小山町の人里にある滝です。
自然が失われている人が生活する場所にある滝ですから、出会う前の印象はよくありませんでした。
緑の清々しい空気ではなく、生活臭が鼻につくのではないか? ゴミが散乱しているのではないか? と良いイメージが湧かなかったが本音です。
今日は滝納めで周辺を巡ってましたが、微妙に時間が余った事ですし、これから御殿場アウトレットに行きたいと思ってて、ちょうどこの付近を通過するので、この滝で千秋楽を迎えようと目指してみました。
観光地化されている滝ではないので、案内はありません。
まずは車の止める場所ですが、付近をウロウロしていた所、小山町総合運動公園の多目的広場の駐車場があったので、そちらを利用しました。
その広場から県道を南東方向へ、国道246号へ向かう立体交差が出てきますが、ここから脇を見ると、人気の少ない細道があります。
この道を進んで下って行きますが、中盤から笹藪が密集していきます。
それでも足元を見ると踏み跡は見えますので、まだまだ直進。
オラオラと掻き分けつつ北進していくと、やがて国道の橋が見えてきて、更に進むと橋脚まで来れます。
道はここまでで、滝へは更に下るのですが、ここが肝です。
目の前には壁のように藪が立ちはだかっています。こんな所を進むのはアプローチ間違っているのでは? と戸惑います。
でもこの壁を抜けないと行けません。ラクビーのタックルのように肩を入れて突っ込みます。
距離的には5m程です。藪の密集を抜けると、山の斜面と踏み跡が見えると共に、右手に滝が見えます。
あとは思いのまま、下りやすい所を選んで下っていけば滝前に着きます。
駐車場から出発して20分で到着しました。
周辺には大岩が鎮座しているので、広々とした空間とは言えません。それにここでもツルのような藪が多く、スッキリしません。
それでも、この滝の形態は素晴らしいです。
大きくくり抜かれてある岩盤。宙を舞う滝水。
脇からは潜流瀑も注がれる。
滝を左手から回り込むと、お待ちかねの裏見が出来ます。
頭上から水が飛び込んで落ちてくる。パラレルワールドみたいで興奮。
しかし、ここの滝の魅力はそれだけではありませんでした。
邪魔な存在だとしか思ってなかった滝の正面にある大岩。
裏見と同様に左手から向かうと、この大岩に乗れます。そこに窪地があって、丁度良く座れちゃうんです。
滝の中間を真正面にして、座って観賞出来ます。
空飛ぶ椅子に座りながら、滝を見てる気分です。アラジンの魔法の絨毯な感じ。
この大岩は滝の全景を撮れなくさせているので舌打ちしちゃうくらい邪魔な岩でした。
裏見が出来る素敵な滝だけど、ゴミがあったりと悪印象の方が強いと残念に思ってました。
しかしこの特等席に辿り着いたら、そんな減点なんて吹っ飛びましたね。
このビジョン、迫力は葛滝でしか味わえない感動でしょう。
歩く距離は短く、危険な箇所は無いけれど、猛烈な藪はやや難所ではあります。
でもそれに余りある素晴らしさが待っています。
2021年は良い滝納めとなりました。
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