コメント |
まとまった雨が降らないとこの水量は望めず、普段は岩盤を湿らす程度の少なさなので迫力はありません。よってこの滝は氷瀑として有名です。
大雨後にタイミング良く行ければよいなと常々願っていた所、滝巡り予定日の前日・前々日に雨が降り、更に当日の午前中も豪雨となり、これは立派な滝になっているだろうと当日の予定を急遽変更して、この千波の滝に向かいました。
水が流れていなければただの崖。威圧される岩盤は好きですが水があっての代物。 道路から遠望出来るこの滝は、その日見事な滝の姿に変身していました。
落差80m、迫力たっぷりであり、開放感な岩盤が滝水を勢いよく落としてます。 普段自分を雨男と蔑んでいましたが、この時ばかりは宿命に感謝しました。
この滝の下へ向かうには山ルートと沢ルートがあります。
沢ルートの方が沢を登り詰めるだけなので迷う心配がなく進めます。ただし、その手前にわりかし大きめの滝がありそれを越えないといけない様です。
その日は水量たっぷりですから沢も増水しているだろうと判断し、山ルートを選択しました。
まずは対岸に渡らないと滝に近づけない。県道36号沿いの遠望地点から目の前にある芦川の上流に向かって歩き、橋を渡ると滝のかかる沢に向かう細道があるのでそこを進み、沢の左岸に立ちます。 そこから沢とは離れ、左岸の斜面を登っていきます。 山ルートと言っても案内がある訳ではありません。テープのマーキングがあるだろうと当てにしてましたがそれも皆無。 最初の内は踏み跡なのかはっきりしない道っぽい道をトレースしてましたがそれもあっさり消滅。 道が全く見当たらない。どれも道に見えるような錯覚を持ち、ちょっと混乱。 「ようは滝に近づけばいいじゃないか」結局そう楽観的に滝の方向へ山を登っていきます。 雨後のぬかるんだ斜面にはかなり苦戦しました。足を置いても踏ん張りが効かず滑って元に位置に戻る事がしはしば。 ヒーコラヘーコラ全身運動の末にようやく尾根まで登り詰めて滝が見える所まで来ました。 そこから尾根沿いに軽く登っていくと今では使われていない電線のように張られている運搬用のワイヤーが現れれ、更にちょっと進むと北側の林道から上がってくる登山道と合流。 なんだ、これなら北側から上がってくればそんなに苦労しなかったろうに。そう思いつつも、そちらの登山道が正確な道になっているかは分かりません。
しかしここより先の道も不確定。どれが道か全くもって判断つかない。 高低差を見ると滝壺より若干上にいるように見えるので、ここからあまり高さを変えずに移動出来れば楽チン。そう思いトラバースの開始。 途中、崖に遮られたので仕方なく沢に近付くように下降。 何度も言いますが道ではない山の斜面を移動してます。「こっちなら行けそうだ」「ここは無理だ」そう繰り返して徐々に近づいていき、気付いたら沢が接近していて滝が大きく感じられました。 この地点で沢ルートと合流したのでしょう、か細い踏み跡が見えます。そしてこれを辿ってようやく滝下へ。おおよそ70分で到着。
滝下から見る千波の滝は想像通りの巨大な滝。100m以上あるのではと思える大きさです。
雨のおかげで水量は勿論の事、横にも十分に広がって落ちるのでとんでもない迫力です。
分岐瀑の部類に入るのでしょうが、斜度がきついので水の落下が速く弾ける飛沫は豊富でその威力は直瀑なみです。
岩盤に沿って流れ落ちる水があれば、宙を舞い跳ね落ちる水もあります。色んな性格の水がいるようでとても面白い。疲れているのかただ身を任せて落ちる水、ジェットコースターを楽しむかのように飛び回る水もいる。滝前ではそんな事を考えながら見ていました。 滝壺はなく、全ての水は岩盤に叩き付けられるので飛沫がよく舞い強風が周囲を包む。 巨大な滝は開放感も抜群。清々しい気持ちにさせて貰い大変満足でした。
しかし残念な点が一つ。前述に記載した運搬用のワイヤーは遥か滝上にも伸びてまして、それがちょうど落ち口を通過しています。上を見ると必ず視界に入ってしまうので興を削がれました。でもそれが気にならないほど素晴らしい滝です。
|