大滝・小滝


5月


7月


大滝


小滝

Data 住所 上越市
(大滝)
(小滝)
評価(5段階) ★★★★(大滝)
★★★(小滝)
難易度(5段階) ◆◆(大滝)
◆◆◆◆◆(小滝)
現地へ 上越市の最南東付近。国道405号から県道348号へ。菖蒲高原の案内のままに進んでいく。菖蒲高原キャンプ場に向かう道路沿いに遠望地がある。
コメント 菖蒲高原の先に見える2本の滝です。右が大滝、左が小滝。
このように2本同時に見れる滝は数少なく、雄大な景観が望めるので気持ち良いです。
しかし、集水域が少ないので、時期によっては水が流れていないかも知れません。
観光地のような場所に関わらず、この滝の展望台には特に案内がありません。ただ別段分かりづらい訳ではなく、菖蒲高原の施設を過ぎて真っ直ぐ走って行くと、ちょっと広いスペースが現れ、開けた視界に2本の滝が望めます。
果てしなく続いているかのように思える断層の岩盤にかかる滝。このような岩盤に滝がある事が珍しいように思え、とても新鮮に感じます。
展望地に案内がないくらいですから、滝下に至る道もありません。なので沢を登り詰める事になります。
5月の雪解け時期、水量を期待して訪れ立派な2本の滝を見れたのは計算通りでしたが、写真の通りの残雪でまさかここまでとは驚きでした。仕方なくその日はただ展望地から写真を撮って帰りました。
この水量の多い滝姿の状態を真下から望むのは時期が限定されると思います。
雪解けか豪雨後の2つ。
豪雨の次の日に滝を目指せればベストでしょうが、そんなにタイミング良く休日が当たるとは思えません。まず無理です。
とすると雪解け時期が良いのでしょうけど、その結果がこの有様です。
来年の雪解けに再訪しようと考えてましたが、7月の連休、無性に行きたくなってしまい急遽訪問しました。
2ヶ月ぶりに見る展望地からの景色。岩盤に緑が色を添えてて生き生きしてます。
有り難い事に滝の姿を確認出来ます。もしここで水の流れが見えなければ諦めようと思っていました。
沢にも雪渓がないので、これなら遡行できると意気揚々。早々に展望地を離れ、下流の沢にかかる橋を目指します。
橋の所には一台分の駐車スペースがあります。その道を更に200mほど走らせると数台は止められるスペースもありました。
早朝で誰もいないので橋の所に車を止めて、いざ出発。
橋から見える堰堤は左岸にある踏み跡から越して、すぐに入渓。
沢は小石混じりの穏やかな流れ。軽快な足取り。
入渓してから10分後、木々が鬱蒼としている付近で二股が現れます。1対1というより、若干左の方が少なく感じます。ここを左に進みます。
ちょっと進むとまたも二股。右に行くと大滝。左が小滝に繋がっています。
やはりメインを先に行きたいので、大滝の待つ右に進みます。
この辺りから断層の岩盤沿いに進むようになり、間近で見るとその圧倒される岩盤は全く掴み所がなく、もしこの先に小滝が出てきたら直登しかないなぁと嫌な気持ちになります。
しかしそんな不安も何のその。進む程に石は大きくなっていきますが階段状に積まれているので軽快に進んで行き、いとも簡単に大滝の姿を確認出来ました。
入渓から20分。なんともあっさり到着。難所は全くなく疲れる間もなく滝前に。拍子抜けではありましたが、危険な箇所はないほうが当然良いので、素直に喜び岩を飛び越え真下に立ちました。
滝は予想よりも小さく30m程でしょうか。展望地から見えていたのとあまり高さが変わりません。落石が沢を埋めていき、滝の高さの削ってしまったようです。もしこの落石がなければ5〜60mはあるのだろうと想像出来ます。
これは自然の摂理なのだから仕方ない。この先も沢を埋めて行くでしょうから、もっと低くなってしまうと感じました。
大きさはさておき、一つ大きく深呼吸し全体を見渡します。綺麗に横に走る断層はツヤツヤと光り威圧感があります。その間を裂いて落ちる白水はとても格好よいです。極端に水量が多いわけではないので飛沫があまり飛散しないのは残念です。
滝前の空間は広くはないですが、飛沫がそれほど舞わないので近くにいてものんびり出来ます。滝の流れを眺めながら、穏やかな音と飛沫に癒しを貰う至福の一時を満喫しました。

1時間ほどのんびりさせて貰い、さて小滝に向けて出発。
先程の二股まで戻り、左の沢に入っていきます。
大滝の沢と変わりないだろうと思っていたのですが進むほどに左右から断層の岩盤が迫って来て怪しい雰囲気。
最初は6・7m程の横幅があったのに、気付けば3m程になり圧迫感を感じるようになりました。
見上げれば20m以上ほぼ垂直に伸びている左右の岩盤。沢の中を進むしかない状況。
逃げ場なし、そんな嫌な雰囲気の中で緩やかな右カーブを過ぎると、さも当然かのように前衛滝が待ち構えてました。
直登あるのみ、これを越えなければ小滝に会えないのは一目瞭然。
しかしこの前衛滝は大きくはないもの驚異的な存在です。
3段の滝で上から2・2・4m程。上2段は何とかなりそうだと判断しましたが、下段4mは水流で磨かれた岩なので掴む要素がなく、また途中がハングしているので取り付きが難しい。
そう眺めていても進まないので、試しに取り付いて見ます。
滝壺の深さは膝上くらい。まずは滝の右側に立ち、手探り足探り。
右側の岩にガバホールドとは言えないですが指の第一関節が引っ掛かるくらいの段差を見つけ右手は確保。
左足も靴の半分程が乗る段差がある。しかしこの時点で伸びた左足にはモロに水流が当たり冷たさと衝撃に体の安定と平常心が削がれる状態。右足も2cm程の段に乗せられて、とにかくこれで体が滝壺から離れました。
さて左手。ツルツルの岩盤で指を引っ掛ける所は皆無。水流の中にもホールドを求めましたが駄目。仕方なく左手は掌を岩盤に押し当てて突っ張りでバランスを確保します。
これで何とか四股のスタートポジションは決まりました。
水は容赦なく左足を打ち続けています。いくら小さな滝と言っても間近にいれば重低音が耳の中で激しく飛び交っています。
この水の衝撃音は平衡感覚を殺すようです。自分がどのような状態でいるのか分からなくなりました。
1回目のトライはその為に失敗。何をどうすれば良いのか軽くパニックになり岩盤から離脱。滝壺に着地し音がこない所まで離れて気分をリセット。
2回目スタート。手探りしている内に感覚を失いあっさり断念。
3回目。これで無理なら諦めようと決めて挑みます。
スタートポジションを決めて、右手を伸ばす。前のめりになってホールドを探す態勢を取ると、腹に水が当たりかなり辛い。
指の2本が引っ掛かる程度の微かな段差を見つけ右手は保持が出来ました。
引っ掛かっているだけで掴んでいる訳ではないので、いつ弾かれるか分からない。しかしこれを信用するしか進めないので、次の行動へ移します。
左の岩盤は相変わらずツルツル。掴む事は諦めてとにかく突っ張る。
左手をスタートよりもちょっと上で突っ張り、右足は40cm上がった所の段に乗せる。
ハングを若干越えた。しかし水は容赦なく体にあたり、瀑音がこだまする状況は変わっていません。
お相撲さんでもヤンキーでもない自分が一生懸命突っ張っている。この態勢をずっと維持出来る訳ではない。
ここで左足を一気に持ち上げてハング上の水流の中に乗せました。沢靴とは凄いものです。滑り台の岩にしっかり吸い付いてくれる。滑らない。
ここに足を乗せられるかが勝負の鍵だったようで、そこからはジリジリと両手を進め体を起こしていきハング4m滝をクリアー。
全身ずぶ濡れ。メガネもビショビショ。タオルでフキフキ。越えた喜びはあるものの、帰りの不安の方が強い。まぁそれは戻って来た時に考えようと前を見つめる。
残りの2m滝は真ん中に段差があり、ガバッと掴める凹凸があったので苦労なく突破。
前衛滝を抜けた先は狭まる岩盤もなくなり一気に空間が広がりました。さっきまでの暗さと狂騒はなんだったのかとビックリするほど滝下は穏やか。
特徴的な断層の岩盤は、この小滝周辺ではあまりインパクトがありません。
展望地では見えていた上段は下からは見えず、確認できる範囲だと落差25m位。水量は大滝よりも少なく飛沫は殆ど舞わない。直瀑らしい堂々とした形ですけど、ちょっと物足りなかったですね。
ちなみに帰りは2m滝で掴んだ岩が剥がれて体制を崩し肝を冷やしました。4m滝はハング上に足を乗せて、思い切って飛んでクリアしました。
他写真
訪問日 2010/05/06
2010/07/18

HOME日本滝百選全国の滝滝リスト風景写真LINKPROFILEMAIL