両部の滝

Data 住所 那須町
評価(5段階) ★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆
現地へ 茶臼岳の西部。県道17号の終点、峠の茶屋から西進するか、県道266号から板室を経て沼原湿原
コメント ようやくこの滝に会うことが出来た。
三年前から紅葉の時に行こうと計画していたけれど、紅葉のタイミングが悪かったり別の予定が入ったりで機会を逃していました。
こんなに待たせたのに、滝は怒らないし逃げないで歓迎してくれた。人間だったらこうはいかない。本当に感謝です。
二つの滝が同時に見れる滝は、当然ながら喜びは二倍になる。まして美しい紅葉と一緒に見れたとなれば倍率は更にアップ。そんなに倍率ドン!と言われたら「原たいらさんに3000点」と全持ち点を突っ込みたくなるくらいの感動を頂きました。
左の直瀑が雄滝であり、この沢の本流にある滝。右にある末広がりの分岐瀑が雌滝でこちらは枝沢からの流れ。
10〜15mくらいと大きくはないので、 落差の低い直瀑はやはり迫力に欠けて寂しいものがあります。しかし分岐の雌滝の水の流れが秀逸で、そして二つの異なる滝の流れを同時に見れる事で、心奪われる美しさに仕上がっています。一つ一つを単体で見てしまうと感動とまではいかないです。両部となる事でこの滝は一気に飛躍するのでしょうね。
そして極めつけは朱に染まる紅葉。落葉が始まってましたが色付きには満足。紅葉という化粧をしなくても十分に満足出来る滝ですが、良い具合に染色されていると魅力度が上がりますね。
限られた休日の中でタイミング良く来れて非常にウキウキでした。

那須にある百名山、茶臼岳。その頂は那須の街からよく見えてシンボルになっているように思います。
その茶臼岳の西の麓に滝は隠れています。この滝はガイドブックには掲載されておらず、遊歩道はもっての他、秘境の滝として扱われていますので、安易に行けるところではありませんのでご注意を。
予定としては那須ロープウェイを利用して茶臼岳の山頂に立ち、百名山を一つゲットしたのち下山しながら滝を目指す計画。
滝は西向きですから、午後に到着するのが望ましい。では空いている午前中は何するか、ちょうど良い機会だから紅葉を楽しみつつ登山しようと考えました。さんざん山に入ってますが、百名山の頂きは一座も行ってないんですよね。超お手軽な筑波山すら登ってませんから。
見事な紅葉シーズンですから、観光地の那須は混雑が必須。ですので早朝から動いて混雑を回避しようと目論見ました。
那須ロープウェイの駐車場に着いたのは6時30分。夜明けと共に入りましたが、既に50%の入り。準備をしながらロープウェイのオープンを待ってました。
ほんと紅葉って凄いですね。ビックリするほど人が来ますね(自分のその内の一人ですけど)。朝の7時の時点で駐車場は満車になりました。早い行動して良かったです。
ロープウェイ入り口でチケット購入待ちをしていた所、皆がザワザワし始めました。なんと今日は運休との事。
風速25m/s以上なので危険だと。駐車場でも突風によろめいていたので、こんな風が吹いていて大丈夫かと心配でしたが案の定の運休。この時点で百名山は諦めました。
ロープウェイ駐車場からでも登山道に行けますので、ここから歩き始め。茶臼岳の北側にある峠の茶屋の登山道を進みます。
このあたりは明確な道で迷いようがなく、対岸の紅葉が素晴らしく綺麗で足を止めては写真を撮る。しかしまぁ驚くほど人がいる。前に人がいてつっかえる。それに登山者って随分と派手な衣装が好きなんですね。青・赤・パステルグリーンやら、色で埋め尽くされています。正直、色合いだけなら紅葉よりも衣服の方が目立ってましたよ。かくいう私は灰色のジャケットにベージュのズボン、うーん地味だ。ちょっと恥ずかしくなりましたが、冷静に見ればみんなの方が異常な明るさなんですよね。集団って怖いな。
樹林帯を抜けると、ロープウェイが中止になった原因の強風が襲ってきました。とんでもない風です。まともに立っていられません。消防署で強風体験した時を思い出しました。それと同じくらいの勢いが体を揺らします。立ってられない位で、よろめくこと何度も。危ない時は座って回避して、ちょっと風が治まったら歩く、その繰り返し。一向に前進出来ず四苦八苦。口の中は飛んでくる砂でジャリジャリしていて不快極まりない状況。
諦めて引き返す登山者も多く見られました。
特に酷かったのは「峰の茶屋跡」という避難小屋付近。ここには「風の通り道」なる看板もあって、強風の名所? そんな所にロープウエイが運休になるほど風が吹いている時にいけば抜けるまではそりゃ大変でした。
そこから牛ヶ首に向けて南進し、樹林帯に入ると風を防いでくれたので、ようやくゆっくり紅葉鑑賞が出来ます。ここまではひたすら我慢でした。
まだ午前中、滝に行くには時間があるので姥ヶ平のひょうたん池に寄り道。ここから見る紅葉と池に写る茶臼岳は綺麗でしたね。
登山道を再び進み、沼原・三斗小屋分岐を北に進み沼原分岐から西へ。そろそろ滝へのアプローチ開始です。
西へ進んでいる登山道が北へグッと進行方向を変える前、左側の樹木を注意深く見ていると赤テープやビニールテープが巻かれている枝が見つかります。
これがアプローチ開始のマーキングです。笹が密集していて、パッと見は行けないように思いますけど、腰を落として地面を見ると、そこだけ笹が生えておらず踏み跡だと分かります。
その踏み跡を追っかけて笹を掻き分けて南へ進みます。
笹の密集はすぐに終わり視界が晴れ渡り平坦な樹林帯になります。どこを見ても同じ景色ですし、どこも踏み跡のように見えるので、ここが一番迷いやすい所ですので要注意。
マーキングは続いていますので丹念に探して下さい。笹を真っ直ぐに突き抜けた後、やや左側(東側)を探すと見つかると思います。
それさえちゃんと視認出来れば、自ずと踏み跡もしっかり見えてきます。あとは油断せずにマーキングを追い掛けて斜面を下りていくと滝前です。
難しいのはテープを見失わない事です。もしも見当たらなければ、ちょっと戻って見渡して下さい。変なところを進むと崖に阻まれますし、下手すると遭難の危険もあります。正しく追いかければとても安全に滝に出会えます。
ほんとこの道を作った先駆者に感謝です。
アプローチ開始の起点(テープのマーキング箇所)から滝前まで35分で到着しました。この滝だけを目的なら登山靴で問題ないでしょう。
私は滝前で岩跳びするのも面倒なので、持参した沢靴に履き替えてカメラ片手に右往左往に動きまくりました。
しばし滝前で撮影しつつまったりしていると、笹がガサガサと揺れてびっくり。熊かとドキドキしましたが人間で一安心。
こんな秘境の滝に訪れるなんて、どんだけ滝バカなのやらと自分の事はどこかに置いといて呆れていると見知った顔が。なんと滝仲間の「驢さん」。滝前で仲間に会うのは初めての体験、固く握手をしました。街で会うよりも数倍嬉しいハプニングでしたね。
一向に青空にならないので、一旦断念してザックを背負います。下流にある滝を見てからもう一度戻ってくる予定。
ちなみに見下ろしの滝を目指すには沢の中に入るので沢靴が必須です。
滝の手前に5m程の小滝があるので、ここで沢から離れて左岸の藪に突入。なんとなく踏み跡がありますし、テープも発見出来ました。
左岸の急斜面を下りると滝前に到着。平坦な大岩があるので、そこでのんびり滝見が出来て気持ちよいですよ。
さて、両部に再び戻ってくると微かな青空が出てきました。ガッツリ青空ではないけれど、曇りよりはましかなって感じ。空を眺めては雲がきれるのを待ちましたが思うようにはいかないですね。これ以上待っていると山中で夜になってしまうかも知れないので撤収。
帰路も周囲の紅葉を楽しみつつ、猛烈な風に倒されないように踏ん張りました。

7:00 那須ロープウエイ 駐車場出発
7:50 峰の茶屋跡
8:20 牛ヶ首
8:50 ひょうたん池
10:20 沼原分岐
10:55 アプローチ開始
11:30 両部の滝 到着
※このルートはかなり遠回りをしています。最短コースは沼原湿原から登山道を進みます。約2〜3間ほどで滝前に到着できるようです。
他写真
訪問日 2012/10/21

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