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遠く北海道が見えます。海が見えます。そして滝が見えます。
海岸瀑はほどほどに見てきましたが遠くに陸地が見える滝は初めてで、この空間には感動させられました。
大きさはそれほどではないです。落差10mくらいでしょうか。滝としての迫力はいまいちである点は否めませんが、海岸瀑という特異な形態を持つその環境に酔いしれました。 波の音を耳にしながら、滝の音を聞く。波飛沫を見ながら滝飛沫を浴びる。こんな事出来るのは海岸瀑だけですよ。
代替案だったのですが、無事にたどり着けて時間を無駄に消費しないで済んで本当にホッとしました。 大概の滝巡りでは、目指す滝が何らかの理由で行けなかった時の為に次の候補滝をリストに入れておきます。
5つの滝巡りをする予定だとすれば、その倍くらいの滝を調べて候補に書き込んでおきます。もしも計画通りに進めば候補滝は行けないので、ある意味無駄な調査だった事になります。 自分の技術的に不可能、天候など目指す滝を断念する時はままあります。
そして今回、予定していたのは暗門の滝とその周辺の滝巡りだったのですが、暗門の滝に向かう白神ラインが豪雨の影響を受けて通行止めで行けず。もう一つ、同じ西目屋村にある滝マークを目指そうとなったけど、こちらは大規模な津軽ダムの工事の影響で至る所に立ち入り禁止の柵が張られて近付けない(ダム工事の情報は確認していたけど予想以上に防護柵が立てられていた)。 早朝6時の時点で本日の滝巡り予定が断念となった。こんなに早く1日の計画が潰れるのは初めてです。
百選「くろくまの滝」の赤石川林道も通行止めになっているようで、この周辺(西目屋村・鰺ヶ沢町)は全て行けなくなったと一緒で、ここから離れるしか術はありません。 ではどこに行こうか、十和田湖辺りなら滝は一杯あるけれど失礼ながらそこまで魅力的ではない。
かなり距離はあるけれど第二候補を目指す事にした。
この燕の滝を今回の滝巡りの主目的に出来なかったのは理由があります。
それは、海岸瀑だからです。この滝を目指すには波打ち際の海岸沿いを歩く事になります。そこで不安になるのが潮の満ち引きです。満潮の時、海岸沿いが海になってしまい歩けなくなるかもしれない。どれだけになるのか分からないので万全に目指すには干潮を狙うべきでしょう。
そして調べた所、当日の竜飛崎の干潮は午前9時。 午前中に太陽が差す「くろくまの滝」「暗門の滝」と目指す時間が被ってしまいました。そんな理由で燕の滝は計画から落としました。 しかしその2つの滝が行けなくなった今、現時点で狙う滝はここしかありません。 青森の南端から、北端を目指す。長い距離の運転には嫌気がさしますが時間は惜しい。休憩なしで走りつづけ8時30分頃に津軽海峡の竜飛崎に到着。自然と石川さゆりの歌を口ずさんでしまいます。
蓑内という地区から川と海の出合いの所にレンタカーを止めて海岸沿いを歩きます。
日本海、遠く北海道が見える景色。右手には波飛沫が迫り、左手には無骨な崖がそびえ立つ。いつもの山の景色とは全く違うアプローチにアウェー感は半端なく、居心地はかなり悪く物凄く緊張する足取り。自分の体が言うことを聞いてくれないような感じで、歩みはとても遅く感じます。 砂浜というか岩浜と表現した方が伝わりやすいかと思いますが、ゴロゴロの小さな岩で作られた海岸沿いの序盤。踏むとズズゥっと沈む地面は思うように足が運べず疲れます。
中盤からは岩肌がむき出しになり、その岩の合間を縫っていく感じ。崖を登って下りたり、へつりをしたり、ちょっとしたクライミング要素が入ってきます。 ただ釣り人が多く入っているようで、危ない所には船で使う太いロープが垂れ下がっているので安心です。 スネくらいまでは海に入る所がありました。満潮だとどこまで浸かる事になるやらと想像するとちょっと怖い。次の満潮は15時。それまでに問題なく車に戻ってこれるでしょうが、タイムリミットがある点ではかなりプレッシャーを感じました。
出発してちょうど1時間。滝に到着。今まで味わった事のない緊張感から解放されてザックを置いて大きく深呼吸しました。
絶景ですね。ここは間違いなく絶景です。遥か遠くに見える大地、波の囁き、無骨な岩盤から流れ落ちる滝の優しさ。どことなく哀愁を感じるのは歌が染み付いているからでしょうか。
津軽海峡の滝景色、滝としての魅力、それは滝だけではなく周囲の環境も魅力の一つだと教えてくれました。
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