雄大で、その尊さに惹きつけられる北アルプスの魅力を存分に味わえます。
心晴れ晴れになること間違いなし、さすが北アルプスと頷ける素晴らしい滝でした。
この滝の難所はズバリ二つ。雪渓と人混みです。
まずは雪渓。この穴毛谷は多く雪渓が残る谷で、降雪具合によっては秋になっても雪渓が残ってる年もあるようです。
雪渓の下をトンネルのように潜るのは生死を懸けたギャンブルだと思っていますので出来る限り避けたいです。雪渓の上を歩くのだっていつストンと落とし穴のように抜けるか分からない。経験が浅いゆえ雪渓は怖いものとしか認識していません。
そして人混み。穂高岳・槍ヶ岳・笠ヶ岳の麓、ロープウェーがあって著名な百名山に向かう登山道の拠点が、穴毛大滝の拠点でもあります。
ジャニーズ張りに人気の山々が連なっていますので、繁忙期の混雑は想像したくもありません。
駐車場の満車やら路駐やら駐禁やら、歩き始める以前に支障が生じるなんぞうんざりです。そんな所で気を病むくらいなら、誰もいないような滝を目指していた方がよっぽど気持ち良いです。
さて、今年。雪渓がないと確定できるほど雪不足のシーズン。向かうには丁度良いと判断しました。
松本付近で風呂やら食事を済ませ、夜になってから新穂高に向かって走り始める。この夜はペルセウス座流星群が見える日で、トイレで立ち寄った道の駅で空を望むと天の川が肉眼で見えたり流れ星も確認出来て感激しました。
新穂高には7月の豪雨の影響で通行止めになっている道があって、迂回させられながら夜の22時頃に付近に到着。
目指すは穴毛大滝に一番近い無料駐車場である市営新穂高第三駐車場(P5)。そこが満車であると、だいぶ離れた鍋平登山者駐車場(P8・P9)になりますが、片道でプラス20〜30分費やしてしまうので中々辛いです。
勿論、有料の駐車場であればもっと近い所(P3・P4)がありますので、そちらを利用すると時間短縮になります。
スノージェットのトンネルを抜けると駐車場の案内が出てきます。真っ暗な時間に到着したにも関わらず駐車場入り口には警備員がいました。
声をかけると2台ほど空いていると言われました。100台以上は入る駐車場ですが、夜中の時点で既に満車状態とは驚くと共に、とりあえず駐車場を確保できたことにホッとしました。
そしてそのまま車中泊。真夏に関わらず20℃以下まで下がっており快適な睡眠が出来ました。
朝4時、起床して朝ご飯を食べて出発。
駐車場の奥から歩道を歩き観光案内所である「新穂高センター」へ。
ここで滝あるきさんと、かっさーさんと合流。そして登山届を提出し(穴毛大滝へ向かうには必須!)、いざ3人で出発です。
ますは気軽な林道歩き。
この穴毛谷で面倒なのは下流部にある堰堤群のようで、やや遠回りになりますが穴毛谷を通過しそのまま左俣林道を上がっていき、その後に現れる西に向かう林道を進むと堰堤の殆どを越えた状態で穴毛谷に入渓出来ます。
白い岩が輝く谷。聳える岩峰。感嘆の声がつい漏れてしまう素晴らしい景色を見ながら谷を登っていきます。
ひたすらゴーロを登っていきます。右に左に、時には水の中に入ったりして、登りやすそうな所を選んで適当に進みます。特に難所はありません。
四の沢との出合では、奥に存在感の強い岩峰が見えます。笠ヶ岳でしょうか。すげえパワーを感じます。
ちなみに穴毛谷から振り返ると常に焼岳が見えます。ずっと見えているので進んでいないような錯覚を味わうと共に、ストーキングされている気分でやや苛立ちました。
あとはもう道中で語ることはありません。とにかくゴーロを登っていくだけです。
特別な事はなく雄大な景色を見ながら、ひたすらゴーロを進んでいくと遠くの岩峰に水柱を確認。ここまで3時間40分ほど。あまり疲れた感はなく、そしてあまり長いとも感じませんでした。景色が素晴らしいと時間が過ぎるのを忘れてしまいますよね。
最後の最後に、雪渓が現れましたがゴーロ歩きには全く影響のない状態でしたので無事に通過。
そして滝前。
北アルプスの岩峰のド迫力な存在を割いて叩き落ちる滝。
滝自体は直瀑として至ってシンプルではありますが、やはり周囲の環境が巨大で鋭利で、猛烈な存在感に圧倒される。
昔の漫画ならばラオウ。流行りの映画「今日から俺は!」であれば智史。番長的存在。
「あ? おまえどこプスだよ。俺は北アルプスだぞ、コラ」
ってガンくれてる感じ。恐ろしいです。
壮大であり凶悪であり、魅了させられる岩峰が連なる景観はマジで神がかってる。
そりゃみんな北アルプスに来ますよ。渋滞しますよ。なんかもうホント凄すぎです。
ザックを置いたらムラムラしちゃって滝前に向かう。歩き続けて火照った体が飛沫で冷やされる。クール・クーラー・クーリッシュだよ。
夏だ! 飛沫だ! 青空だ!
暑い夏は遊べる滝こそ至高。びしょ濡れが心地よい、夏だからこそ爽快でありたい。それを叶えてくれる穴毛大滝。童心に帰ってしまいました。
帰路、南向きの谷には太陽が突き刺してくる。ジリジリ焼ける暑さが襲ってきますが、すぐ脇に轟々と流れる水に浸かれば瞬間冷却。
雪渓が溶けた水が流れているからかめっちゃ冷たい。胸まで浸かると心臓が掴まれたような錯覚を持つほど冷たい。
「キンキンに冷えてやがる!」
「犯罪的だ!」
みんな班長からビールを貰ったカイジになってました。
来た道を戻るので長い距離を歩いていますが、なぜか全然疲れない。終始楽しく歩けました。これもまた北アルプスの魅力でしょうか。
人が居なければマジで最高ですね。
駐車場に戻ったのは16時頃かな。この時間帯はさすがに空車がありました。確実にP5に停めたいのであれば、前日の夕方に現地入りされるのをお勧めします。
5:50 P5 出発
6:00 新穂高センター 入山届提出
6:10 出発
6:45 堰堤に向かう林道
7:00 堰堤前 穴毛谷 入渓
8:30 四の沢 通過
9:40 穴毛大滝 到着
歩行距離 12.76km(往復)
|