笠谷F2
(洞穴滝)






所在地
岐阜県高山市

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
現地へ 笠ヶ岳の南西部。笠谷の上流部にある。林道歩き片道3時間。沢登り20分程で笠谷F1に到着。この滝を高巻くとF2の滝前に。
訪問日 2019年8月19日

笠谷F1(笠谷大滝)
の続きです。


滝見テラスから辺りを見渡す。どれが巻き道なのか、どれが踏み跡なのかを見極める。

目の前には岩壁が聳えており、それをグルリと大きく巻いて登るような踏み跡が一つ。
岩壁にそって斜上していく跡が一つ、そしてF1の落ち口へ向かって水平移動する跡の計三つのルートが見えた。
見えたからと言って正解かどうかは分からない。ただの気のせいかも知れない。

その中で一番踏まれていたのが水平移動です。落ち口へと最短距離で向かう踏み跡です。

「巻き道は容易」とか「テープが巻かれてる」とか先人のレポートで見ましたが、テープなんかないし、自分にはこれを容易とは思えないトラバースでした。

距離は短いけれど、怖すぎる。


滑れば60m大滝の滝壺まで落下するでしょう。そんなギリギリの所に踏み跡がある。

ロープを伸ばしてそれを支えに通過しましたが、めちゃくちゃドキドキしました。老い先短い寿命が削らされた気がしました。

これが本当に容易なの? 容易といえるならバケモンです。いや自分が臆病なだけなのか判断がつきません。
他の踏み跡から行けば容易な巻き道があるのかも知れませんので安全策を取るなら大きく巻く道を探した方が良いと思います。
時間短縮を優先されるなら、この落ち口へのトラバースが最短距離で間違いありません。


落ち口に立つとF1の吹っ飛ぶ水が間近に見れてそれはそれは迫力満点。ただし落ち口付近は茶色くシミたコケが張ってて、めちゃ滑るので要注意です。

難所のない谷を再び遡る。水の綺麗さに目を見張る。10分程で笠谷F2が姿を現した。


初見の感想。
「おいおい、誰だよ、ここのジェンガのブロック抜いた奴はwww」


笑っちゃうくらい洞穴。神秘的な洞窟。
そこに綺麗な滝が落ちている。勿論、滝壺も綺麗だし飛沫も上品だ。

滝前に立つと頭の中に音楽が流れた。サラ・ブライトメン&アンドレア・ボチェッリの「Time To Say Goodbye」だ。

※是非、聴いてみて下さい!

ソプラノ歌手の高音の声と、テノールの渋い声がこの滝前にはよく似合う。
スマホにダウンロードしといて滝を感じながらこの曲を聞きたいと心底思った。滝と音楽、癒やしのコラボレーションは面白そうだから今度やってみよう。

洞穴の上を飛び出して、宙を舞う滝だから裏見が出来る。深い所で見上げるのも、真下付近から落水を浴びながら見上げるのも楽しい。

さあさあ、洞穴へとお邪魔しようじゃあーりませんか。細かな石が積み重なったガレ場のようで、中に入っていくのは石が転がって面倒。この石は天井から剥がれ落ちたモノだろうと想像するとヘルメットは外せない。

どんなキッカケで崩れるか分からないので慎重にガレを動かさないように登りたいけど、どうしても崩れてしまう。ジェンガが倒れるじゃないかと心配になるようなガレ場の滑りように緊張する。

それでも無事に奥の奥まで入り込んだ。


闇なる洞穴から望む、 眩い光と煌めく滝。
時が無くなったような、次元が飛んだかのような、重力が消滅したかのような、全く現実味のない曖昧な景観。自分の体が無くなったみたいなフワフワした感覚に包まれて、裏見の美の真髄を味わいました。

天照大神が岩戸に隠れて、困った八百万の神々はアメノウズメに命じて岩戸の前に滝を創った。その目映いばかりの滝景色に心奪われた天照大神は岩戸から外界へと出られた。
なーんて神話があっても良いんじゃないの? って思うくらい神秘的な空間でした。本当に凄かった。

時計を見ると悲しくも現実に引き戻される。

雨の予報までそんなに猶予はない。
とにかく林道までは雨に降られなくないので、ザックを背負って帰りはじめ。

何度も振り返っては、何度もシャッターを切りつつ。綺麗な沢を下っていく。
落ち口の手前の左岸に緩やかなガレ場(草付き)があったので、もしかして大高巻きの安全な道かも知れないと思って登って見たけれど、明確な踏み跡はないし見える崖は高くなる一方で諦めました。容易と言える巻き道はどこにあるやら。

安全な踏み跡は見つけられないし時間も迫ってる事から、往き同様の落ち口トラバース道に入った。
ロープはあると言っても、掴んでいたロープから手を離したら一瞬で飛んでしまうので、命綱としてスリングをフリクションノットでハーネスにつけて、安全策でトラバースの危険個所を越えた。落ちる心配はないと言っても高さに対しての恐怖感はヤバいです。

すぐに滝見テラス、F1を横目に斜面を下っていき、綺麗な水を楽しみ、そして別れを惜しみながら笠谷を下っていき時刻は13時になって、同時に雨がポツポツと降り始めた。天気予報サイトSCWすげえ! こんなバッチリ予報通りに降り始めるとは驚いちゃいました。

やや雨に打たれながら林道終点まで戻ってこれて、上だけカッパを着て寡黙に藪こぎの林道歩き。

帰りも同じくらい時間掛かってるけど、なんか往きよりは楽に歩けた。滝のパワーを貰ったからでしょうね。



8:40 林道終点
9:00 笠谷F1(笠谷大滝)
9:25 高巻き始め
9:55 笠谷F1 落ち口
10:05 笠谷F2(洞穴滝)
11:20 出発
(巻き道ないか探索)
12:50 笠谷F1
13:10 林道終点
16:20 林道ゲート前 取水施設 到着

沿面距離 21.53km

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