Data |
住所 |
北杜市
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評価(5段階) |
★★★★★
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難易度(5段階) |
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現地へ |
甲斐駒ケ岳の南東部。篠沢大滝キャンプ場から奥に進み、林道ゲート前に駐車。林道を進み赤薙沢の手前から大武川に入渓そして遡行(4〜6時間)。その後、赤石沢に入り90分程で滝前に。片道7〜9時間要する為、沢泊となる。 |
コメント |
さあさあ、やって来ました一大イベント。 片道8〜9時間の予想。当然ながら沢泊の予定。
いかにバテずに行けるかが問題なので、この為にジョギングして体力を培ってきましたよ。
日帰り予定で挑んだ2012年。前日に豪雨で大武川の水量は大増水。遡るのも渡渉するのも困難でスクラム組んだりして突き進むものの、ヒョングリ滝・鵜の首の滝を巻いた辺りでタイムアップ。日帰りでは到底届かない遠い滝であり、目算の甘さに猛省。 次の年も計画を立てるものの、前日に娘が高熱を出し、看病するため断念。 ようやく行ける日が来ました。 かれこれ3回目となる林道ゲート前。詰めれば6台は停められるスペースがあります。 ここで折り畳み自転車を取り出して、ゲートの中に持ち込んでスタートです。
なだらかな登りがずっと続く感じなので、気合い入れれば自転車をずっと漕いでいけますが、自分はヘタレているのですぐに下りて押して進みます。
林道は長い。2.5キロくらいかな。歩ける距離だけど少しでも楽したいのが心情。帰路、ヘロヘロになって沢から戻ってきた事を想定すると、その後の林道歩きは気が重い。だからこその自転車です。後で楽をするために元気な内に頑張っておきたいと持ち込みました。でもまあ確かに帰路が楽になるのは間違いないのだけど、自転車を押して坂道を登っていくのは、普通に歩くのに比べて倍の消耗をするので良いかどうかは判断が分かれる所ではあります。 大きなアスファルトの橋を過ぎた辺りから傾斜はきつくなってきます。それでもハンドル握って押していき、二の沢を過ぎてようやく林道は終了。ここまでで既に汗だく。 堰堤工事が進んでいるようで、赤薙の滝の手前まで道が伸びていました。
これは幸いではあります。地形図では林道の点線は赤薙の滝の手間まで伸びていますが、実際は崩落により廃道になっています。ですので赤薙の滝へ行くまでにもロープ出したり苦労しました、それがなくなったので相当な時間短縮です。しかし、残念な事にその工事のせいで下流にあった勘五郎の滝は壊されてしまったようです。
さて入渓は楽に出来た。まずは本流を突き進む。歩き易そうな場所を選んで渡渉して、越えられない滝や深い滝壺が現れたら右岸で巻くのが基本。
だいぶ人が入っているようで、高巻きの踏み跡が見えるようになっていました。それに所々に目印のピンクテープが木に巻き付かれていたし、先駆者に感謝です。 腰辺りまで浸かる所があれば、急峻な流れの所では飛んで越えたり、残置ロープを利用してトラバースしたりとなかなか忙しい沢登り。 一番停滞したのは大岩に隠れた滝の所。セオリーは狭い岩の隙間を腹這いで越えるのだろうけど、沢泊の道具を詰め込んだザックは膨れ上がっており通過するのが怖い。
ここは先導してくれたWATAさんが越えてくれて、上からザックを荷上げしてくれました。本当に感謝です。
この大岩に隠れた滝。これは帰りに気付いたのですが、左岸の大高巻きでこれら連瀑を一気に越える事が出来ました。
一応、記録用としてここに記載いたします。
最初の虎ロープが設置されている大岩を抜けると3mの美瀑が出てきます。 そこから右側(左岸)を注目すると「どうぞ登って下さい」と言わんばかりに斜面に誘導する岩盤があります。ここが左岸の大高巻きの始点。
踏み跡は乏しいですが川から離れるように斜面を上がって行きます。途中、冷たい湧き水があるのでここで水を補給すると良いです。 その後、右から小さな滝を持つ支流が現れます。ちょうどそこはテン場として利用されているようで、焚き火の跡がありました。
そこから大武川に戻らず、支流の滝の脇を左側から登っていきます。ただしかなりの急斜面なのでとても大変。なんとか滝の上まで出ると再び踏み跡が現れます。
その踏み跡に乗ってちょっと進むと、林道なのか? と疑問に思ってしまうような幅広で平坦な地形になり、物凄い早く進み鵜の首の滝下で再び大武川に戻ります。
通常は大岩に隠れた滝を左岸で巻いた後、小滝を越えつつ右岸で巻きつつ遡上します。そして鵜の首滝に到着です。
この滝の方が跳ね飛んでいるので、こちらの方がヒョングリ滝に間違えられますが、右奥に隠れている細長い滝があり、それが鵜の首に似ている事から名付けられています。 こちらもセオリー通り右岸で巻きます。
次に現れるのは4連瀑のヒョングリ滝。名前とは裏腹にヒョングってはいない。その昔は飛び跳ねていたらしいが、今ではその面影は皆無です。 ここも右岸から4つの滝をまとめて越える。
次は横手滝。メインの直瀑は岩陰に隠れていて見えません。巻き道は当たり前のように右岸にあります。直瀑を間近でみたい場合は左岸の草付きの棚部を進めば正面に行けます。
この後もゴーロ、小滝が続いていき、進むに連れて摩利支天のカッコいい三角形が見えてくる。山深い所に来たもんだと感心。 さあ、赤石沢との出合い。本流との比率は3:1か。本流の勢いは未だ健在である。かといって赤石沢の水量が少ないのかというとそうではありません。 特徴的なのは岩の色。沢の名前通りちょっと赤みがかっているので分かりやすく、間違える心配はないと思います。 ちょうどこの出合いの左岸にそれほど大きくはないですがテン場としての適地があります。ギュウギュウに詰めて6基が限界だろうけど、平坦な場所はありがたいです。
ここに沢泊用具一式を置いて、赤石沢の遡行開始。ズッシリ重かったザックから解放されて身軽になりました。
赤石沢はほとんど沢に入らないで登っていきます。最初は左岸に踏み跡があって、F1が現れたら右岸に渡渉、あとはずっと右岸に踏み跡が続いています。
その巻き道の途中で、クマが現れてビックリしました。自分達の声にクマが先に気付いて逃げてくれたから良かったけど、ちょっとドキドキしましたよ。
登り始めて1時間ほどで巻き道を終えて開けたゴーロに出る。ここでようやく赤石沢大滝を視認。長かったぞ、本当に長かったぞ。
あとはゴーロを適当に進んでいく。足を運ぶたびに近くなる大滝。ドラムロールがなっているようなこの一時が大好きです。
冒頭に書きましたが、春からこの滝の為にジョギングをしてきたんです。雨の日も、仕事で遅くなって深夜になっても「赤石沢の為に」ってブツブツ呟きながら走ってきました。ももクロの「D'の純情」をよく聴きました。「好きなことは 苦しくたって 努力とかんじないよ」この歌詞が大好きで、これを聴くと苦しくても頑張れました。
AKB48の高橋みなみさんの言葉が脳裏に浮かびます。「努力は必ず報われると」そう言いましたね。ええ、ええ、報われます。頑張ってきて良かった。
そして滝は目前に。ここがジョギングのゴールだ。ブワッと飛沫が体を包んだ。ゾクゾクする。これだ、この快感を得るためにここまで来たんだ。ああ、なんという心地よさ。やめらんねぇよこの刺激。私は立派な飛沫中毒です。
ここに流れている水が石の色を赤味に変化させているのだろう。岩盤もまた独創的の色をなっていてそれが魅力的。左右に聳える巨大は岩盤や、その滝の上流にある花崗岩の巨石群が迫力をより一層際立たせている。 素敵な空間だなぁ。ここまで頑張って来た甲斐があった。心からそう思える滝です。
16時30分を過ぎて日没が気になり始め、明るい内にテン場に戻って設営したいので下山開始。帰路も右岸を進みF1で左岸に移動して戻って来れた。 焚き火に暖まりつつ飯を食らう。私にとって二回目の沢泊。山の中で夜を迎えるのは怖いようでちょっと楽しい。
嫁さんに改良して貰ったツェルト(テントは高くて買えない)はサイドが広がって寝やすかった。サンキューです。
次の日は疲労もあることからまったり行動。スルーしてきた滝群を撮影したり、ヒラタケの群生を発見して有頂天になったり、滑り台のような滝で滑って遊んだりしながら林道へ戻る。
そして最後はお楽しみの自転車。漕がなくてもスピードが上がっていく下り坂。ブレーキ使いながら風を切る。およそ10分弱で車に戻って来れた。滝は素晴らしいし、沢はどこまでも美しい。自転車は楽しいし、ほんとこんな生活をずっとしたいと心底思いました。
5:50 林道ゲート前 出発
7:00 林道終点
8:40 大岩に隠れた滝
9:25 鵜の首の滝
9:50 ヒョングリ滝
11:20 横手滝手前
14:00 赤石沢 出合い
15:30 赤石沢大滝 到着
16:30 下山開始
18:00 赤石沢 出合い
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他写真 |
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訪問日 |
2015/07/25 |