小原川 支流 大谷
大谷滝


所在地
奈良県五條市

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆
訪問日 2024年11月8日

落差は50m位くらいでしょうか。十分な大きさの綺麗な直瀑。
地形図に表記されているけれど、紹介記事は少ない。
奈良県には他にもすんごい滝が沢山あるので、この滝くらいでは見向きもされないのでしょうか。
水量があまり多くないので迫力にはやや欠けるものがあるのは否定できませんが、岩盤の迫力、空の広さ、一線級の滝であるのは間違いないです。
スラムダンクのキャラクターで例えるなら、王者「山王」6番の松本君のような感じ。
「沢北が居なければどこでもエースを張れる」そう言われるほど上手い選手。つまり奈良でなければ有名瀑布として代表格になっていると思います。

桶側の滝が予想よりも早く終えたので、この滝を目指そうと思いました。
今回のアプローチは滝レポで紹介されている山ルートで挑みます。
地図にある大谷滝から真西を見ると、沼田原集落があります。そこから大谷の取水提に行く「大谷巡視路」という整備された遊歩道が存在します。それを利用してみます。


大谷巡視路の起点は、沼田原集落の集会所の裏手にあります。この集会所はガッツリ駐車禁止と表示されているので、通行の邪魔にならないスペースを探しました。正直これが一番難関でした。


さて歩き始めて集会所の入口をやり過ごし裏を見ると、階段が見えました。
そしてそこから山間部に入ります。
この巡視路の整備は素晴らしく、物凄く安全。それに迷いようがないくらい明確な道なので安心して進んでいきます。


赤い橋を渡りつつ、あまり高度を変えない巡視路は軽快そのもの。高速道路みたいな感じ。
後半は林業用の踏み跡と交差したりで一旦足を止めて全体を見渡したり、尾根を上がっていく箇所は急な階段状で疲れもしました。


55分ほどで巡視路から大谷が見えて来ました。
大谷の上流には滝が、下流には取水提が見えます。
最後だけは道が崩れたようで遊歩道の階段が転がってしまっているので、急斜面のガレ場を気を付けて下っていきました。
そして大谷に入渓。
ここからは見えている谷を、滝まで突き進むだけ。


途中にあるちょっとした淵に鹿が2頭。私の存在に気付くと颯爽と逃げ出す。左岸の巨大なガレ場を駆け上がり、パラパラと落石を起こす。
逃げるのは当然だけど、もうちょっと慎重にガレ場を上がりなさいよ。と鹿に文句を言う。

谷沿いをそのまんま進んでいき滝前に近づく。見上げないと全体が見られない程の大きさ。素晴らしい滝ではないか。
適当にザックを手前に置いてカメラを取り出していると、遠くから鹿の鳴き声がするのに気付く。
ガレ場の上に逃げた鹿が叫んでいるようだ。もう私とは十分に離れているのだから警戒しなくて良いのに何事か? というかずっと鳴き続けている鹿なんて珍しいなと疑問を持ちつつ、滝壺の前に出る。

そこには2頭の小鹿が熱心に滝壺の水を飲んでいるではないか。
ようやく小鹿が私に気付いて、慌てて逃げ出す。そのまま姿を追い掛けると鳴いていた鹿と合流していた。
先にガレ場に逃げたのは親鹿なのだろう。
滝壺にいる小鹿に逃げなさいと悲痛な思いで叫び、我が子に近づく人間に気が気でなかったのだろうなぁと思うとちょっと罪悪感。でも合流出来て良かったねと何か嬉しい気持ち。

とりあえず難しい所は全くなく、出発から65分で滝前に到着しました。


さて気を取り直して滝と対峙。
水量に難のある滝だと思っていたし、ここ最近はそれほど雨が降っていないのでチョロチョロになっているのではないかと心配でしたが、滝前に行けばしっかりと飛沫で服が濡れまくるほどの勢いがありました。
西向きになるので午後は太陽が当たる。角度を選べば虹が出ると期待したのだが、どうにも雲に覆われてしまいベストな景観にならなかったのは残念だ。
大きな岩盤の威圧感は立派。それに反して滝壺は小さいので近づけるのは嬉しい。
水量の多い時にくればさぞかし豪快な滝になるだろうと想像する。
滝との出逢いのタイミングは適切ではなかったけど、十分に満足させて頂きました。

ちなみにこの滝は大谷滝の雄滝らしい。では雌滝はどこにあるのだろう? いまいち分からなかったのだが、takitubeのケイさんに尋ねたところ、取水提の下流にあるとの事でした。

HOME日本滝百選全国の滝滝の記録観光写真LINKPROFILEMAIL