一の滝
(楮根の大滝)


所在地
山梨県南部町

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆
現地へ 篠井山の北東部。現地付近に行くと、案内が現れる。展望台までは30分前後。滝前に至る道はなく沢登りとなる。トップ画の滝前には2時間前後。
訪問日 2018年11月11日

葉が緑の頃は大変なヒル地獄と聞いていたので、紅葉期に訪れました。

ここは地形図に水線が描かれていないので水量の心配があります。出来れば豪雨後に行ければ良いけど、豪雨は夏の頃が多い。しかし夏はヒルがヤバい。あっちが立てばこっちが立たずで中々いやらしい滝ですね。

滝の最寄りである「道の駅とみざわ」で滝ペーさんと待ち合わせ。昨今、20代の滝好きがグングン台頭してきてますね。今回も新鮮なコラーゲンを奪いまくります。

対岸の県道から超遠望も出来るようですが、とりあえず行っちゃいましょって事で付近に直接向かいます。
現地近くに来るとあらビックリ。「← 一の滝」って立て看板があるじゃない。いつの間に観光地化されたのでしょう。

案内通りに行くと細い道に入り終点。車3台止められるけど、びっしり3台入れると転回が出来なくなって面倒です。

30分で展望台と案内には記載されています。そこまで道が出来たのですね。では有り難く利用させて貰いましょ。

道という名のピンクテープや踏み跡が沢山あって出だしからパニック。踏み跡だと思って進んだら道が消えて、よく分からないので車まで戻って、案内を見る。

なるほどすぐに右岸から左岸に渡渉するのでしたか。確かに対岸にもテープが巻かれていました。
これが判ればもう迷う事なし。しっかりした踏み跡を辿って山道を上がって行きます。途中で左岸から右岸に渡って杉の植林地帯を登っていくと滝が見えました。

全体が見渡せる遠望地。とりあえず水は流れています。今日はあまり元気がないですね。秋ですし、あまり雨降ってなかったですし、仕方ないかな。

さあ滝下を目指します。遠望地からちょっと戻ると沢に下りられる斜面が出てくるので下降して入渓。
ここからは沢登りです。小滝を越える所は左岸から上がりましたがズルズルの斜面でちょいと面倒でした。

深い所では膝上くらい浸かりました。冷たくて叫びそうになります。しかし滝ペーさんは「ぬるい」という。若さなのか、寒さに強いのかその発言には驚きです。これなら氷魔法のヒャダルコと同様の効果を持つ私のオヤジギャクにも耐えられるのかもしれない。今度試してみよう。

前衛滝と言われる10m程の滝が現れました。左右共に側壁が高いです。右岸にあるルンゼを利用して高巻きました。小滝といい、前衛といい、ここの斜面は脆い。小石と泥が混ざった斜面で乗ると沈みます。両手も使ってバランス取って上がって、トラバースは慎重に。それなりに緊張感のある巻きです。

さあ来ましたよ多段の滝へ。見渡す限り4段。見えない所にも段瀑があるらしいがこのすぐ上の段である直瀑が美しいというのは一目で分かります。

最下段?で青空を待ちながら写真撮影を楽しんでいると、いきなり落雷のような轟音が響きました。何事かと音の方向を見ると崩れた岩が沢を埋めていました。


崩落の瞬間に立ち会った事になります。地震があった訳じゃないのにいきなり崩れて沢がまっ茶色になって本当に驚きました。

この大岩の横を通過した時に、バランスを取るために岩に触っていたらその瞬間に崩れたのでしょうか。もしそうなら崩れた岩の下敷きになっていたのかな。実際には大岩に近付かず対岸を歩いていたので影響はありませんでしたが、こんな間近で崩落を見たのは初めてで、マジで肝が冷えました。

気持ちが落ち着かない中で、更に上を目指します。ここは左岸から。相変わらずグズグズの斜面ですが、しっかり踏み込んで足場を固めながら越えました。

宙を舞う直瀑の滝下に到着です。遠望地から見える三段の中では一番下に当たります。見事な柔らかさです。秋の水量の少なさから、今日は侘びの雰囲気、紅葉と物静けさを楽しもう。

グルッと回り込めるのも良い感じ。色んな角度から楽しめます。面白いと思ったのは滝の裏。飛び跳ねる滝の岩盤はポッカリと口を開けているのですがそこに大きな木が豊かに伸びているのです。滝の裏に草や苔が自生しているのはままありますが、大木が成長しているのは見た事がありません。木の枝と葉は滝水に当たるからか滝の部分で平らになっている。植木屋が綺麗に伐採したかのように壁になっていました。
ここの裏見、左岸からならアプローチ出来ると思ったのですが、先の崩落を思い出してとても裏に向かう気になれませんでした。

一通り楽しんだら、更に上を目指します。遠望地から見ると真ん中にあたり一番大きく見えた箇所に向かいます。ここも左岸から越えましたが、ズルズルの急斜面にはほんと手こずりました。登ったのに下げられちゃうし、何より落ちたら終わりと思える急斜面でのトラバースは緊張しました。

ジリジリと近付いて30分程の高巻きで滝前に到着。そこは直瀑の落ち口で物凄い高度感。さっきまで居た案内のある展望台が見えるし、県道を走っている車も見える。凄い見晴らしだけど、落ち口はやっぱり怖い。


振り返って滝を見る。先ほどの直瀑よりも小さく、それに形もいまいちかなぁ。遠望で見たときはここが主瀑かと思いましたが直瀑の方が断然に良い滝ですね。
高さに対して恐怖が拭えないので居心地が悪い点も辛いところでした。

緊張がずっと続いて精神的な疲労が増していて、ここから更に登って上にある滝を見に行こうとは思えませんでした。

そんな訳で下山に向かいます。先ほどのトラバースの急斜面は速攻でロープ出して懸垂して一気に下りました。登るよりも降りる方が難しいし危険を伴うので、ロープがあると安心ですね。

左岸尾根に仕事道があるとの情報を頂いていたので、前衛滝の上から左岸を上がって行きましたが、仕事道までは踏み跡のない斜面でだいぶ手こずりました。
展望台までの道が出来た今なら、素直に戻った方が楽だと思います。

6:25 林道終点 出発
7:00 展望台
7:50 前衛滝 到着
8:10 出発
8:25 最下段 到着
9:00 出発
9:10 直瀑 到着
9:50 出発
10:20 直瀑落ち口 到着
10:40 出発
12:00 林道終点 到着


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