静粛された円形の神殿にいるかのような柱状節理の空間に、暴君のように激しく水が叩き落とされる。
コロシアム、その言葉が非常にしっくり来る舞台。
躍動感と整然さ、その二つが作り出す独特な世界には物凄くワクワクしました。
今回の青森滝巡りはホント突発でした。
元々は晩秋の三条の滝(福島県)をテント泊しながらのんびり巡る予定だったのだけど、遊歩道の梯子が例年よりも早く撤去されてしまい、滝に行けなくなってしまいました。
困った、どこに行く? 紅葉は見たいぞ。10月中旬なら秋田以北じゃないと紅葉は期待出来ない。
でも二日間の休みの中で秋田辺りまで車で運転するのキツい。
それなら高速バスを使うのは? どうせお金使うなら青森までバスで行けるんじゃない?
で、一週間前から慌てて調べて予約して、バスタ新宿から高速バスで一気に弘前まで寝てやってきました。車を運転しないでこんな遠くまで来れるなんて本当に便利。しかもマイカーよりも安く来れるのも最高です。
ただし、混んでる電車にごっついトランクケースを持ち込むのは、場所を占拠しちゃって周りに迷惑かけちゃうので申し訳なく思います。
午前中は奥入瀬付近を散策。紅葉はまだ早かったようでちょいと目論見外れ。
午後からこの寒水沢大滝を目指す予定で、酸ヶ湯温泉付近を通過しようとした所でハプニング。
雪です。
でも周辺は紅葉で、その葉っぱに雪が乗ってるなんて素敵じゃんとか珍しい景色を楽しんでいたけれど、峠を登り詰めた辺りで前を走っていた車が止まってしまった。
先を見るとズラッと車が並んでいる。どうやら立ち往生してるみたい。前の車がUターンを始めて、その先の道路を見てみたらアイスバーンのようになってる。
こりゃ無理だと自分もUターン。物凄く遠回りさせられてしまった。
で、現地の下湯ダム付近に着いたのは15時30分頃でした。
秋の日没は早い。あと1時間位しか滝が見れないので焦りがあります。
下湯ダム公園を通り過ぎて、葉が生い茂るダートを走行すると、右手に取水堤が見えます。ここに広いスペースがあるので駐車します。
滝は取水堤の下流にあります。覗くと落ち口が見えて、滝の位置が把握出来ました。
ダートから、滝までの距離は短い。が、滝を囲む劇場をどうやって下降するかが問題。
当たりをつけたのは取水堤から下湯ダムへ100m程戻った所にあった待避所。
その標識の立つポールからガードレールを越えて沢を覗くと、踏み跡が見つかりました。
出だしは物凄く滑りやすい斜面。掴める枝が少ないので、お助け紐(5m程)があると便利。
藪がちょいと濃くなるとそれを掻き分けつつ掴みつつ下りていけます。
小尾根のような、コブのような、沢が見下ろせるちょっとした高台に着きます。
ここまで進んだ距離は取水堤から100m程と、斜面を下りて50m程の計150mくらいしかまだ歩いていません。
沢の上流を見ると滝が見えます。
しかし前方に見える斜面が厄介。
泥ドロの急斜面。足場を探して選んでいけばフリーで下りていけますが、登り返しの事も考えるとロープ(20m程)下ろした方が絶対に良いです。
これを下りれば、あとは右岸を進めば滝前に到着です。
バケツをひっくり返したような、なんて安直な表現ですが、ここは常にバケツがひっくり返ってます。
叩き付ける豊富過ぎる水の落下に地響きが起きているような錯覚。
辺りは猛烈な風と、猛烈な飛沫。発した言葉はあっさりかき消されます。
滝前はめっちゃヌルヌルしていて油断してると転倒しちゃいますので要注意。
距離が短いし、遡行する訳ではないので登山靴でも来れますが、せっかくなら沢靴で来ましょう。
すると全方位楽しめます。
対岸から柱状節理の全容が見れるし、なんと言ったって裏見できるのが最高です。
ガチの真裏は咽せるほどの飛沫で酸欠気味になって軽くパニックを起こすくらいの衝撃。写真撮る余裕はありません。
というかそれ以前に今日は雪が降るくらい寒いので、飛沫に長く浴びていられません。
そして残念ながら日没が迫って来ました。
実際に滝前に滞在出来たのは30分位。これでは全然足りないけれど、とにかく対峙出来て良かった。
夏、ギラギラと照りつける太陽の下、この滝を存分に楽しみたいなぁと再訪を誓いました。
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