銚子川 支流 又口川 支流 古和谷
古和谷右俣大滝






所在地
三重県尾鷲市

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆
訪問日 2023年8月13日

夏休み三日目。と言いつつ今日は帰宅の日でもあります。

昨日向かおうとしていたこの滝。
あれから晩御飯時(お食事処 鬼瓦)に色々な方の記事を読んだり地形図見たりして予習を行いました。


林道歩きはかなり長く片道で約5.6q。それに標高差570mくらい上がる事になる。
これはかなり時間が掛かるぞ。
それで滝に到着するのではなく、林道終点からは沢登りで1.2q程進み、こちらも標高差で300mくらいは登る。
難所はないらしいけどここでも相当の時間を強いられるな。
出発から滝の到着まで5〜6時間が平均かぁ。こりゃ気合入れないとあかんな。

その中で気になったのはえだ2さんの記事の最後。
「林道が長いので清五郎の滝の林道からアタックする手もありますね。
 行けるか知らんけど・・・^^」

知らんけど、、、?
よし知ってみよう! 


って訳で林道の状況を調べてみる。水無峠や地蔵峠は有名なようで登山者は結構いるみたいでレポはある。

水無峠まではグーグルビューで見ることが出来て、そこまでアスファルトの道路だと分かる。その先でゲートが出てくるようだが、滝からかなり近い位置まで車で行けそうだ。
これなら長い長い林道を歩かなくて良いかもしれない。

林道が閉鎖していて行けない場合、スタートが遅くなるから清五郎の滝の代替案として用意しておこう。
って事まで決まり、各々解散し眠りについた。

さて当日。道の駅「海山」から出発。
県道760号から林道栃山木組線に乗る。ゲートは無く普通に進んでいける事に一安心。

林道は調べた通りアスファルトで走りやすい。ここ最近で整備されたような綺麗さ。
順調に走行していき、水無峠まで走ってこれた。まずは最低ラインを確保した。もしもこの先で通行止めになったとしても、水無峠からなら古和谷沿いの林道よりも距離は短くて済む。
その先はダートとなるがまだ走れる。後半になるにつれて荒れてくるが車高のある車なら問題はない。


そしてゲート。直線距離では圧倒的に近い距離まで車で走ってこれた。ちなみにゲート前には3台は駐車可能です。

準備をして歩き始め。さて滝に出会えるのか、フラれるのか。ワクワク大冒険の始まりです。

ますは気ままに林道歩き。ゲートより先も歩きやすくて良い感じ。右手に「清五郎の滝」への看板が出てきましたが今はスルー。こちらも未訪問なので行きたいのですけどね。


大きなカーブを終えて、紀北町を走っていた林道は尾根を乗り越して尾鷲市に入っていきます。
そして目指していたカーブ(のどちんこカーブと命名)に到着。

ここから古和谷まで一気に下降する目論見です。
林道から見下ろす。

緩やかなルンゼがずっと下方まで続いている。藪も少ない。歩いてくださいと言われているかのよう。
こりゃもう行くっきゃないでしょ。


踏み跡があるかのような歩きやすさ。サクサク下りていける。でも何が出てくるか分からないから慎重にね。
右手から大きなルンゼが合流したところで広場が出てきた。

これって天然に出来た広場なのかな? って疑問に思ったので、周囲を確認するとしっかり石垣が積まれているではないか。
なんとここは林道だ。旧道なのだろうが、その先もその後も林道の姿は見当たらない。どうやらここだけは崩落せずに残ったのだろう。


ルンゼは滝と離れてしまうので樹林帯に入っていく。と言ってもそこは植林地帯であった。
杉林の斜面は人の手が加わっている故に問題なく歩ける。
予想以上に簡単に下れて、こんなんで良いの? と不安に思えてくる。

やがて水の音が聞こえてきて、古和谷の流れが見えた。
林道よりもその先で入渓。これは圧倒的に楽ちんだったと歓喜。

これより先は適当に。水に入っても良かったが左岸の斜面が進みやすかったのでそちらを選んだ。


入渓から20分。ゲート前から出発してから1時間45分。
古和谷右俣大滝の最下段に到着。物凄く時間短縮が出来た。
えだ2さんの「知らんけど」に大々感謝だ。


下段は斜瀑のような分岐瀑のような。横幅が映画館の1番スクリーンのような巨大さで迫力ありまくりだ。
右岸を登っていくと全景が見渡せる滝見台の大岩がある。その淵に立つのは怖いけど絶景です。


下段だけでも十分に満足できる器であるが、その奥に見える上段が気になる。見たところ大きくは見えないけれど、さてどうでしょう。

巻きは左岸から。というか右岸を検討して見たがどうにも取り付けない様子。

滝前の左岸は崖になってるので、登れる斜面まで戻るとなると大岩からだと50mほど下ることになるのが辛いところ。

崖が途切れたところから左岸斜面を上がっていく。踏み跡はないけれど、藪もほとんどないので快適に登っていける。
10分ほど上がり続けて、もうそろそろ頃合いじゃないのと滝に近づくと下段の落ち口辺りまでしか登っていなくて、想像以上に落差があるのだと驚いた。

崖沿いから離れて更に斜面を上がっていく。最後は急勾配になったが、木の根がよく張っていてそれを掴めば安心して登っていけた。

中段というべき斜瀑に出れた。そこから水の中を上がっていくと上段を真正面に捉えられた。
有難いことに、ここにはゆっくり座って鑑賞出来る飛沫のこない憩いのスペースが広がっていた。


荷物を置いて、各々が好き放題に撮影を始める。

下段の幅広の優雅な流れも素晴らしかったが、上段も同じくらい幅広であり更にこちらは直瀑でもあるので迫力を伴っている。

分岐瀑の表情もあるので、広がることで水量が分散され、図太い滝柱とはならないが、極上のミストを散布しながら落下する心穏やかな直瀑である。
その優しいミストが非常に心地よいのだが、撮影していると気付けばレンズに水滴がついているのでレンズを拭き上げに忙しなかった。

振り返ると尾鷲の街並みが見えた。という事は尾鷲市街からこの滝が超超遠望が出来るわけだ。


中段より

中段より
その2

とりあえず中段の斜瀑から見上げてみよう、と上段を横目に下っていく。
いざ中段の斜瀑の中に入ってみると、これだけでも30mはあるかと思われるくらい大きい。
下段から見ると中段なんておまけな感じだったけど、いやはや侮れぬ。ここはスケールが桁違いなのだ。

斜瀑を半分くらいは下りて行けたけれど、それ以上は急勾配になり過ぎているので滑落の危険があることから諦めた。

改めて上段と向き合う。上段だけでも一級品。見上げる景色は滝だけって感じで迫ってくる勢い。
さすがは紀伊半島。巨瀑が沢山あって驚かされる。

一通り撮影を終えたら昼食タイム。上段の滝水をかぶって寒くなった体は温かいラーメンが欲する。
グツグツと煮立って、そろそろ出来上がるかな〜って所で、今日一番の青空が飛び込んできた。

滝が一層に光り輝く! ゴールデンタイムだ!
気持ちはまさにこれだ ↓



滝に認められたようで嬉しい。これはもうラーメンを食べている場合ではない。麺が伸びるのは仕方ない。団子より花だ。


やはり青空になると滝の表情はより豊かになりますね。ほんのちょっとだけ虹も見せてくれたし。
濡れて寒いなんて言っていたけど、この景色の前ではそんなの忘れちゃいますね。


ってな感じで満足するまで滝と向き合って、心が満たされて憩いの場に戻った頃にはラーメンは熱を失い完全に常温になっていた。
そこからもう一度温めたけど、当然ながら美味しくはなかった。でも心は超絶満腹だから全然オッケーよ。

この上段にはなんだかんだ2時間くらい滞在していた。それでも飽きることなく見続けられた。
それとこれだけゆっくり滝前にいられるのは、早くに到着できたからでも有る。長い林道を歩いていたのなら滝との面会時間は1時間も無かったと思う。

帰路はどうしようか。元来た道を戻るのは迷わなくて安心だけど、上段への高巻き道は急斜面な箇所もあったので下るのは遠慮したいな。

このまま左岸から登って行って林道に出ちゃえばいいんじゃないの? 
それだと最短で上段に行けるルートが確立できるし、と探検も兼ねて左岸斜面を上がっていく。


緩やかに登っていく。藪は一切ない。ないというか笹はあるように見えるのだけど全部が枯れている。もしかしてビックモーターが下見に来て除草剤を撒いたのかと疑ったりした。

踏み跡も所々で見える。困惑するような場所もなく気さくに斜面を上がり続けた。
GPSを見ると落ち口から北に伸びている尾根に乗れた。
って事は落ち口まですぐなのでついでに寄ってみた。


落ち口はそれほど広くなく、一段落ちてから分岐して拡散されるようだ。

下段・中段・上段、そして落ち口。余すことなく見れた(斜瀑の全部を見れた訳ではないけど)
この滝の全てを知れたように思えて嬉しい。そして疲労もほぼ無いというご機嫌さ。

さあ林道を目指そう。
先ほどの北に伸びる尾根を上がっていく。ここも植林地帯で歩きやすい。


踏み跡もあって順調に登っていき、最後は東へトラバース。そのまま踏み跡を進んでスムーズに林道に出れるかと思いきや、なんか崖の上に出てしまった。
やむなくちょいと斜面を下ってやや藪を漕いで林道に戻った。


綺麗に林道に出れれば非常に分かりやすいルートが確立出来たのだけど、最後だけはお粗末。
北の尾根に乗るための優しい道はないかと探したが、見つからなかったのが残念です。

林道をまったり歩いて車に到着。

お土産はヒル2匹。
・・・・、これが無ければパーフェクトな滝巡りだったのだけどね〜。
今回はそのヒルに噛まれた傷口にポイズンリムーバーで血と一緒にヒルジンなる悪い成分を吸ってみた。
いつもは1〜2時間は血が止まらないのだが、30分位で止まったように思えた。
ポイズンリムーバー、効果あるかもね。
知らんけど。


まあ、でもそんなの気にならないくらいの滝ですよ。
素晴らしいルートの開拓、素晴らしい滝との出会い。これぞ滝の醍醐味。渾身撃って感じで、夏休み最高の一日となりました。

この滝を目指そうと提案して頂いた、はんぺんさん。大変お世話になりました。
来年も紀伊半島、よろしくお願いいたします!


追記
普段は水量少ない滝なので、雨後に訪れるのをお勧めします。


6:40 ゲート前 出発
7:30 林道 ルンゼ前(のどちんこカーブ地点)
7:50 旧林道
8:05 古和谷 入渓
8:25 古和谷右俣大滝 下段に到着
9:45 出発
10:15 古和谷右俣大滝 上段に到着
12:05 出発
12:25 落ち口
12:50 林道
13:30 ゲート前到着


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