に着地して道は終わりのように感じますが、まだまだ右岸に道は続いています。
この辺りから道幅は狭くなりちゃんとした登山道って感じになります。

再度沢に着いた所で徒渉しなければなりません。飛び石も少なく靴を濡らさずに突破するのには難儀しました。まぁ沢靴か長靴でしたら問題ないですれど。

ここからがこの沢の核心の一つです。

左岸に徒渉してすぐ上流で再び右岸に徒渉。この地点は沢幅がギュッと狭まっており流れが早くなっていて滑りやすいので中々緊張する移動です。

右岸に渡ると、すぐに大きな釜が現れ、岩盤に沿って横移動するヘツリの始まり。

鎖が張られてサポートしてくれてますが、手足の置き場には気を使います。滑ってしまうと釜にドプンですから神経を尖らせて頑張ります。沢靴ならちょっと釜に入りながら突破するのが楽でしょう。

この核心を越えると雌滝が現れ「ここまでお疲れ様」と言ってくれるので小休止。大きく深呼吸し緊張で強張った体をほぐします。

この滝は大きな滝壺をあって心を広々とさせてくれるのですが、いかんせん腰を下ろすスペースがあんまりないのが残念です。

この雌滝を越える道は右岸にある鎖場が取っ掛かりになります。垂直とは言わないもののかなりの斜度です。しかもそこにはチョロチョロと水が流れており岩が濡れているので滑りそうで怖いです。

鎖に導かれるままに登っていき、それを越えるとわりかし穏やかな道に変化し遠くに巨大な雄滝が見え始めました。雄滝に早く会いたいと気が急ぎますが慎重に慎重に。

しかし悲しい事に近付く程に霧が濃くなり、姿が朧になってしまいました。今日は天気が良いから山の空気も澄んでいるだろうと安心していたのですが、雨男のパワーは健在なのかと悲しくなります。

雄滝の真正面に立つ為には対岸に移らなければならないのですが、足を乗せる岩が見当たらず、10月の水は当然ながら冷たいので入りたくなかったのですが、止むを得ず裸足になって渡りました。あーしんどい。

姿を現さない雄滝を見続けましたが、霧が晴れる様子がないのでここは諦めて足を進めます。しかし上流はもっと濃霧なのではと心配になり足取りはちと遅くなります。

この雄滝を越えるのは大高巻きになります。100m程、厳しい斜面を登り続けなければなりません。

ここで私は痛恨のミスを犯します。

帰りに気付いた事ですが、雄滝の高巻き道の起点は来た道を戻った所にあります。

雌滝の鎖場を越えて、道が平坦になり、雄滝を目指すべく90度折れて下り道になった地点。
その地点から山側を見ると高巻きの踏み跡が上に続いています。つまりその地点はLのカーブではなくT字路の分岐点だったのです。

雄滝に会うワクワク感でこの巻き道に気付きませんでした。慎重にとか口では言いながらも舞い上がって視野が狭くなっていました。情けない。

ではどうやって雄滝を越えたかと言うと、右岸から落ちる枝沢の右側にある激細尾根を木にしがみつきながら登りました。かなり怖かったです。
「これは道ではない。絶対違う」って分かっているものの、また下りるのも時間ロスだし面倒だからと強引に上がって行きました。小さく巻けたのは確かですが、危険な分スピードは上がらず結果的にはより時間を食ったと感じています。

正しい道はちゃんと踏まれた道です。上部にはしっかりとロープが張られていてフォローしてくれます。ただ砂利が多いので沢靴だと踏ん張れず滑ってしまうように感じました。

さて雄滝を越えて、左に見える枝沢に天狗滝が見えた所で踏み跡もマーキングも完全に消滅します。ここからは沢を遡行するか、案内のない右岸の樹林帯を進むかのどちらかになります。

沢靴なら迷わず沢に入った方がいいです。なだらかな沢なので楽しく歩けると思いますし、何より迷う心配がありません。遡行ののち2俣に出合ったら左へ。するとすぐに滝前です。ちなみに右俣へ進むと霧降滝に出会えます。

濡れたくなければ右岸上の樹林帯へ。傾斜は穏やかですが枝を掻き分けたり、沢を見失わないように気を配ったり登り易い所を探したりと中々忙しいですが難所ではありません。

雄滝を巻き終えた辺りで霧は去って行き、青空も見えて心も視界も晴れやかに、テンションはグングン上がっていきます。

ようやく見えて来た赤滝。インパクトある岩盤が目に飛び込んで来て、もう興奮状態。冷静に行動しろなんて自分に言い聞かせようとも思えず、足が勝手にグングン前に出てしまいます。

見えた瞬間に「おぉ!」と叫び、更に近付いて「なんじゃこりゃ!」と声を荒げ、目の前にした時「うっはーカッケー!」と吠えました。

心踊り過ぎてパニックです。落差は50m程と存在感があり、迫力も十分。下段は視界一杯に水の流れが広がってくれて一面滝世界。優しい薄黄色はバターを彷彿させられて美味しそう。物凄く濃厚でボリューミーな滝に仕上がっています。

そして岩盤。剥き出しの背骨です。「男は背中で語る」の表現ピッタリ。ゴツゴツしているのに穏やかで、守ってくれるような安心感に包まれます。

滝前は両岸とも岩盤が立っているので、自由度は低いです。でも滝壺が小さいので容易に間近に行けますし、小石が積まれて平らになっている場所もあるのでのんびり出来ます。

ここまで来といて損はさせねぇ、背骨は語ってくれました。
 

正面

アップ

やや左から

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