九階滝






Data 住所 秋田県北秋田市
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
現地へ 大平湖の北部。
クマゲラ保護センター・もしくは野生鳥獣センターから桃洞滝へ向かう散策路を進み、分岐を赤水沢へ折れ、そこから遡行。
赤水沢からは案内はなくなり、沢登りの世界。
遠望地まで2時間30分〜3時間。直下まではそこから更に1時間〜1時間30分。
コメント 滝好きは勿論のこと、滝嫌いな人でも間違いなく感嘆な声を発するでしょう。
滝の枠を越えた大自然の芸術であり、美しいという言葉だけでは足りないです。真下から姿を見たとき、立ち尽くし見惚れてしまいホゥッと息が漏れました。高ぶる思い、胸が震えました。その素晴らしさに体の全てが揺れました。
「滝が好きで良かった……」我に返った瞬間、自分へ感謝しました。私自身の滝への情熱がこの素晴らしい世界に導いてくれた。「ありがとう、滝を好きになってくれて。お陰で絶景に会えた」。水の流れの美しさに感謝、岩盤の美しさに感謝、木々の彩りに感謝、青空に感謝。この九階滝の全てに感謝を伝える。
このような胸の躍り方は初めてで、とても心地よい感情に包まれました。
それはこの九階滝が私の心を良い方向へ動かしてくれたからです。誰もが感動するでしょうし、優しくなれるし穏やかになれると思います。
それだけ包容力のある滝です。

苦労する滝だけに感動する度合いも一際。もしこれをお金払ってコンクリートの道を気軽に歩いて見れる滝であれば、「こんなもんか」で終わる人もいると思います。
感動するには苦労の道を辿らなければならないと思うし、その苦労の果てに感動・感涙が待っていると思います。
という訳で、この滝は艱難辛苦を強いる滝です。危険を大いに伴います。

まずは桃洞滝へ向かうブナの原生林の中を歩く軽快な道を進みます。30〜40分程進むと桃洞・赤水分岐の看板が現れます。
ここからは沢を歩くことになります。どこまでも続く緩やかなナメ床はとても気持ちよく歩けます。ただし甌穴が見え隠れしていて、油断していると落とし穴(物凄く深い所もある)にはまってしまう恐れもあるので要注意。
1時間程歩いた所で赤水沢は右手(南)に大きくカーブします。その付近に九階滝のある「様の沢」に向かう枝沢が右岸に出合います。この枝沢を登り詰めて鞍部を越えて東に降りて行けば様の沢です。
この枝沢の出合には案内はありません。見逃してしまう恐れもあります。目印に枝に赤ペンキが塗布されていましたが、分かり辛いです。
枝沢を遡行です。すぐに傾斜がきつく掴むところのない岩壁が現れ、私は自力では登れませんでした。幸い森本さんが(カエルのように)ヒョイヒョイ登ってロープを垂らしてくれたのでそれを利用して越えられましたが、単独だったらここでギブアップだったかもしれません。
しかしこの岩壁を無視し、枝沢左岸の小尾根で巻いていけばこの岩壁を越えられると思うので、無理だと思ったら左岸小尾根に取り付いてみれば良いと思います。
さて枝沢をグングン登っていく。水は少なくなる一方。鞍部まで半分ほど登ったところで沢は二俣になります。ここを左に進みます。この付近から水は殆どなくなります。
微かな踏み跡を頼りに登り詰めると、ようやく鞍部。ここで上りは終了。
ここから右手に1〜2分歩くと、九階滝が遠望できます。
遥か彼方に巨大なスラブが見え、そこに微かに白い滝の流れが見えます。三脚を立てて写真撮影の開始です。
十分満足して、枝沢を上り詰めた場所まで戻り、ここからは東へ下降開始。
様の沢に向かっていく枝沢の急斜面を滑るように降りていきます。少しずつ水が現れ始めたところで枝沢はストンと垂直に滝になってしまいます。
左岸の木々を利用しロープを下ろし、エイト環をセットして懸垂下降。とても空身で下りていける傾斜ではないです。40mロープをダブルで利用。つまり20mの懸垂です。
滝の箇所をクリアして枝沢に戻ります。まだ沢筋を下りていき、もう一度滝が現れるので、ここも左岸の木々からロープを垂らし懸垂下降。
2度の懸垂を終えて、沢筋をひたすら下降していってようやく様の沢との出合い。2度目の懸垂付近から九階滝は大きく見え始めているので興奮状態で降りて行きました。
様の沢に着地、そこから右手に。つまり上流側に向けて遡行です。10分も行かない内に九階滝を目前に。
凄い世界です。両岸反り立った岩盤の底に立ち、正面の大スラブを撫でながら落ちてくる九階滝を見上げる。とんでもない絶景。
もうちょっと水量が欲しい所ですが、絶好の青空なのでこれ以上は欲張りです。破裂しそうな程お腹一杯になりました。

6:40 鳥獣センター出発
7:15 桃洞・赤水分岐
8:15 枝沢出合い
9:30 九階滝遠望
12:00 九階滝直下
(撮影・休憩含む)

この滝へ案内して頂いたけんぼーさん、本当にありがとうございました。
他写真
訪問日 2008/10/18

HOME日本滝百選全国の滝滝リスト風景写真LINKPROFILEMAIL