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当日は全国どこを見ても雨のマーク。 行こうか行くまいか、悩む所ではあるけれど、難所はないはずだし多少の雨ならば影響は受けないだろうとmatsuさんと道の駅で待ち合わせして、蔵王に向けて出発。
東北自動車道から山形自動車道へ折れて蔵王インターに着くと中々に強い雨が歓迎してくれました。
ワイパーがせわしなく動くフロントガラスを見て、朝一番に向かうのは諦めてひとまずお手軽で時間潰し。
奇形のくぐり滝を見終えた頃にはいくぶんか雨が弱くなったので蔵王ダムに向かいます。
閑散とした蔵王ダム。ダムカードが欲しいなとちょっと思ったけれど人がいないので貰えないぞチクショー。
視界は霧で覆われていて、滝を目指すか躊躇するレベル。どうしたものかと悩んでウロウロしていると霧は徐々に薄くなっていきダムがよく見えるようになってきた。そこから滝が見えるわけではないから滝前に霧が残っている可能性はあるけれど、ここまで来たのに何もせずに帰るのはやるせない。
という訳で雨の降る中、カッパを着込んで出発です。
目指す八方沢はダム湖の奥にあり、グルリと大きく回り込んでから入渓となる。ダムから沢は見えているというのに、真っ直ぐ進めず遠回りするのはなんかイラつく。鉄道ゆりかもめでお台場に向かう時に、お台場が見えたのに一旦逆方向に走るのと同じ感じだ。
平坦で歩きやすいけれど、中々に距離のあるダム湖沿いの道を40分ほど歩いてやっと八方沢に着地。 水かさはちょっと増しているくらいかな。遡行に影響はなさそう。 適当に進める所を進んでいく。別に難所はないが両岸の崖の威圧感が半端ない。地形図には崖マークなんてないのになんという迫力だ。もしも、鉄砲水が来たら逃げ場がないなと不安になる。 ヨイショ、ヨイショと岩を越えたり水を中を歩いていくと左岸から目的の滝が見えてきた。最後は腰辺りまで水に浸かりながら目の前に。
直瀑と斜瀑の融合された滝は「ほほぉ〜」と声を上げてしまうくらいカッコ良い。落差は40〜50mくらいか。申し分ない高さです。
二つの滝が同時に見えるのに、斜瀑の方がそっぽを向いて左に落ちていくのが絵的にちょっと残念ではありますが、右の直瀑の形は秀逸です。美瀑の部類に入るでしょう。真ん中にある緑の草と別々のデザインをしている白い二つの滝はとても生き生きしていて見ていて心地良いですね。
これだけ印象的な滝なのに名前がないというのが不思議でならない。沢ヤさんは興味がないでしょうが滝ヤさんならばきっと満足出来ると思いますよ。
不思議といえばこの滝の成り立ちも気になりました。地形図には滝マークはおろか水線も記載されていない。更にこの滝の落ち口から150mくらい上には尾根があって登山道があるんです。
いったいどこから水が流れているのか? 崖から突然流れ落ちる潜流瀑なのか? ただ地形図に記載されていないだけで沢は流れているのか? キニナルキニナル。
この登山道を利用して行ける鍋倉不動滝を見終わった後、落ち口を探りに行ってみました。
登山道からは水の流れる音は全くしない。本当にこの下に滝があるのか疑問になります。とりあえず登山道から離れて斜面を下りていく。20mくらい下がったら山肌から水が染み出してきてチョロチョロと水の音が聞こえ始める。40〜50m下りると幅1m程だが勢いのある沢へと変化し、一気に崖を落ちていってました。
地中から這い出し、ようやくシャバの空気に触れた水は、一呼吸したかと思えば唐突に空中へ放り出されるとは中々ひどい仕打ちですね。
潜流瀑だったら面白いのになぁと思ってましたが、普通の枝沢でした。でも滝のほんのちょっと上流でガンガン水が染み出ているのは面白かったです。
ついでに10mほど東に進むと、同じくらいの幅の沢が流れていました。一つの沢が分岐して二条になっているのではなく、二つの沢が同じ崖に落ちる夫婦滝の形成を持っているのも確認しました。謎は全て解けた。とてもスッキリです。
名前があっておかしくない程の素敵な滝なんですけどね。もしこの滝名をご存知の方がいましたら是非とも教えて下さい。
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