澗満滝




Data 住所 山ノ内町
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
現地へ 志賀高原の西部。国道292号沿いに案内があり、そこから展望できる。
コメント
この滝を初めて見たのは1998年。その時は百選の滝巡りを始めたばかりで、道沿いに看板があったのでついでに見ておこうと気軽に立ち寄った程度。

展望台から眺める遠望の滝でした。それでもこの滝の大きさと周囲の景観には感動を受けたものです。

ただ当時は滝下に行きたいなんて気持ちは毛頭もなく、何の未練もなく満足して立ち去りました。

それから数々の滝に会い、滝下から見上げないと滝と触れ合った気がしなくなり、この滝へ行こうと決めました。

道は沢に出会うまでずっと右岸。基本トラバースです。

まずは展望台から現状の滝姿を眺め、どれだけ遠いかの把握。そこからちょっと道を戻ったところから斜面に入って行きました。

展望台までの道は明るく、人間の存在感がありましたが、斜面に入ると木の葉で陽を隠し車の音もせず、途端に暗い山の中。人間が踏み入れない地としての雰囲気に一気に変わった。

本来なら徐々にその山の雰囲気に馴染んでいくのですが、途端に切り替わると気分が追いつかない。

慣れない感覚で進むのには、足元が不安でなりませんでした。

徐々にその空気に馴染み、落ち着いて斜面を眺め、そこでようやくの気付き。

ここは怖い。冷静になって理解するには遅すぎましたが、気を引き締めました。

斜面の下側に目をやると、斜面が切れ落ちている。それはその先に崖がある証拠。
そして今いる斜面からもし足を滑らせたら、止まれもせずにスピードに乗ったまま崖に吸い込まれると容易に判断できました。

一歩一歩が慎重。もしその次の足を置いた先でバランスを崩したら二度と帰ってこれないと想像しつつ進む。緊張の糸が切れないように、神経の消耗を抑えるように平静を保つのは大変でした。

常に、死という悪魔がズボンの裾を引っ張り、滑落という恐怖が視界を曇らせる。そんな悪魔を振り払いつつ足を上げて進み続けました。

トラバースは斜面に対して水平移動。ほとんど高度を変えないように歩いていきます。

下りていかなくとも、沢の方が次第に登ってくるので水平に進んでいくだけです。

歩き始めて約80分。全く声を発せず、気持ちを張ったまま、ようやく沢の音が聞こえ、沢との出合い。文字で80分と書くととても短いように感じますが、トラバースをしている時にはどれだけ時間が掛かっているのか想像もつかず、時間を忘れて目の前の斜面に集中しているだけでした。

ここでようやくまともな深呼吸が出来た様に思います。

出合いの地点は2m程のながらかな滝があります。ここは右岸から脇を簡単に登れます。

次に現れるのは二つの沢が出合う両門の滝。ここは左岸から越えるとなっており、滑りやすい岩なので要注意と聞いていました。

しかし、訪れた時は先週に降った豪雨のせいでしょうが滝が半分埋まっており、それを利用して簡単に越えられました。

(私達の後日に行った方のHPでは通常の両門の滝に戻っていました)
滝は目の前。

異様に白くとてつもなく巨大な岩盤が立ち塞がっています。そこに巨大な滝がその岩盤を割って落ちています。

大絶景です。恐怖に打ち克ってこそ見れる世界。

滝の音はうるさ過ぎずちょうど良い。想像よりも少ない飛沫の散布量でしたが、近づけば十分に浴びられる。

どこからでも滝を見れる空間は大好き、大好物。
このような素晴らしい滝に会えるから夢中になってしまうし怖さを振り払える。
力強さを十分に堪能し、80分の滞在にて帰路へ。

80分、トラバースの恐怖と滝に会っているのと同時間。無限にように感じた80分と、「えっ? もう?」と感じられる80分。楽しい時間の過ぎて行く早さにはいつも驚かされます。

他写真
訪問日 2009/8/18

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