火焔滝



Data 名称 火焔滝
住所 山形県米沢市
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆
現地へ 米沢市の南部。大平温泉「滝見屋」に向かい、その脇に流れる川の上流にある。
駐車場から「滝見屋」まで15分程度。そこから川を遡行10分。
コメント この滝の写真を見て、「間近で見たい!」と一目惚れしてしまった滝。
落差は25mと大きくはないですが、中段から爆発したかのように拡がる滝水。その岩を流れる美しさ、叩きつける水の迫力、何者も寄せ付けない険しい岩壁、独特な滝の流れ、全てが完璧で「見てて飽きない」とは正しくこの滝を言うのだろうと感じました。
実際に出会えた時、本当に美しくて、豪快で、我を失い吸い込まれるような感覚に陥ったのは初めてでした。
秘境の温泉と言われる大平温泉、その駐車スペースを借り、滝見屋まで急坂を下りる。
そこからは川に入り道無き道を進む。前日から雨が降っていて水かさが増していました。そんなに川に入ることはないだろうと予想して長靴で行きましたがそれは失敗でして、最初から沢靴を装備していれば苦労してルート選びをしなくても良かっただろうと後悔しました。
一番悩んだのは、滝見屋の露天風呂周辺から渡渉する最初の所。露天風呂は渓流美を見るようになっているから、その川に入って歩けば入浴を覗き見しているのと同じになってしまう。実際、渡渉しやすそうだと思ったのは女性用露天風呂脇だったがさすがにそれは犯罪者になってしまうと断念。
結局深く勢いの強い貸切風呂の先から渡渉しました。見ないように、お騒がせしないようにと気遣ったのが一番の苦労でしたね。
この滝の上流にも大きな滝あり、展望台もあるのですが当日は雨で霧が深かった為、何も見えないだろうと断念しました。
今度は夕日に染まる(と言われている)火焔滝を見てみたいものです。

2010年、再訪問。
剣急滝を見終えて展望地に戻ってきた時点で体力は限界に近かったです。特に太ももの強張りが凄まじく、立っていると痙攣しているかのように足が震えてました。
太平温泉までのアスファルトの九十九折りは傾斜がきつく、体を踏ん張る太ももの負担が大きく、歩き始めたらすぐに両足がつってしまいました。屈伸したりアキレス腱を伸ばしたり筋肉を叩いたりして何とか頑張って貰う。
太陽は傾き始めている。のんびり休憩している暇はなく気だけが逸る。
太平温泉の出入り口をかすめ、川沿いの露天風呂を横目に通り過ぎて、右から出合う沢との合流地点から入渓する。
この滝に行くまでの難関は何といっても露天風呂の通過。川沿いに造られている風呂からは間違いなく姿が見えてしまう。その一番見えづらい所が川の合流地点。ここから一切振り返らずに遡っていけば、温泉を楽しんでいる方に迷惑は掛からない。
季節は秋。雨はそれほど降っておらず沢の水は少ない。沢靴を履かずともピョンピョンと岩の上を飛んで進めば濡れずに行ける。ただし水量の多い時期は岩が隠れるほど水嵩が増すので沢靴が必要になります。
疲労で体が重い中、ジャンプしたり岩をよじ登ったりする。我ながらトロい歩みだと感じつつもこれ以上は機敏に動けない。
入渓からわずか10分程で難なく滝前に到着。青空、紅葉、そして繊細な水の流れ、美しすぎて感動を超えて思考が一瞬止まった。すぐに我に返って不安になりました。これだけ幸福感一杯になっても大丈夫なのか? と。
もしも幸福と不幸が天秤で釣り合っているならば、今は片方に相当傾いているはず。その幸せの傾きを戻すようなバチが当たるのではないかと怖くなったのです。それだけ絶景でしたから。
再会し、確信した事が一つ。この滝は私が生涯出会う滝の中で、必ず十指に入るだろうと。
否の付け所のない格好良すぎる滝です。モロ好み。見惚れながらフラフラと滝に近付き、滝壺の淵に立って見上げる。「大好きです」ふと口から発せられていました。
ギリギリまで火焔滝と語り、暗くなり始めてから帰路に向かい、太平温泉で日帰り入浴を利用させて貰いました。
汗で冷えた体を温め、強張った筋肉が和らぎ、張り詰めた緊張がゆっくりと弛緩していくのがよく分かりました。
温泉に全身浸かりながら、紅葉を眺める。剣急滝・火焔滝を落ちてきた水が悠々と流れて行く。この上なく至福な時間でした。
ふと首筋に違和感を感じ、手をやると、見事な紅色のモミジが一枚張り付いていました。
粋なお土産をくれるね、火焔さんありがとう。
他写真
訪問日 2007/09/01
2010/10/19

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