ヤド沢大滝





所在地
新潟県十日町市

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
現地へ 苗場山の北面、釜川の上流にある滝。泳ぎ有の沢登りで出会える。
訪問日 2019年7月27日
三ツ釜からの続きです。

釜谷は千倉沢とヤド沢の二つに別れると、性格が変わります。

ヤド沢は凄い。何がってそりゃもう演出が凄い。ド派手なパフォーマンスあり、しっとり静寂な舞いがあったりと多岐にわたる。
濃厚で濃密な時間。ワクテカが止まらない。まさに夢の国。ディズニーのエレクトリカルパレードみたいで、テンションは必然と持ち上げられちゃいます。


ただし、危険度も体力消耗具合も比例して上がります。正直、自分にはレベルが高過ぎました。仲間に助けられなければ、大滝に行けるどころか沢から抜け上がる事も出来なかったと思います。情けないです。
滝のオンパレード、巻きの連続。素敵な滝を高巻くために藪を掴んで必死扱いて泥斜面を上がっていくの繰り返し。

一番きつかつたのは25m滝を越える所。

左側のリッジと水流の溝を利用して越えるようですが、ここで「滝巡りは面白い!」というワクワクの風船はパン!と破れて、怖いという風船が猛烈な勢いで膨れ上がりました。


自分には何も出来ないただの壁。これを慎重に冷静に登りロープを下ろしてくれた江戸切子さん。本当に凄い人です。滝ヤの宝です。

お陰様でロープを頼りに登り切りましたが、ロープを握ってても本当に怖かった。後ろをはんぺんさんが守ってくれて、アシストして頂いて助かりました。


しかし、冷静に思い返せばクライミングジムなら初心者が一番最初に試してみる斜度と同様だったように感じます。ジムと現場は全然違いますね。
毎度の事ですが5mほど上がると、体が勝手に強張ってしまって動けなくなる。これって克服出来るのかな?

昔、ジェットコースターが怖くて乗りたくありませんでした。でもそんなんじゃ遊園地でデートした時に彼女に笑われてしまうと思って、ジェットコースターを20回くらい連続で乗りまくって特訓?して、手を挙げて笑えるくらい楽しめるようになりました。今では富士急のフジヤマなんて最高に楽しいと思えるくらい怖くなくなりました

岩場でも、何度も何度も経験すれば高さに対して恐怖心は消えるのでしょうか? なんかどうしてもダメな気がするけど逃げちゃダメだ逃げちゃダメだの精神で頑張るしかないですね。

ちなみに大きな船が振り子のように揺れるバイキングとか、トンデミーナとかは怖くないけど気持ち悪くなっちゃうので乗れません。ってそんな事書いただけでちょっと吐き気がきた。うぇぇ。

25m滝を越えて、もう安全だと分かっていても一度破れた風船はもう戻らない。緊張しっぱなしで心がポキリと折れたのが分かる。ただ感動はなく闇雲に歩いているだけ。

その先も小滝が続く。どれもカッコ良いけど楽しむ余裕はない。

遠くに、大きな壁が見えた。ヤド沢大滝だ。


見事な大滝!

楽しみにしていた大滝にようやく出会えた。
両岸ともに崖で、逃げ場のなかった沢から一気に開放された広い滝前。恐怖心に圧迫されていた気持ちは大滝によって祓われてリセット出来た。
見上げる大きさ、滑り落ちる滝水、期待通り素晴らしい滝です。

しかし残念ながらもう食傷気味。お腹一杯なんです。ヤド沢の遡行で出会った滝は、一つ一つ濃厚な滝で、焼き肉で言うならどれもがカルビ。しかも口に入れると噛まなくてもとろけるような上等なカルビです。
美味しく食べていましたが、メインデッシュである大滝という国産黒毛和牛の上カルビがテーブルに置かれても、もう手前に食べた肉だけで十分満足してしまっていました。
そんな状態になってしまったこの沢が凄すぎる。大滝には申し訳ないけれど、メインディッシュを存分に味わえなかったのは残念です。

だからって何もしない訳ではないです。勿論、飛沫を浴びてきました。体一杯に浴びると、目が痛くなりました。蔵王温泉や河原毛大湯滝に顔をつけた時と同じ目の痛さ。もしかしたらこのヤド沢に流れる水は酸性なのかも知れない。今後、行かれる方は是非リトマス試験紙を持参してテストしてみて頂きたいですね。

時刻は夕方。途中から日没へのプレッシャーが現れていたけれど、なんとか目標の大滝には到達出来たので林道へのエスケープを検討する。

ヤド沢を遡って林道にぶつかるのが正道だし、その予定ではあったけど、大滝を巻いてまだ上流を歩くとなれば途中で暗くなってしまう。

明るい内に林道へ出たいって事で、最短距離を模索する。大滝を巻かず、一気に谷を西へ上がる計画。
どこかで崖が出てきたらより時間を食ってしまうギャンブルです。

最初は大滝を巻くように左岸を進み、途中から下流方向に斜面をゆっくり上げていって、藪のない谷筋が現れたのを救いと信じ辿って上る。


谷筋は階段状で上がりやすく藪もないのでストレスは少ない。泥斜面の時もあり木々を掴んでゴボウでよじ登る時も多くあったので、かなり腕力が消費された。


I歩きやすい林道

Jゲートに戻った時には
夜でした


難所はなく平坦な地に上がれて、程々の藪を漕いで林道に到着。あとは安全な道をヘッドライト点けて歩くだけ。無事にゲート前まで戻ってきました。

12:50 三ツ釜・上段
13:20 出発
13:45 D2段12m滝
13:50 E10m滝
14:15 F15m美瀑
14:45 G25m滝
15:50 25m滝を越えた
16:35 ヤド沢大滝
17:10 出発
18:35 林道
20:00 ゲート前駐車場 到着

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