称名川 支流
ソーメン滝








所在地
富山県立山町

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
現地へ 称名滝の上流。室堂の近く。雷鳥沢野営場より称名川を下っていく。およそ2〜3時間で到着。観光地ではないので沢装備が必要。
訪問日 2021年9月19日

いつかはクラウンに。

昭和世代の方なら知ってるトヨタのキャッチコピー。
それと同じ気持ちで数年前から呟いてました。

いつかはソーメンに。


日本ではないような、この世でもない浄土にいるような立山の絶景に現れるソーメン滝。開放感抜群であり、我々を歓迎し遊ばせてくれる懐の大きい見事な滝でした。


※前置きが非常に長いので、滝レポートをすぐに読みたい方はココをクリック


出発前から色んな計画が飛び交いました。どうアプローチするか、日帰りなのか、車はどうするか、どこでテント張るか、悩みに悩む。

先人のレポートに則って天狗平付近から称名川へ下りて、ソーメン滝の前でテン泊しよう。
テント張れるスペースがあるか分からないから人数は増えすぎないようにしよう。

それが最初の計画。

しかし困った事に台風が接近。
これは中止しかないか、根本が揺さぶられ前日になっても協議しまくり。
てんやわんや企画が揺れて、非常にバタバタしました。

台風が南に進路をやや変えてくれて、富山県はそれ程酷くはならなそう。
初日に雨に降られるのは、覚悟の上で決行する。

最終的に決まった計画は、
初日は室堂の先にある雷鳥沢の野営場で泊まり。
二日目はすぐ横に流れる称名川を下っていき、ソーメン滝へ。
夕方には室堂へ戻りバス、ケーブルカーを利用して立山駅へ。そして即帰宅。
二日目の時間制限がかなり厳しい。
でも初日は台風の影響で雨が降り続けるから、二日目に勝負するしかないのだ。


2021年9月18日

深夜0時。最近では恒例となった鶴ヶ島集合。ここから車を乗り合う。
車出しはふたつぎさんとサモハンさん。埼玉から富山までは遠いので、代わり番こで運転しながら富山に向かいました。

立山駅に着いたのは6時30分位だったろうか。駅すぐの駐車場には空きスペースがあります。
三連休初日なのに空きがあるのは台風のお陰。雨がガッツリ降るの分かってて立山に向かう観光客はいないでしょうよ。

ここで現地合流のふたつぎさんの義弟のやまちゃんにご挨拶。
腕に太ももがついてるムキムキさ。
サモハンさん、はんぺんさん、やまちゃん。三人が並ぶと圧巻・・・・、今日は筋肉多いなぁ! 
かくいう自分はガリガリガリクソンなので、その三人の近くにいると恥ずかしい。

サンダルから沢靴に履き替えてーっと準備を始めたら、沢用の靴下が片方しかない(T_T)
どうやら入れ忘れたようだ。仕方ないから普通の靴下で挑む事になる。ぜってー寒いけど頑張るしかないわ。

さ、準備が出来たら雷鳥沢野営場へ向かいましょう。

立山駅から出てるケーブルカー。これに乗車するため切符(立山駅から室堂までの往復切符 6320円でした)を買います。
「空いてます?」
従業員に聞くと「ええ、とっても」と返ってきた。
こんな事、そうそう無いのでしょうね。悪天候は嫌だけど、人混みの方が嫌だから、空いてて最高です。


ケーブルカーに乗車。登りなら右側に座っていると景色が楽しめます。

美女平に到着し、下車。
ここからはバスに乗ります。春に来れば雪壁の中を走るあのバスです。


称名滝がチラ見出来た。肝心のソーメン滝もバスから見えるはずなのですが、曇に覆われていて分からなかった、残念。

室堂、到着。
登山家で賑やかだぜ。ここにいる人みんなすげぇ山の猛者に見える。

ここでは必ず登山届けを出さなければならない。
オフ会ですから、みんなハンドルネームで呼び合ってます。当たり前ですがここではみんな本名で書く。

行き先、目的の欄にどうやって記入するべきか悩んだ所、WATAさんより「称名川、上の廊下へピストン」って書いてとアドバイスを頂いた。
ちなみに「廊下」の漢字が書けなかったので、カタカナで書いた。
上の廊下とはこの付近一帯(下図参照)を言います。バッチリ、ソーメン滝のあるエリアです。


しかしそこは登山道でも何でもない所ですから、係員に提出した時に「許可しない」とか言われたらどうしようかと不安でした。

係員曰わく
「あの付近の森林地帯はとても滑るから、気をつけてね」と肯定的な一言を頂いた。
許可下りたー、気をつけるぞー。これでコソコソ隠れて沢に入るのではなく、堂々と滝を目指せます。

ここまで順調。スムーズに来れてます。
ターミナルから屋外に出ると、テンションダウン。
雨降ってるし、さみぃ!


そりゃそうだ。ここは2400m程の標高なのだ。
標高と気温との関係ですが、100m上がる毎に0.6℃気温が下がるようです。麓の立山駅の標高は470m程なので、約2000m違います。
もし立山駅の気温が20℃であれば、室堂は8℃です。9月中旬なのに、紅葉見頃ってなってますから寒いに決まってます。

で、勿論だけど雨が降ってる。霧が舞ってる感じもあれば、パラパラ降ってる時もある。ザーザーになるのはお昼過ぎかな。それまでにテント設営したいとこだね。


雷鳥沢の野営場までは40分くらい。血の池、ミクリガ池と見所がある登山道。曇っちゃっててあまり綺麗でないから、モクモク歩きます。

遊歩道を下りに下って気付いたら雷鳥沢に到着。午前10時30分、今日の行動はこれでほぼお仕舞いだぜ。滝巡りでこんなに早く行動終了するのは初めてよ。


まずはテント。が、しかし、ここに来て雨が強い。

かと言って何もせず立ち尽くしても仕方ないのでテントがビシャビシャになりながら設営。中まで濡れまくってて、タオルで吹いて絞ってを繰り返して、居住空間を確保。

その後、受付に行って、利用料一泊一人千円を払う。


これで手続きは終い。もう何もやること無いです。

雨がそんなに降ってなければ付近の登山道を散策しようと思っていたけど、歩いても楽しめないであろう視界不良と寒さと雨の中では全くやる気になれず。
各々テントに入って昼ご飯。

で、その後はまるでやる事が無いので温泉に向かいます。野営場で利用料を払った客は、ロッジ立山連峰の温泉が有料(¥700)で入れます。

昼過ぎから温泉入るなんて贅沢だけど、それぐらいしか楽しむものがないのでカッパ来て5分程歩いて温泉へ。

ここの温泉、眺望最高。
多分、山小屋のどこでも見晴らし良いと思うけど、屋根がある所からのんびり見れるのが素晴らしい。


何よりも、雨に打たれて冷え切った体に温泉は最高の活力。
台風の影響で客が全然居ないので、温泉は我々7人で貸切状態。

温泉の温かさに体温が上がって、景色の素晴らしさに気分が高揚し、露天風呂で湿った雰囲気が吹き飛んで、トドメは貸切状態で無邪気となる。

漢と書いて「おとこ」と読む!
そう、ここは漢祭りの会場じゃい! 裸祭りじゃあ!

スマホで裸も立山も撮りまくり。筋肉スゲーし景色もヤベー。絶対チ○コ写ってるしwww でも面白いから全然オッケーwww


アホなほど盛り上がり、雨で沈みきった気分は祭りによって救われました。
この温泉によって心も体もポカポカになった。

14時30分、ここからはもう本当に何もない。

こうなる事は分かってたので、テント内で小説を読む。スマホの電池が勿体ないから、アナログの紙ベースを持参した。すんげぇ贅沢な読書タイムだけど、なんか頭に入らなかった。

夕方になって晩御飯。

この時は雨が止んでいたので、テントから出て外にあるテーブルを利用してみんなで固まってバーナーでお湯を作っていたのだけど、途中から結構な雨が降り始めたので、またテントの中に引き籠もり。

結局、昼も夜もテントの中で寂しく食べた。

ちなみにロッジ立山連峰には売店があり、そこで米焼酎(400円)を買った。山の酒はマジで旨い。
普段、全然呑まないけど山は別格ですね。山は偉大なり。

酒の力で体を温めて、寝袋に入って就寝。
明日は本番、日の出前から動き出すので、4時起きです。

寒くて時折起きては、体を丸くして再び眠りに。
雨はなんだかんだ夜まで降り続けた。風でテントがバタバタ揺れると騒がしく、更に冷気が入って来て堪えるものがある。ただし、台風の暴力的な風雨が無かったのは幸いだった。

深夜2時頃、目を覚ますと辺りは非常に静か。テントを開けると見えなかった立山の稜線が見えると共に、雲のない空に星が輝いていた。


この美しい景色を楽しむのも山の醍醐味であろう。三脚を持たない自分は適当に撮影し、寒くなったのでテントを閉じた。

朝4時頃、周りからガサゴソと準備の音が聞こえ出す。
自分もそれに倣ってテント内で朝ご飯を食べる。


2021年9月19日


5時頃、準備を整えてテントから這い出す。
おはようございます!

って体がフラフラするぞ。残ってた米焼酎を捨てるのは勿体無かったから呑んだけど、あかんなぁ。
ちょい気持ち悪くなりながらの歩き始めです。

テントや寝袋は今はそのまんま放置。その方が身軽に動けますからね。
ちなみに野営場は、泊まる場合は千円ですが、テントを設営してても当日にテント回収し泊まらなければお金を払う必要はありません(管理の方に確認済)

雷鳥沢野営場から東へ。すぐに橋があります。
そこに流れている川こそ、称名滝を産んでいる称名川です。ソーメン滝はその枝沢にありますので、ここから沢下りをしていきます。

優雅な川、左岸を優雅に進みます。
時折、水の中に入ります。早朝ゆえによく冷えてます。ただの綿の靴下にはクッソ冷たい。足先が一気に収縮しちゃいます。


なるべく水に触れないように頑張りますが、昨日は雨が降ってましたからね、増水しているのでしょう。

景色が美し過ぎる。つい足が止まってしまう。

野営場から出発して40分程かな。壮大な岩壁を従えた滝の登場。ツバクロ滝です。


左岸のガレ場から容易に巻く事が出来ますし、近付く事も可能。予想よりも大きくていい感じ。


順調順調、快適軽快な沢下り。名のない小滝や壺を見るとつい立ち止まっちゃう。

そして越えなければならない壁。15m滝の登場。

と言っても滝は見えない。その上のゴルジュの入り口(出口?)にいるようだ。
両岸立っているのでこの先には行けない模様。


右岸を見ると登って下さいとばかりなルンゼがある。中腹からトラバースして、あの辺りをどーたらあーたら、イメトレを行った。

ここしかないんだから、行ってみましょ。
目標は小さく巻く事。

って登ってったけど、全然小さく出来ない。藪が濃く進路が変更出来ない。ドンドン登らされる始末。

30mくらいは上がっただろうか。一向にトラバースの兆しが見えずイラついてしまい、ほんのちょっと藪が薄くなった所をチャンスと見て、腕を突っ込み掻き分けて行く。

10mほど進むと藪は弱体化して動きやすくなり、足元を見ると薄いながら踏み跡が見えた。
それを辿っていくと踏み跡は明確になっていき、ガレ場の平らな場所に出れた。

砂漠のオアシス的な感じで、藪の中にある休憩ポイント。
ここから下っていけば15m滝前に出れるだろうかと斜面を覗くとただのゴルジュ形態しか見えない。まだ滝が出てきていない。

となればここから先もトラバースとなる。
自分はそのまんま真横に突撃していったが、一段上がった所は藪が薄かったようだ。
この辺りの藪は中々に強烈。三密どころの騒ぎでない笹の密集。朝のはずなのに暗い視界。

無理くり進んでいって、岩峰に乗る。
で、そこから下部を見ると谷筋が伸びていて、下りていくと15m滝前に出れた。


この巻きだけで実に50分も消費させられた。
今回のソーメン滝へ向かう称名川下降アプローチではこの高巻きが肝です。
踏み跡は薄く、藪は濃く、経験が頼りの巻き。

それが踏み跡なのか、それともただ藪が薄いだけか、見極める目が必要で、失礼ながら高巻き童貞では厳しいと思います。
その藪をヒーヒー言わせるリア高巻き充じゃなくても何とかなりますが、一度でも自力で高巻きした事がないと越えられないかと思います。
まあ、もっと熟練のナンパ師になると高巻きなどせずゴルジュに入って下っちゃうんでしょうけどね。

この滝は壺を持ってるし飛沫の威力もあります。が、ここは帰りに撮影するとして今はソーメンに向かいます。

もう後は何も難しい事はありません。美しき称名川を楽しみながら下っていくだけです。
手前には名の無き斜瀑。潜流瀑で岩の狭間から水が吹き出して面白い。
そしてソーメン。


道中では大きな苦労は無かったものの、ここに至るまでの道程は長かった。

あっきーさんと「やっと来れましたね」と笑ってハイタッチをした。
これだよなぁ、これが醍醐味だよなぁ。
すっげー嬉しくて泣きそうになってしまった。

さあ、滝を楽しもう。
真西に向いてる滝だから、午後に訪れるのが理想的。
だけど、僕らは今日帰らないと行けないから朝一番から挑んだ。
時間が経つと太陽が落ち口を照らすだろう。となると上部だけが明るくなって撮影は困難となる。
それまでが勝負。
遠望、そして接近。どうせならと滝に打たれる。シンプルに冷たい。


左側を見ると登れそうな斜面と段差となる岩がある。
ムラムラしたので取り付いて見る。スムーズに上がれた。


良い滝は遊べる。見れるだけじゃなく楽しませてくれるのだ。

幼児の頃、パラバルーンってやつを空気膨らませて、その中に入ってってのやりませんでしたか?
これ、これ↓


この時と同じワクワク感がありました。まさに童心に返って滝と触れ合える。

子供の頃によく行っていた近所の公園を思い出す。それは一人一人、別の公園だし遊び方もそれぞれだっただろうけれど、その公園に行けば楽しい事が待っている。そんな記憶が残っていると思います。
ソーメン滝からは、そんな懐古な楽しさを蘇らせてくれました。


トライアングルで遊んでいる感じで無邪気に登ったり下りたりバシバシ写真を撮る。

しばらくして、太陽が上がってきて落ち口から徐々に眩しくなっていく。

こうなると撮影は厳しいので、完全に太陽が上がりきるまで待機。
その間に公園から離れて、下流にある大谷の滝を目指すとしよう。

キラキラ滝壺さん(はんぺんさん)がドローンでオータニさーんを確認した所、手前にも滝があって、その上はゴルジュになっていて、その先に本滝があるようだ。
なら前衛滝まで行っときましょうかね。
って事で、一人ぶらり旅で称名川の下流を進み、すぐに左から入ってくる大谷を登る。


大谷F1までは問題なく来れた。圧巻なる屏風岩を従えた滝。これを巻いて、本滝に向かうには時間が足らな過ぎる。今回はF1に来れただけで満足です。
ソーメン滝に戻るオータニさーんの下りでは浮き石に足を取られすっころんだ、それはもう派手に。
2・3分痛くて動けなかったし、突き指もした。でも他に怪我はなくて良かった。

ソーメン滝に戻ると、だいぶ太陽が上がっている。それでもしっかりと色が写るにはまだ早い。


これから雷鳥沢野営場に戻って、テントを片付けて、室堂まで歩き16時30分最終のバスに乗らなければならない。

時間の足切りがあるのが非常に辛い。いつもなら車にさえ戻れればどうにでもなるからね。

往きは3時間掛かった。写真撮影や分からぬ高巻きに悩みつつの行程だったので、ルートが分かっている帰りはもうちょい早いかも知れないが、疲労故に遅くなる可能性もある。

決めた時間は11時30分頃。これが限界でしょう。

西向きの滝だから、14〜15時辺りがゴールデンタイムになるだろうけど、今回はちゃんと出会えた事が第一目標だったのだから十分に満足はしています。

そうそう、ソーメン滝前ではテントを設営できますが3基が限度でしょうか。水は正面に苔に覆われた湧き水があるので問題なし。ゴツゴツしてるし豪雨時は危ういですが、平時なら滝前テントは可能だと思います。



そして帰路。
全てが陽に当たり輝く。


絵はがきじゃん、どっかの沢登りの表紙になりそうな景色じゃん。
浮き世離れした美しさ。歩みは必然と遅くなるし、必然とテンションが上がる。

15m滝に到着。ここも朝と違って濃い色を見せてくれる。飛沫も多いし開放感あるし溜まらない空間だ。


主瀑とは別に、右壁からチョロチョロ流れる湧き水の滝がある。

そこにふたつぎさんとサモハンさんが近付いていた。
途端に歓声が上がる。対岸で撮影していた自分には何が起こったのか分からない。

ふたつぎさんが上半身の服を脱ぎ始めるではないですか。
これはもしかして、と慌てて近寄る。

もしかして、漢と書いて「おとこ」と読む、あの漢祭りが始まるのですか!?
「この滝、あったけぇよ!」
ふたつぎさんが裸でワッショイワッショイしている。

それを聞いたら自分だって脱ぐさ。温泉の小滝を浴びる、ややぬるめではあるが温かい滝だ!
気付けばみんな上半身ハダカ。筋肉マシマシな方はポーズ取ってソイヤソイヤしている。


連日の漢祭り、時間忘れてはっちゃけちゃいました。

気を取り直し、15m滝の高巻き。てか時間大丈夫?

小さく巻こうと試みるも落ち口付近は崖となって見えないし、藪が強い。ハイマツの藪漕ぎは笹の比じゃない。落ち口に近付こうとすると藪はより密度が増してしまう。

小さく巻いて時間短縮を狙ったが、辺りを探索していると時間は奪われてしまう。
そんな余裕は一切ないので、諦めて朝のルートをトレースする。


朝とは微妙に変わった巻きになったが、場所を選べば藪漕ぎに苦労する事はない。
ただあまりに大きな巻きなので、もっとコンパクトなルートを探したいものだ。これは次回の課題かな。

巻き終わると、綺麗過ぎる壺を持つ小滝。


ここも撮影タイム。
もう時間がいくらあっても足りない。
絶景のエレクトリカルパレードや。

ツバクロ滝の高巻き。左岸ガレ場を登る。


すぐに息切れする。なんでこんなに疲れるんだろうって、2200m程の標高なんだから酸素が薄いに決まってる。

ツバクロ滝を俯瞰。奥に主峰、立山が見える。
どれだけ感嘆とさせるのか、感動たる景色は更に上乗せされていく。


この景色はヤバい。凄すぎる。
「ツバクロ滝じゃなくて、ヤバクロ滝ですね!」
誰もツッコんでくれなくて悲しかった。


この滝を越えると称名川は穏やかになる。青空に照らされている立山に伸びる川、このまま進んでいくと天国に行っちゃうんじゃないの? そう思えちゃうくらい見たことのない美しさの中にいる。


最後の二股。右の方が雷鳥沢に近い。
苔や草、愛おしく美しい。沢から出ないでその美しさを踏まぬよう気をつける。
喧騒。賑わい。歩く人が見えた。


14時45分、登山道に戻る。
予想よりもちょいと早く帰って来れた。

で、雷鳥沢野営場に戻るとビビリンコ。
ここは原宿か? なんか一気に現世に戻らされた。
テントの数やべー、歩いてる人、パネェ。


浦島太郎の気分だ。
一瞬、自分のテントがどこにあるか分からなかった。もうここは密ですよ。昨日はスッカスカだったのにね。

みんな急いで片付けていると「ここ空くんですか?」と尋ねられる。
大型連休中に、大型ショッピングモールに行った時の、フードコートの席の奪い合いと一緒やん。大人気過ぎるでしょ。

オラオラとザックに荷物をぶち込んで15時20分に出発。


室堂までは40分と書かれているので、幾分か余裕が生まれたけれど、この道が終始登りでキツかった。


それでも何とか全員間に合って、バスに乗れた。

このバスは満員になる事はない。大勢が並んでいる場合、それだけバスが複数台出される。
今日の終バスは4台出た。
とにかくこれに乗ればケーブルカーも必ず動いてくれるので、立山駅にもちゃんと帰れる。

昨日のバス内ではガスってて見えなかったソーメン滝を遠望しようと窓に張りつく。
見えた! と思った瞬間には走り去っていた。ちょっとくらいブレーキして景色見せて下さいよ、運転手さん。


美女平ではケーブルカーを待っていると地震があったとアナウンスが入る。
槍ヶ岳では事故が起きたくらい、大きな地震だったようだ。気付かなかった。

そして終点、立山駅。車に帰って来れた。



憧れのソーメン滝。
いつかは、と思い描いていたソーメン滝。
敬愛する滝の先輩方と議論を重ねた月日という長い旅路に、ようやく終わりを告げる。
最高の2日間、お世話になりました。

で、次の漢祭りはどこで開催ですか?


9月18日
6:30 立山駅 駐車場
7:40 ケーブルカー 乗車
8:20 立山高原バス 乗車
9:10 室堂 到着
9:40 出発
10:30 雷鳥沢野営場 到着

9月19日
5:20 雷鳥沢野営場 出発
6:10 ツバクロ滝上
7:00 15m滝ゴルジュ上 高巻き始め
7:50 15m滝前
8:15 ソーメン滝 到着
11:40 出発
11:55 15m滝前
12:15 出発 高巻き始め
13:15 15m滝ゴルジュ上
13:50 ツバクロ滝
14:45 雷鳥沢野営場
16:15 室堂


ログ

余談
ソーメン滝への理想的滝巡りは、朝一(6時40分)のケーブルカーに乗り高原バスを経由して室堂へ。すぐに雷鳥沢野営場でテントを建てた後、ソーメン滝へ向かって称名川を下る。
滝前には12時頃に到着。2〜3時間楽しんだら帰路。その日はテントで一泊し次の日はゆっくり帰宅。
これがベストかと思います。

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