Data |
住所 |
熊本県山都町
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評価(5段階) |
★★★★
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難易度(5段階) |
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現地へ |
通潤橋の北東部。国道218号から鵜の子滝の案内のある県道320号へ進む。沢登りで会える滝で最短で1時間ほどで到着。 |
コメント |
私は自負する雨男。だから水量が豊富な滝姿が見れる率が高い。ただし霧がかってしまい綺麗に撮れない時もあります。 さて今回の越早滝。幽玄さが魅力の滝であると認識しており、その美しさを見たかった。 そう願っていたのに、どうして快晴なのだろう。いつだってそうさ、青空の時は逆光(北向き)の滝だったり、滝巡りしない日だったり…。お天道様は私が嫌いらしい。天照大神にお参り行ったのに。やはり気象神社に参拝しないと駄目なのかな。
でも龍神さんには気に入られてると思います。
そんな訳で、上部が見づらい滝姿になってしまいました。しかし青空で文句言う人は少ないだろうなぁ。
右岸・左岸ともに絶壁で、光があまり入らない陰鬱な空間。そこに光明のように白く輝く滝水は見事な美しさ。 滝前は細かな砂利が堆積されていて、穏やかである。
滝壺は深く底が見えない程。濃厚な緑の水が波を作り私の足に触れては下流へと向かう。この滝壺で泳ぎたい気持ちに駆られるような魅惑の空間。
越早滝とは右の落差の低い滝を指します。崖の上から落ちる2本の滝筋は右岸のさらに上にある崖からの潜流水が同じ滝壺に落ちているという偶然の産物。 しかしこの脇に添えている滝筋があるからこそ、この越早滝は非凡となり美瀑として扱われているのだと思います。
崖に守られているこの滝に出会うのは、一筋縄ではいきません。 行き方は2通り。
@観光滝として紹介されている鵜の子滝を目指し、川に下りてから上流まで遡行する。
安全であり分かり易い点で王道ではあるけれど、遡行する距離が長いぶん時間が掛かります。片道2〜3時間になるでしょうか。
A崖を一気に下りる時間短縮のコース。 これは片道1時間で滝前に出られますが、とても分かりづらい点と崖を下りる危険を伴います。
飛行機で飛んで来た旅行者にとっては時間がとても惜しいので、たいていはA崖コースを選ぶのではないでしょうか。
それと、地形図を見る人なら気になる道筋があります。それは越早滝の北にある(緑川の右岸)崖から南西に伸びる細尾根を利用し大矢川と緑川の出会いに下りるプランです。 結論から言いますと、無理です。沢に下りられません。 越早滝の真北に道路があり、そこに停車して歩き始め。
越早滝に向かって歩いていきすぐに集水場用の長い階段があるので、それを利用して下りていくと使わなくなった田んぼに立ちます。
この田んぼがそり立つ崖の真上になります。 ちょっと西に歩くと木々の間から越早滝が見えます。滝4000本に掲載されている写真の位置です。
田んぼが終わり薮木帯に入り、そのまま西に進みます。一つ枝沢を横切ると植林地帯になります。人が踏み込んでいる証拠であり、行けそうな気がしてきました。 左を見れば切れ落ちた崖が続いており、沢に下りられる気配がありません。 もう一つ枝沢を通過すると、崖は更に盛り上がり、上にいけなくなり、やむを得ず幅2〜3mの棚を進みます。ここも植林の杉が伐採された跡があり、それが西に伸び続けています。
そのまま行けるかと思いきや、棚が一気に狭くなりました。おそらく崩落したのでしょう。左は30m以上は落下できる崖。遥か下に沢の音が聞こえます。右は崖の岩盤。何故かそこだけハングしており掴めるホールドもない。ちょっとでも体のバランスを崩し左に傾けば落下は必須。 この先、行ける保証もないのにリスクが高すぎる。
そんな訳で南西の尾根に乗る前に、リタイアです。 後に、川に降り立った時に川の出合いからその細尾根を見上げましたが、突端までも崖で下りられる弱点は見当たりませんでした。 崖の横を通るという、非常に分かりやすい道中で、更に時間短縮にもなるかと思っていましたが、降下不能と結論づけました。とても残念です。 車に戻りリスタート。時間を1時間程つかってまだ未達ですが、気になっていたルートに白黒つけられたので気持ちスッキリです。
さてA崖を一気に下りる時間短縮コースへ仕切直しです。
車に乗り込み、県道320号に戻り、鵜の子滝の案内のままに走らせます。
ちなみにA崖コースは最初から分かりづらいです。集中してハンドルを握らないとどこが分岐点か見逃してしまう恐れがあります。
鵜の子滝の看板は、左折を示し県道320号から外れます。ここからは細道の山間部になります。
左へ折れて大きな右カーブを終えると、右へ下りる道があります。ここは私用地へ向かう道であり「進入禁止」と記載されているのでやり過ごします。
そして次に現れる《1》右へ下りる道に入ります。案内はありません。ボーッとしてればやり過ごしてしまう恐れもあります。集中集中。
はたして曲がった道は正解か? すぐに《2》トンネルが現れたら正解です。 ここからの道は落石が沢山あると共にかなり狭いです。農作業の軽トラ用に造られたものなのでしょう。 舗装路なのが救いですが、レンタカーで挑んでいるのでかなり気を遣いました。コンパクトカーだから行けたものの、大きいワンボックスなどでしたら、この細道には進入しない方がいいです。
ドキドキしながら走り続けると《3》T字路が出て来るので、ここを左折。100〜200m程進むと、左に開けた《4》棚田が見え右にダート道との分岐が出てきます。 そしてそこに一台だけ停められるスペースがあるので駐車。
ここから歩き始め。《5》ダート道をのんびり歩いて、大きな右カーブが現れ、北に向かうようになる所で、ダート道とはお別れ。方位磁針が真南を示す方向へ《6》斜面を下りていきます。 ここは植林地帯なので、問題なく下りていきます。この斜面は扇形に狭まっていく言わばルンゼのような地形で、その辺りをどこでも真南に向かえば、必然と次の目印に導かれるので安心です。
さて杉の木に触れながら下りていくと平地が出てきます。そこに、か細いながら沢が流れていて、その沢は滝となって姿を消します。 もしそこで今では使われていない畑が現れたら、そこは下りすぎているので、仕切り直しをしましょう。
沢を横切り、樹林地帯を登ると左側・正面共に崖になります。ここの崖をどうやって下りるかが勝負の分かれ目です。 左手に崖を見ながら進んでいくと、進路は自動的に西を取ります。 ここからが肝心です。
よくよく左手の崖を俯瞰しましょう。ここは下りられるのではないか? そんな斜面があるはずです。というより目を懲らして崖下を見るとピンと張られた虎ロープが見えるはず。もしも斜面と虎ロープが確認出来なければ、無理されない事を勧めます。 幸いにも虎ロープが確認出来ましたし、下りられる斜面も見つけられました。
あとは下りるだけ。もしも虎ロープが傷んでいたら掴むのも危険なので、念の為ロープを持参した方が良いでしょう。 崖を一段下りても、またも崖が進路を塞いでいます。
ここは南西の方向に進むと、補助無しで崖を下りられる傾斜が出て来て、これにてようやく崖を突破。 ここまで本当に分かりづらいです。目印は虎ロープの一つだけ。踏み跡なのか、獣道なのか、不明瞭であり、正しいのか判断に悩みました。 川の流れる音が近い。その音に誘われるまま進むと、そこはちょうど大矢川と緑川の出合いの場所。
あとは難所なし。沢靴の本領発揮。膝上まで入る所もありますから、長靴だと浸水しちゃうと思うのでやめときましょう。
最初は右岸を進み、途中で徒渉して左岸を、もう一度右岸に徒渉してゴール。 遡行に関しては、ただ進むだけなので、記載する事はありません。 右岸・左岸の崖がキュッと狭まって、光が入らぬ行き止まりに越早滝がいます。
美しい水の流れです。ザックを下ろすと共に緊張を緩めて、深呼吸。滝壺の揺れ動きがこの滝の鼓動に感じ、胎内にいるような安堵感に包まれます。
滑り落ちる勢いのある本滝に沿う二本の直瀑。この直瀑は決して前に出ず控えめな存在。主人をたてるおしとやかな婦人のような気品さがあります。 バランスの良い滝です。心地良さに酔いしれます。
安心して滝に身も心も任せます。極上のリラックスとリフレッシュを与えてくれて、午前中に覆面パトカーにお世話になった傷心を癒してくれました。
ちなみにコースタイムは、往きは1時間20分。帰りは1時間ジャスト。沢に下りてから40分程で滝前に到着しました。
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他写真 |
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訪問日 |
2012/03/12 |