剣急滝




Data 住所 米沢市
評価(5段階) ★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
現地へ 米沢市の南部。大平温泉「滝見屋」に向かい、最初のつづら折りの地点から山へ。その先にある展望地より道無き道を進む。もしくは火焔滝の左岸で越えるか。どちらにせよ困難。
コメント 朝から急ピッチで滝を巡り、飯をのんびり食べる暇もない。
太平温泉に向かう起伏やカーブの激しい道を走行しながらアンパンを一つ頬張る。それが今日初めての食事。
のんびり郷土料理を堪能したいものですが、陽のある時間は限られているので、胃からの訴えを無視して太平温泉の駐車場で準備に取り掛かります。
この剣急滝には案内もなければ到達したレポートを見た訳でもないので、完全に自分で切り開かなければなりません。
困難であるのは承知の上。心底怖いと感じています。でも他の方のHPで見た遠望の写真に惚れてしまい会いたい衝動が抑えきれないのです。
本来は太平温泉に向かう道から山斜面に入ってすぐの所にある展望地から遠くに望むだけの存在。
ちなみに前回この地に訪れた時は濃霧で遠望すら叶いませんでした。
熊鈴付けて、ハーネスを装備し、ヘルメットを被り、さぁ出発。
駐車場から太平温泉まで続くアスファルトの九十九折りの急坂を下りる必要があります。
その九十九折りの始まりの所から遠望地に向かいます。朽ちた運搬用のレールの一部が横たわっているのが目印です。
今日は雲一つない快晴。霧も全く出てないので、さぞかし素晴らしい景観が待っているだろうと胸算用しながら斜面に入ります。
よくよく見れば踏み跡だと判断出来るくらいの朧な道です。もう殆ど人が入っていないのでしょう。とにかく高さを変えずに進むだけです。途中で残置された虎ロープが助けてくれますが、急斜面のザレ地を越える箇所もあるので注意が必要です。
駐車場から10分程で展望地に到着しました。見事な紅葉に映える崖に囲まれた滝、絶景です。
さてここはあくまでも通過点。滝までの距離と位置を確認する為に来ました。アタックの予定としては太平温泉から遡行して出会う火焔滝を越えようと考えていました。それが最短距離で迷う心配のない行き方です。ただし滝を越えるリスクを受け止めなければなりません。
もしもこの展望地から行けるならばそれが理想的。
遠望写真で見えている火焔滝と剣急滝の間にある尾根は緩やかではある。その尾根に辿り着ければ沢に着地は可能だろうと想定してました。
問題は展望地からその尾根に行けるか、崖になっていて進めないのなら仕方ない。
展望地から先の斜面を見る。踏み跡は全くない。木々があり崖ではない。
行けると判断。
足だけでは進める傾斜ではないので、枝を掴んでバランスを保ちながらトラバースをする。下を見ればかなりの高度感。足が滑ってそのままズルズル落ちていけば20m下にある崖に吸い込まれるのは確定的。慎重に冷静に、歩みは限りなく遅く、でも確実に滝へと前進していきます。
申し訳程度に流れている枝沢を越えると第1の尾根に着きます。トラバースをしようにもここから尾根の先は足を乗せられないと一目で分かる急斜面であり、しかも尾根の下部は完全な崖で、下にも横にも行けない。
仕方なく尾根を上に上にと登る。30〜40m登った辺りでトラバース可能な傾斜になったので再び滝の方向を歩み始めます。緊張の連続。どこまで集中出来るかが勝負。トラバースはバランス保持の為の筋力消費が予想以上に激しいです。枝を掴む握力、掴みつつ体を起こして上半身の安定を図る腕力、その腕を支える大胸筋、腹筋や背筋は勿論のこと、大腿筋で下半身を保つ。とにかくあらゆる筋肉を駆使しての移動。
トラバースを続け、第2の尾根に辿り着く。まだまだ沢には遠い。しかし剣急滝はやや大きく感じられ高揚する。
今度はこの第2尾根を下りていく。幅の狭い尾根ですが太い木々がありますし、それほど急な斜面ではないので進みやすいです。
やがて尾根の先がまたも崖になってそれ以上は下れないので三度トラバース。どこにも穏やかな傾斜はなく落ち着いてまったりと移動なんて許されない。
第3尾根に足を乗せて、先を見ると滝を身近な存在にまで感じ取れる所まで来ました。相当近くにいます。このまま行けるのか? もしくは崖に阻まれてしまうのか? 不安と期待が交錯する中、またも尾根を下りていく。
沢床が見えた。火焔滝よりも上流にいるのは明らか。あとはこの尾根から沢に着地出来るかが問題。慎重に足場を選んで下っていくと泥混じりの草付きの斜面が現れました。ここを下れば沢に着く。ただし泥の下には掴み所のない岩盤で埋め尽くされているので、下るのは容易なものの登り返しには苦労するかもしれない。念のためにロープを落として帰路の安全を確保しておく。
沢の水に触れる。滝は20m先にある。本当にピンポイントで滝前に着けました。展望地から30分程で到着。予測よりも断然に早くの到着です。
もう危険な箇所は何もない。堂々と滝に近付く。
圧し潰されるかのようにそそり立つ巨大な岩盤に囲まれた剣急滝。なんと険しい地にある滝だろうか。落差は40m程か、想像よりも小さいがその空間と滝の迫力は想像以上。
剣の切っ先を突き付けられているかのように張り詰めた空気を持つ滝で、安らぎなど得られぬ厳しい存在。岩盤の力強さは納得の事、滝の迫力にも圧倒される。人とは無縁の滝は大胆であり荒々しい。この上なくワイルドな滝でした。

この滝の上流には燕滝がある模様。遠望だけでも姿を見たいとこの剣急滝の岩盤を巻く為に右岸を登っていきましたが、どこまで登っても岩盤が進路を塞いでいて先は全く見れませんでした。
他写真
訪問日 2010/10/19

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