Data |
住所 |
北杜市
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評価(5段階) |
★★★★
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難易度(5段階) |
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現地へ |
尾白川渓谷、上流の黄蓮谷の滝。尾白川林道のゲート前で駐車、林道終点から尾白川を遡行。二俣を左にとり黄蓮谷を遡行。およそ5〜6時間で到着。
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コメント |
もーマヂむり。下山時は何回そんな言葉を呟いたか。
スッゴく疲れたけれど、思い出すのは美しい沢の姿。沢登りの本に掲載されている有名な谷で、沢ヤさんに愛されているこの尾白川・黄蓮谷には美しい滝が沢山あります。本当に綺麗だった。それに夏の渓という言葉がピッタリの気持ち良い沢登りを楽しみました。
元々は新潟に向かう予定だったのだけど、前日の天気予報を見ると確実に雨が降る予報になっていました。
仲間と打ち合わせして、代替案として決まったのがこの黄蓮谷です。1人では行く機会はなかっただろうから、この機会に訪れるのはちょうど良いと思いました。
あんまり記録を見ないで行くのは良くないですね。安易に気軽に決めてしまいました。綿密に地形図やら先駆者の記録を見ていたら「こんなん無理やん」と辞退していたと思います。
ここは基本一泊二日です。でも今回は1日しかありません。ですのでショートカットして日帰りにしようという計画。僕達は沢ヤではなく滝ヤですから滝を見れれば満足ですし、山頂にはあまり興味ありません。だからこそのプランだと思います。
道の駅はくしゅうで仮眠して、あっきーさんと合流し、まず向かったのは甲斐駒ヶ岳への登山道起点となる竹宇駒ヶ岳神社。この駐車場には朝4時に関わらず沢山の車が止まっていてビビります。
ここにあっきーさんの車をデポして、自分の車に乗ってもらい再び移動。
尾白川・黄蓮谷に向かうには、この神社からでは時間が掛かりすぎるので、少しでも短縮出来るように北にある尾白川林道の終点からアプローチをします。
日向山の登山口をやり過ごし少し進むと林道ゲートが現れて、ここで車を止めて歩き始めます。
林道は長いです。距離で4km弱。でも途中に観光地の滝である錦滝があり、良い気分転換になれたのでさほど遠いとは思いませんでした。
終点からは急降下して尾白川に向かいます。明確な踏み跡、時に虎ロープも張ってあるので安心でした。
さて尾白川に入水したら、ここからは沢登りです。黄緑色の川はとにかく美しく、歩いていてとても気持ち良いです。
深い釜を持った滝がいくつも現れます。殆どが右岸に巻き道があるので、直登するも良いし、巻くのも有りな各々の力量に合わせての選択が取れます。さすが有名な谷ですね。
女夫滝、梯子滝、遠見滝と名のある滝はいずれも美しく、足を止めて写真撮影に忙しい。他にも名前がないけど綺麗な滝は多く、その都度カメラを取り出していました。
こうしていると時間だけが過ぎていってしまい目的地に着かないのではと途中から軽く焦るようになるくらい写真を撮りたくなる滝ばかりで、歩く度にその景観には感動させられましたよ。
サクサク進んでいればもっと早く着いたのだろうけれど、たっぷり時間を掛けてようやく噴水滝に到着。
それを毎度のように右岸で越えて進んでいくと二俣が現れます。水量は1:1かな。ほぼ同じくらいの勢いでした。ここを左の黄蓮谷に入り、相も変わらず美しい水と岩盤を堪能しつつ登っていくと目的地の一つ、千丈の滝に到着です。
出会った瞬間に浮かんだ言葉は「紳士」でした。流れは端正で、岩盤は清らかで、その佇まいは品があって、落ち着いたダンディーな雰囲気を醸し出しています。
女性的な滝なのですが、奥行きのある岩盤は迫力があって男性的。でもワイルドな男って訳ではなく優しく穏やかで清潔感のある紳士なんです。
そんな滝が生み出す空間は、安らぎを得られます。ホットコーヒーを飲んで、ほぅっと一息ついたような休息を得られました。
どんな滝か知らないで来たので、出会った衝撃は大きかったですね。
千丈の滝で洗浄されたとダジャレを呟き、今回のフィナーレである坊主滝を目指します。
右岸から簡単に巻き終えて、難所のない谷をすすんでいけばあっさり滝前です。名前の面白さと形のいびつさで期待していたのですが、千丈の滝が印象強く、どこか物足りなかったです。
さて、楽しい滝巡りはこれでお終い。これから下山を始めます。
天界から見てるナメック星人の神様が呟いていました。
「ま……まもなくだ、まもなくこの滝巡りにとんでもない事が起こる。
絶望的な予感がするのだ……!」
沢を下って林道に戻るか、登山道まで上がって下山するか、悩みましたが安全な下山を選択するなら登山道でしょう。
まずは坊主滝から千丈の滝まで引き返し、右岸から入る枝沢の五丈の沢の右岸を上がって行きます。
ここには登山道へのルートがあります。一直線に登山道の5合目小屋付近まで上がれる踏み跡があります。
その標高差、およそ500m。
早朝から動いてお昼を過ぎた時間帯。林道を歩いて沢登りして結構体力は落ちてます。その体に500mは酷でしょう。しかもずっと急登の状況を見て「おらワクワクしちゃうぞ!」なんて一切言えず溜息しか出ません。
踏み跡は非常に不明瞭。最初の登り始めは全く道がありません。沢を右手に見て、あまり離れぬように上がっていくと岩小屋が見えました。
大岩が屋根になっていて雨が凌げて、地面は整地されていて、付近に湧き水もある。宿泊地として素晴らしい環境です。
登ってきたルートが間違いではない事に安心すると共に、この辺りから踏み跡が見えてきました。それを辿って上がって行きます。しかし中盤からは疲労が隠せず、5分も進めば息が切れて立ち止まってしまいます。
踏み跡は消えたり現れたりの繰り返しで、どこを登って良いか悩みつつ、ちょっと登っては息を整えての繰り返し。どこまで登っても先の景色は変わらず精神的にくるものがありました。
2時間ほどたっぷり時間をかけて登山道に到着。明確な山道に復帰出来て一安心。あとは登山道を下るだけです。
地形図で距離と高度を確認。現在地から車の置いてある竹宇駒ヶ岳神社まで直線距離で5km。高度差は1400m。なんちゅー距離や。もうヘロヘロでクタクタです。カリン様、仙豆を下さい。
頑張って歩いて、名物のアリの刃渡りをやり過ごし、笹の平分岐にて標識を確認。神社まであと1時間30分もあるんですって。神コロ様、これが絶望ってやつですね。
コースタイムより遥かに遅れて、ヘロヘロになってやっと駐車場に戻って来たときには日が暮れていました。
あっきーさんの車に乗せて貰って尾白川林道のゲート手前まで楽チンな移動。
闇夜の中、ヘッドライトに灯された愛車はどこか寂しそうでした。待たせて悪かったね、無事に帰ってきたよ。
5:00 尾白川林道ゲート前 出発
5:50 錦滝
6:30 尾白川林道終点
7:15 女夫滝
7:45 梯子滝
8:15 遠見滝
8:30 大釜の滝
8:45 噴水滝
9:45 二俣を左へ
10:55 千丈の滝
12:00 坊主滝
12:45 岩小屋ルート 登り始め
14:40 登山道
17:00 笹の平分岐
19:00 竹宇駒ケ岳神社 到着
※撮影・休憩を含めた到着時間です。
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他写真 |
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訪問日 |
2017/07/23 |