そごう谷 右俣大滝


Data 住所 椎葉村
評価(5段階) ★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
現地へ
市房山の北東部。国道265号のそごう谷が一ツ瀬川に出合う地点の一ツ瀬川の上流に堰堤があり、その手前で駐車。一ツ瀬川を渡渉し、そごう谷を遡行。

コメント
今年もそごう谷の季節がやって来ました。これで3年連続です。
昨年は雨の中をそごう谷左俣大滝まで行けました。そして今年は右俣大滝を目指して飛行機に乗りました。
昨年同様にオリオンツアーに予約。レンタカー付きで格安なのでこのツアー会社はお勧めですよ。

人吉の道の駅で車中泊して、4時頃に起きて行動開始。国道219号を軽快に走行していると通行止めの案内が。
土砂災害らしいけど、西米良村のHPを見ると迂回路有りとなっているので安心して走行してたのですが、西米良村に入ったと思ったら大きなショベルカーが国道をバリケードのように封鎖しており全く先に進みようがありません。封鎖の目の前には迂回路の案内がなく、ただ通行止めとしか書いていません。
どうにも行けないのは理解したとして、HPの記載と現地の情報が一致していない事を遺憾に思いつつ椎葉村へと向かう国道388号で、なんとか現地付近に到着。想定よりも1時間は到着が遅れてしまいました。
そんな訳で急いで準備をして朝飯を食べずに空腹のまま出発です。
九州は前々日に豪雨に見舞われたようで一ツ瀬川がどれだけ増水しているか心配でしたが膝くらいで無事に渡渉が出来ました。
今日は快晴。昨年、一昨年ともに雨にやられましたが、今回は雨の雰囲気どころか雲が一切ない素晴らしい日和です。お蔭で気持ちも行動も軽やかで、道中は鼻歌交じりに写真撮ったりしながらの行動です。
渡渉を終えて、導水路を辿ってそごう谷に入渓。軽快に遡っていきますが、なんか足元が不安定。岩が乾いているからかフェルトの沢靴はあまりグリップせず滑ってしまいます。昨年は雨の中での行動でしたが谷では滑るといる苦労はなかっただけに驚きです。
油断してると滑ってバランスを崩してしまいます。こんなに滑るとは驚きです。異常状態は沢だけなのか? 試しにダジャレを言ってみよう。そごう谷に、いそごう! ……ダメです、ダジャレも滑ります。今日は慎重に行かんといかんなともう一度ダジャレで滑ってから気合を入れ直し集中。
そんな事を一人で呟いているとヒョングリ滝に到着。ちょっとマッタリ写真を撮ったら左岸の枝沢を登って高巻き。
そしてヒョングリ滝の落ち口に着くと、そごう谷第一大滝に到着です。
ここは右岸から前年と同様に高巻いて、落ち口上からは穏やかな沢、その後に前回も難儀した斜瀑が登場。
今回は突っ込んで越えようと考えてましたが、いざ目の前にすると意気消沈です。滝壺が深いから胸くらいまで浸からないと直登出来ないし、いざ斜瀑に取りついても滑りそうで怖い。ここも前回同様に左岸から巻き。巻くのも難儀ですけどね。掴んだ岩に体重乗せて上がろうとしたら岩が剥がれて危うく転落しそうになりましたし。
とりあえず越えて目印のテーブル岩、そして二俣。左に滝を持って出合う谷が本谷で前回歩んだ方向。その奥にあるそごう谷第二大滝はとっても素晴らしいですが、立ち寄る余裕はないので今回は諦め。
目的の右俣へと入っていきます。
ここからはおだやかというより、急斜面の岩場をグッと上がっていく感じになり、息切れさせられる傾斜になりました。
わりかしすぐに滝場の到着。まずは3m+7m+30m位の前衛滝群。
3mは問題なし。次の7mは厄介。両岸共に壁が高くて安全に巻ける道が見つからない。
ここを越えなければ右俣大滝に会う資格がない訳だなと気合を入れて7m滝の右脇の岩壁に取りついてみる。
手を掛けるとなんか安心できる岩場で、どこもかしこもしっかり掴めるし足場も安定。3点確保を意識してゆっくり上がっていく。斜度はそれなりにあるし、滑ったら怪我する高さではあるけれど結構リラックス出来て、最後はイバラの枝が服に引っ掛かって痛くて嫌でしたが滑落する恐怖もなく無事に越えられました。
30mの前衛滝を目前にする。岩を切り裂いて落ちていて黒い革ジャンが似合う鋭さのあるワイルドな滝です。素晴らしい滝ですが、これはまだ序章。というかボスの部屋の前に居座る子分です。
「ヒャッハー、ボスに会いたきゃ俺を倒していきなー」と言われているような存在感。
右岸は高々とそり立つ壁。巻くのは必然と左岸です。あまり滝から離れないように斜面を真っ直ぐに登って行きましたが、落ち口よりも高く登ったら獣道が横切っていました。その道は大きく回り込んでいるように踏まれていたので、前衛滝から戻る感じで回り込むと緩やかに上がって来れるかも知れません。
自分は小さく上がったので斜度がきつくて怖い登りでした。
その獣道を沢方向へ北上しながら辿ると、右俣の大滝が出現、つまりボスとの対面です。
落差は60〜70mで前衛滝と同様に切れ味抜群のナイフのような勇ましさ。でもどことなく穏やかに感じるのはボスとしての器でしょうか。
両岸の樹木が高くて、うまく太陽が当たらない。全面がキラキラと輝いて、白い飛沫がダイヤモンドにみえるような美しさになるのを期待してましたが、待てども待てども、どうしても上部だけに太陽が当たりすぎてバランスの悪い写真しか撮れませんでした。
1時間30分前後、太陽の光を待ちましたが改善が見られない為に諦めて行動再開。
元来た道を戻るのも大変そうなので、大滝を巻いてみようと再び左岸を進む。
ここからの巻きの斜面は登山道かと思えるほど優しくて手を使わず足だけでリラックスして登れる斜面。これがボスの懐の深さですかね。
登りに登って、明らかに落ち口よりも高く来てるなぁと思ったあたりで沢方向に幅1m程の棚があって、導かれるように棚に乗ると落ち口に吸い込まれる感じに下降して沢に戻れました。
ボスの頭に足を置くという不届きな行為ですが、そこからの景色は見晴らし最高。昨年にそごう谷左俣大滝を遠望した838mの尾根の突端が見えます。なんか感慨深いものがあります。
落ち口上も滝群が続きます。ちょっと登ったりしましたが、すぐに登れない15m程の滝が出て来たのでここを区切りとして下山の方向に気持ちを切り替えました。
下山路はそごう谷の左岸尾根。綺麗に辿ると一ツ瀬川とそごう谷の出合に戻ってこれる様子。
左岸の樹林帯はなだらかな斜面で軽快に沢を離れていく。そのまま真っ直ぐ進むと崖マークに当たってしまうので、やや標高を上げる感じで尾根に向かう。しばらく進むと獣道よりも濃い踏み跡が見えてそれを辿ると尾根に乗れました。
尾根もまたなだらかで、でもここにはあまり踏み跡はありません。藪の少ない下りやすい斜面で方角を誤ると変な所に下りちゃいそうなので、GPSで現在位置を確認しつつ方位を見て下りていくと導水路に戻れました。
あとは一ツ瀬川を渡渉して、車に戻り無事に終了。
靴を脱ぐとヒルが一匹こんにちは。やっぱり君は必ず現れるよねと気軽にデコピンで弾いて、「ヒルには怯まないぞ」と最後に独り言で一滑りして、3年に渡って訪れたそごう谷からやっと卒業出来ました。


6:50 堰堤前 出発
7:10 ヒョングリ滝
7:30 第一大滝
9:15 出発
10:05 二俣(本谷・右俣の分岐)
10:15 前衛滝群
10:55 右俣大滝
12:20 出発
12:35 落ち口
13:00 左岸尾根に乗る
14:00 堰堤前 到着

他写真
訪問日 2018/04/16

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