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静岡県最大級の落差を持つ滝です。その滝を目の当たりにしてその高さに感嘆としました。 霞んで見えるほど落ち口は高く遠くに存在し、全体像は自分の視野では全てが入り切れないほど大きい。
いくつもの段を形成した岩盤を、水は飛び跳ねて落ちていく。その躍動感は心地よし。
落ち口から水の流れに沿って目を落としていき滝壺へ。そこには右から入ってくる枝沢からの滝も落ちている。 1つの滝壺に2つの滝。間違いなくここは極上の空間です。
ルートで迷うところは少ないと思いますが、選択を誤れば突然厳しい道に様変わりしますので、よくよく周囲を確認し慎重に歩むのをお勧めします。これはどの山道にも言える事ですけれども。
県道29号から白澤橋を越えた所から右折し細道に入ります。砂利道ですが悪路では無いので問題なく車で進めます。 そろそろ終点という所でスイッチバックで進まないと行けないつづら折りがあります。
それを越えると緑色のスリット堰堤が目の前に現れ、これより先に進んでも茶畑があって道は終わっているので、ここに駐車。ずいぶん広いスペースなので6・7台は裕に駐車可能です。 ここからは徒歩です。沢靴を履きロープをザックに押し込み出発。 駐車スペースから林道終点の先にある茶畑を進んで行きます。 茶畑を越えても踏み跡がありますので、それをたどって上流へ。 すぐに踏み跡は2つに別れ、山ルートと沢へ下りるルートが出てきます。山ルートも最終的には沢に下りるので、ここはどちらの道を取っても変わりません。 沢に下りたら、そこから遡行するのではなく渡渉して左岸へ渡ります。
目指すは岸の上にある平坦な植林地帯。そこには運搬用のレールが上流へ伸びているので、それを辿っていくだけで安心・安全に進めます。そのまんま沢を遡行しても良いですが、大岩を乗り越すのに苦労しますし、時間も体力も削られるだけです。
左岸上のレール沿いはよく踏まれてますし、なだらかな斜面なので快適な歩行が得られます。しばし歩いていくと、沢は水量1対1の二俣が現れます。
滝は左俣にあるので、そちらへ。レールも左俣に進んで伸びていますが、途中から山を登っていってしまうので、ここで辿るのはお終い。
この二俣を越えた辺りから沢づたいに進んでいきますので沢靴の本領発揮。遡行は全て左岸、濡れた岩の上をガンガン進んで行くと共に、高度を一気に上げていくので体力消耗の激しい所です。途中、枝沢に7mほどの滝が落ちており疲れた体に癒しを与えてくれました。 ようやく白沢の滝の門番たる前衛の3段滝が現れます。
ここまでの道中はこれからの高巻きを考えれば穏やかなものです。ここからは難易度を一気に上げて、慎重な足取りが強いられます。 この3段滝の岩盤の殆どが逆層でホールドも足場もないので直登はかなり厳しいと思います。
という訳で、左岸からの高巻きスタート。
3段滝からちょっと戻った所にあるルンゼを利用し上へ上へ。高巻きの道は全てがガレ場と言って過言ではないほど足場は不安定でよくよく落石を起こしますので注意。
ルンゼは聳える岩盤の所で終了。ここから岩盤沿いにトラバース。このトラバースは有り難い事に、木の根が「掴んで下さい」と言わんばかりにちょうど良い所に伸びているので、有り難く利用します。それでも足場が安定している訳ではなく、高度感たっぷりの移動ですので高さ恐怖からギクシャクした動きになってしまいます。
ここから先も岩盤沿いにトラバースしていくようになります。所々に木が生えており、そこにロープをかけて安全を確保しながら進みます。終始ガレ場で不安定な斜面。休む時には木を掴んでいないと落ち着かない。いつ足が滑って落ちてしまうか分からないですから。
それにちょっとした足取りで簡単に落石を生じるのも厄介です。私はハンドボール程の大きさの石がスネを殴打しましたが、移動するのには支障がなかったので安心しました。当たったら岩もろとも落ちてしまうぞと思えるような大きさも落石してました。 最初のルンゼに30mを1本、トラバースに20mと30mを1本ずつ、最後の滝壺降下に10mを1本、高巻きにこれだけのロープを使用しました。もうちょっとあればより安全に移動できると思います。
これにて高巻きは終了。詳細はうまく書けませんが、ここしかないっていう巻きなので、道に迷う事はないと思います。問題はそこを道だと思えるかどうかですから。
滝下の空間は狭く、殆ど移動出来ないのが難点です。両岸ともに切り立った岩盤へ人間が無理矢理お邪魔しているのですから贅沢は言えませんが、右側からも見てみたかったです。
この滝に単独行はお勧め出来ません。皆で協力しロープで確保し、万が一を無くさないと文字通り痛い目に遭うと思います。
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