阿武隈川 支流 荒川
大岩の滝



所在地
新潟県湯沢町

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆
現地へ 土湯温泉の西部。荒川の南に送電線の下を走る林道を進み、斜面を下りて荒川に入渓し沢登り。
訪問日 2021年5月30日

前年の2020年、素晴らしい景観を堪能させて頂いた風岩の滝を終えて、堰堤まで戻った所で、あっきーさんから下流に「大岩の滝」があるようだと教えてくれました。

ただし、名前が記録されているだけで、どこにあるかどんな姿なのか全く情報がないらしい。

まだ時間に余裕がある事から、とりあえず下流を散策してみましょうと荒川渓谷を下っていきました。

すぐに両岸狭まるゴルジュに変容しつつ、進めるだけ進むと広い滝壺を持つ滝の落ち口に着きました。


これは簡単には下りられない。巻くなら右岸かなと検討したけど、巻ける確証はないし、風岩の滝で満足しているのでストイックに攻める気にならず、荒川渓谷から去りました。


そして2021年、どこから向かうか検討して、調査・探索・冒険・挑戦的な気持ちで現地入りです。

下流から遡って、昨年の落ち口を見た滝まで辿り着くのが目標。
そこまで行ってその滝までにいくつもの滝が出て来た場合、その中で一際大きい滝が大岩の滝と断定出来る。逆に落ち口を見た滝しか滝が無ければ、その滝で確定です。

果たしてどんな道中なのか、行けるのか断念になるのかいざトライ。

滝の格闘家であるサモハンさん曰わく「大吉と出るか吉と出るか・・・」、どちらにせよ良いことしか出ないお神籤みたいで先行きは明るいみたいです。

風岩の滝は荒川渓谷の左岸からアプローチでしたが、今回は右岸を選択。

送電線の脇を走る林道に当たりにつけて国道115号を走りましたが、林道に向かう道が見つからない。

仕方なく土湯温泉に戻り、荒川渓谷の下流にある「土湯温泉バイナリー発電所」沿いの林道を目指しました。

発電所の手前のしっかりした門をやり過ごし、林道を上がっていきます。


林道は荒れていて、倒木を捨てたり、大岩をずらしたりして進みました。凹凸もなかなか酷く、普通車では間違いなく底がぶつかってしまうでしょう。


ウネウネと細道を上がっていき、送電線を見上げながら更に西に走っていき、アプローチの予定地点に到着。
ここまで車で来れたのはラッキー。もっと手前で通行禁止のゲートが出てくると思っていただけに時間短縮になりました。


ここから荒川渓谷まで斜面を下りていく予定です。

堰堤の多い枝沢を下降しようかと目指してみると藪で視界が悪い。

まだ山の斜面の方が藪は薄いので尾根に向かう感じで下っていきます。

すると唐突に斜面ではない平坦な場所が現れました。
なんか林道みたいですねぇー、とか話しつつ歩いていくと、間違いなく林道でした。


地形図には全く記載されてませんが、堰堤工事用の道なのでしょう。

風岩の滝の時もそうでしたか、嬉しい驚きが多くて良い感じ。
林道はだいぶ自然に戻っていますが、それでも野生の斜面を下りていくよりは全然楽なので、行ける所まで林道を使いましょうと気軽に歩く。

緩やかにカーブをしながら緩やかに下っていき、遂に林道が消えました。消滅したのか終点なのか分かりませんが、ここからは斜面を下りるのみです。

と言ってもよくよく見ると踏み跡が見える。まだ新しめの靴跡も確認出来ました。
林道よりは急になりますが、慎重に行けば問題ない斜面を踏み跡を見つつ下っていくと、別段苦もなく荒川渓谷に入渓出来ました。


先に進むと周囲はゴツゴツの茶色い岩盤がそびえ立って、流れる水もまた茶色くて、相変わらずの特異な景色に感動させられる。


もうこの渓谷美を見れただけで、ここまで来た価値があるわってくらい素敵な遡行。

歩いてちょっと景色が変わると足を止めてコンデジを構えて写真に収める。
楽しすぎて全然進めない。めちゃくちゃ遅い歩みです。

木々の美しさに微笑み、淵の変色に楽しみ、岩盤の無骨さに夢中になる。

現れる景観に必然とハイテンションになりつつ進み、地形図に描かれている二段堰堤が登場。


ただの一般的な堰堤なのだけど美しく感じちゃう。堰堤に興奮しては滝ヤ失格だと思うけど、この渓谷にあるとどれもが感動の領域に入ってしまう。なんか悔しい。

さて気を取り直して堰堤を越える算段を検討する。
沢によっては越えられない難関な堰堤があったりするので、ここが鬼門だろうと気を張りました。
が、左岸から流入する枝沢を利用すると簡単に安全に越えられました。本当に良い渓谷です。

再び渓流を楽しみつつ遡ると、徐々に徐々に両岸の樹木が少なくなっていきます。荒々しい剥き出しの岩盤が高く上がってきて、ゴルジュが現れそうな怪しい雰囲気に。

広い滝壺を持つ5m程の滝が出現です。その奥にはより狭まった岩壁が見えます。2段の滝で奥には上段が隠れていると想像出来ます。
ではこの下段の滝を越えなければならない。


パッと見で、深い滝壺に入ってへつるかと考えましたが、荒川渓谷は荒くれている割に本当に優しく、左岸の岩壁であっさり下段の滝を越えました。


限定された滝見スポット

最接近

短いけれど太いハンマーを叩き落としているような上段の滝に到着。
深く、独特の色を持つ大きな滝壺と、打ちつける滝水。ゴルジュの中にある要塞。落差10m程とお世辞にも大きいとは言えないけれど、力強さは凄まじい。小さな巨人と言ったところ。

落ち口を見ると、昨年そこに立ちカメラを構えた自分とリンクした。

間違いなく、風岩の滝から下流を探索したときに見下ろした滝です。

GPSもその位置を指している。昨年の自分と今年の自分、ほぼ一年越しでこの滝を挟み撃ちしました。

荒川渓谷の風岩の滝の下流部には、この滝しかないため、これが大岩の滝と断定しました。

寛げる空間では絶対にないけど、その力強さや無骨さを体感出来て良かったと共に、昨年見れなかった滝が見れてスッキリしました。


帰路、当初に計画していた西側の尾根を一気に登る最短ルートを狙ってみる。
細尾根には微かだけど踏み跡が見える。息を切らしながら急勾配の尾根を登っていくと岩壁が現れて、それを避けて回り込むイメージでトラバースをしていると、なぜかまた林道に乗ってしまった。

林道は西側の尾根方面にも伸びていたのだけど、倒木で道が隠されていました。

尾根をヒーコラ言いながら登るのは嫌になり、結局は安全で疲労のない林道を利用させて貰う。

進める限り林道を使っていると、送電線の真下に出て、そこには整備された仕事道があって、そのまんま気軽に歩いたら車に簡単に戻ってこれました。

険しかろう、断念で終わるかもとか不安の中で挑んだけれど、色んな手助けがあって難易度をググッと下げてくれた。
安全に滝が見れるのが一番だ。良い冒険をさせて貰いました。

さて次は、これまた昨年に落ち口しか見れなかった滝に向かいます。


8:30 出発
9:15 荒川渓谷
9:40 二段堰堤
10:15 大岩の滝

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