たちあごー。
素晴らしい響きです。
洞窟空間に流れる斜瀑と輝く滝壺。
写真を見て分かる。ここは観光地ではない。絶対に難しい。
そこは深い淵を泳ぎ、数々の滝を越えた者だけが足を踏み入れられる場所。
記事を読めば読むほど、僕には到底辿り着けない滝であろうと調べるのを止めた。
憧れた瞬間に諦めました。
2024年の夏は不動七重滝に行く。
それは確定なのだけど、他はノープラン。
どうしよっかなーって考えているとアライさんが「たちあごーに行く」と言うではないか。
勇者はすぐ近くにいた。
是非ご一緒させて下さいとお願いした。
滝ヤの中には色んなスタイルがある。
沢登りを主体とした沢ヤ系滝ヤ。登山からのアプローチをする山ヤ系滝ヤ。
危険な所は行かない遊歩道系滝ヤ。
そして今回のスタイルはそう、便乗系滝ヤである。
日程調整などアライさんには色々気を遣って頂き、大変お世話になりました。
集合は道の駅「おくとろ」。集合時間は6時。
前日の仕事終わってから、急いで出発。
紀伊半島はやはりクソ遠く、7時間30分ほぼ休まずに走行し、4時30分くらいに到着出来た。遅刻しないで来れてホッとした。
ご挨拶はド緊張。
みんな笑顔で迎えて頂き、ホッとしました。っていつものあっきーさんとサモハンさんもいるではないか。何も聞いてなかった。でも居てくれて頼もしかった。
今日は合計10名のようで、大所帯だ。
立合川はトンネルとトンネルの間にあり、西側の東野トンネル付近に駐車スペースがある。マックスで6台かな? 全員の車は駐車できないので乗り合いして台数減らして道の駅を出発。
一台先行者が止まっていたけど、無事に止められた。
準備が済んだら、早速出発。
まずは橋を東の方向へ。立合川を下に見ながら、この先に滝があるんかと見つめながら移動。
そして有蔵トンネルの西側に来たら、ここから観光歩道である木馬道を進みます。
ちなみに今日の計画は遡行ではなく滝へのピンポイントアタックなので、下流部の滝群はスルーします。
この木馬道、凄いね。とても整ってる。誰が何のために整備しているか分からないけど、とても快適。感謝しかないですわ。
そして観光道であるので、案内があります。遊歩道を歩いて「はままつ滝」を過ぎて、「堺面の滝」を通過。
ちなみにこの看板の近くには何もないです。滝のある立合川は遥か下方にある訳ですから。ま、位置を把握するには丁度良いと思ってください。
サクサク進んで「まぼろしの大滝」の看板まで来た。
で、この大滝の看板まで来ちゃうと行き過ぎらしい。
ここから下降して行っても落ち口に出れるだけのようです。
じゃあどこから立合川に下りていけるかなぁと探しながら来た道を戻っていく。
するとここかな? ってルンゼが現れる。ていうかここしか下りられる斜面ではない。あとは全て崖なので、このルンゼの下降一択です(堺面の滝〜まぼろしの大滝の看板の間になります)。
最初は小石が堆積したガレた斜面。足を乗せるとズルズルと下がっていくやつ。
今日は大勢ですからね。落石に気をつけましょう。
中腹に来ると尾根筋に乗ります。ここにはピンクテープがありましたよ。
踏み跡は微かに見える感じで安心して下りていきます。
ようやく立合川の深い釜が見えて来ました。
ただ、最後が厄介。
尾根の後半はほぼ崖となって下りられなくなり、右斜方に下っていくのですが、あと5mがどうあってもフリーでは厳しい。
なのでここでロープ出して懸垂下降。
無事に立合川に着地しました。
そこから川の下流部を見ると滝が落ちているのですが、その形状から「一見登れそうもないけど左壁が問題なく登れる滝」であると特定しました。
ちなみに過半数はその尾根から虎ロープが張られているのを見つけ、ルンゼにロープを出して懸垂していました。
間延びした10人が全員下りた事を確認し、さあ立合川を進むのだ。
目の前には美しくも深い釜が見える。ここ行くのか〜。寒いし溺れないかなぁと躊躇していると、ケイさんが颯爽と泳ぎ出す。ヨシさんも次いで泳ぐ。
これがまぁ綺麗な平泳ぎだこと。関西の方々は泳ぎが達者だし、全く臆さないのが凄い。
こちとら幼稚園の時に通ってた水泳力しか無いのだ(先生が怖くて辞めた)。
てゆーかなんでみんなザックを背負った状態で平泳ぎ出来るんだろう? 水に入るとザックが浮いて、ウキにはなるので溺れる事はないんだけど、平泳ぎしようと水平になろうとしても、ザックが背中を押して立たされてしまう。更に強引に水平になるとザックに圧されて顔が水没する。
仕方なく立ち泳ぎで進んでいくけど、カッコ良くないし遅いのよね。ザックが小さければ行けるんかな?
私も颯爽と平泳ぎしたいものだ。
深い釜が連続して、水に入って泳いで、這い上がっての繰り返し。
泳ぐ勇気さえあれば難しい事はない。
最後、二段の銚子滝。これを越えると洞窟の入り口が現れる。
まだ滝は見えないが、この先に絶景が待っていると思うと胸が高鳴る。
最後のひと泳ぎ。
ドーム内に入る。
目の前には大きなプール。
右手には斜瀑。
輝く滝壺と弾け飛ぶ滝水。
危うくも美しい。
ミステリアスこの上ない空間に足を踏み入れた。
私達が立つ周囲は光の届かぬ闇の世界で、滝と滝壺だけに光が降り注ぐ。
ステージの演者と観客の関係性みたいだ。
最高のパフォーマンスを繰り広げる大滝には何も言うことはあるまい。
美しさに見惚れてしまった。
「BALさん、ここ凄いでしょ?」
あっきーさんからそう尋ねられると、なんか天の邪鬼の気持ちになる。
「いやいや、普通っすよ」
「無理しなくていいってwww」
全てはお見通しである。
そうね、本当に凄いね。こんなに綺麗な世界があるんだね。
ふと思い出したのが、カンダタの蜘蛛の糸。
ここは光が当たらぬ地獄の世界で、輝く滝が神様が下ろした蜘蛛の糸。
これを登れば天国に行ける。
登る? 登れないし、登らなくて良い。
だってこれだけ滝を愛する方々に囲まれて、同じ気持ちを共有出来るって、もうこの空間が天国だもんね。
便乗系でここに来れて良かった。
遊びはまだ終わらない。ケイさん筆頭にこの深い滝壺を泳ぎ滝下へと向かっていた。
便乗系として、ここも乗らなくてはなるまい。
この為にシュノーケルとウェットスーツ(上だけ)を持ってきたのだ。
怖いけど行ってみよう!
マスクで望む滝壺はめちゃ深くてビビるものがあって体がちょっと硬直してしまう。でもウェットスーツを来てればそんなに沈まないので、冷静に泳げば大丈夫。
そういい聞かせて何とか滝下に着いた。
先に着いていたメグさんとエナさんとご挨拶。このお二人は普通に顔出し平泳ぎでスイスイ来たのだから凄いっす。
滝はちょうど逆光で見えづらいけど、お近づきになれて満足。
なんと次いでサモハンさんも泳いできた。普段、滝壺に入ることのない格闘家なので驚いた。同じ埼玉県民がこの立合川の滝下で挨拶を交わすなんて粋っすな。最高だわ。
お日様が滝を照らさなくなったのを頃合いに撤収です。
帰りも勿論、深い淵に入って泳ぎます。
銚子滝の下りは細かいスタンスで滑りそう。滝の真横を下るのが安心だけど、重いザックがあるとバランス崩しそうで怖い。
ここは人数の力を使って、空身で下りてから、ザックを下ろして貰った。皆との協力プレーっていいよね。
下りてきたルンゼ。その右脇にはロープが垂れており木の根と併せて使うと楽に上がれた。これを知っていれば懸垂無しで下降できるね。でも上からだとこのロープが見つからなかった。
最初のガレたルンゼの脇にある尾根もちゃんと使えたので、どちらでも降下可能ですね。
これで大滝は終わったけれど、まだ時間が余っているので周辺を探索。
木馬道をさらに北上していき、うしお滝に行きたかったけど、途中から荒れ始めた道に時間を取られ、辿り着くには厳しいと判断してやむなく下山。
最後は「はままつ滝」の看板から踏み跡を辿って下りていき、よりきや淵滝に出会う。看板にあるはままつ滝は更に上流にあるけど、もう進む気なし。
ちなみにここでも飛び込むケイさんとヨシさん。本当に水が好きなんだなぁと感心しちゃいました。
これにて立合川は終了! あとは道の駅「おくとろ」の日帰り温泉で体を温めて一日が終わりました。
あっきーさん、アライさん、エナさん、キタさん、ケイさん、サモハンさん、ちゃぴ男さん、メグさん、ヨシさん(アイウエオ順だけど、合ってるかな?)
丸一日、めちゃくちゃ楽しい滝巡りをありがとうございました!
7:40 橋の駐車スペース 出発
9:00 立合川 入渓
10:00 立合川大滝
※少人数であれば、時間短縮出来ると思います。
|