三ツ釜





所在地
新潟県十日町市

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
現地へ 苗場山の北面、釜川の上流にある滝。泳ぎ有の沢登りで出会える。
訪問日 2019年7月27日

計画してはうまく行かず、また来年、また来年と延びに延びて気付けば元号が令和に変わってて、ようやく実現しました。

この三ツ釜の美しさを是非とも肌で感じてみたかったんですよ。
今までの滝巡りの中では非常に難しい部類に入る道中にビビるものがありますが、それ以上に三ツ釜に会いたい気持ちが強かったです。
そして挑んだ道中、予想以上に大変でした。むしろ自分の限界を越えたヤバい滝巡りとなりました。

数日前から左肩が何をしなくても痛いし、ちょっとでも上げると痛みでウッて声が出てしまう。整形外科に行ったら五十肩ですって。四十代なんだから四十肩って言って欲しかった。
注射打ってもらって、痛み止めを飲んでとりあえず肩を上げても大丈夫になったので一安心。これなら何とかなると自宅を出発。

武蔵浦和の駅で江戸切子さんと落ち合い、関越道で一気に北上。
塩沢道路ステーションで仮眠しつつ、あっきーさん・はんぺんさんと合流。

ニューグリーンピア津南スキー場を通り過ぎて林道を南進。
途中からダート道になりますがフラットで走りやすいです。
ゲートが現れ、そこを左に折れると広大な駐車スペースがあります。ちなみにこのゲートは鍵が掛かってる訳ではなく、工具を用いて開ける雲竜瀑タイプのゲート(理解できる人は相当マニアック)です。


ここで準備をして、釜川の取水提への仕事道を下りて行くと沢登りのスタートです。


水量豊富な沢でよくよく濡れながらの歩き。モンベルのラバーソールは相性が悪いみたいでヌルヌル滑って苦労してました。フェルトの方が良いみたいです。

最初は大岩群。平屋くらいの大岩が積み重なっていて、適当に歩いていると行き詰まって元に戻される。どこを進めば大岩を越えられるのか考えて行動するのは楽しいが、時間は消費させられる。

それが終わると谷が狭まると同時に側壁が高くなっていく。ゴルジュだったり滝だったりの始まりです。
この谷のメインは泳ぎです。泳がないと先に進めない沢なのです。自分にとって初となる泳ぎを主とする滝巡りです。溺れないか心配ですし、皆さんの迷惑にならないようにと気合いを入れますが、やはり緊張感がハンパない。


深い谷が現れて、最初の泳ぎ。防水パッキングに問題無い事を信じて覚悟を決めて浸水。太もも、ち○ち○、腰、胸と体が水で圧迫されていくとザック(防水パッキング)の浮力で溺れる心配は消え去った。
浮き輪を背負ってる感じになってちょっと安心。でもバランスを保持出来ないでアワアワしてしまう。

なる程、これが泳ぎ有りの沢登りか、怖いけど楽しい。楽しいけど怖い。気持ちも浮き沈みしながら最初の泳ぎを終える。とにかくメガネを外したり付けたりが面倒くさい事は理解した。

この先も内容充実な沢登りが続く。あまりにも濃厚な谷のパフォーマンスに気持ちがついて行かない。
あっという間に時間が過ぎていく。小滝や淵、その一つ一つを越えていくのに時間を要する。予想以上に時間を奪われるが距離は稼げていない。この谷はやはりハードモードです。


さて長い瀞が現れて、ここが泳ぎのメインと言えます。左岸沿いに進んで、ヘツリながら前進する様。プカプカ浮かびながら小滝へ近付いていくと水流に戻されてしまった。泳ぎはあまり得意でないので、ここは大変で、なんとか岩を掴んで体を押し込む感じでクリアしました。流れるプールで逆らって歩いた時と同じくらいの強さでした。

ここを越えると泳ぎは終了です。


あとは小滝を越えたり巻いたりしていくと何人も寄せ付けない壁が出てきて、ついに三ツ釜に到着です。


蟻地獄のようなすり鉢状の岩盤を逆らわずに滑らかに落ちる水の流動感と白さは美を追求し尽くしたかのような仕上がりになっていて、噂に違わぬ綺麗さに感激。

美しさには癒しの効果があると思っているので、対面した際は心安らぐ落ち着いた感情になるだろうと思ってましたが、全く違いました。


すっげー! すっげー! って子供のようにはしゃいでました。こんな感情になるとは自分でもビックリです。
おそらく、そのすり鉢状が子供の頃の公園にあった蟻地獄的な遊具に似ていたから、つい童心に帰ってしまったのかなと思います。
特異な景観の美しさには本当に惚れ惚れしました。

ここを高巻かないとヤド沢に入れず、このすり鉢を越えるのは難関です。もう難所ばかりでどれが難しくてどれが怖かったのかいまいち覚えていませんが、ここの巻きは怖かったのでよく覚えています。


右側の背骨のようなリッジを上がって行かなければならない。最初はグリップよく軽快に登って行くけど、途中からは高度感による恐怖から体が硬直するし、引っ掛けた凹凸が剥がれるし砂利に乗って滑るしで、ネチネチ文句言ってくる上司みたいでイヤらしい感じでした。
 
何とか藪木を掴んだら無事にクリア。そして対面する上段もまた素晴らしい!


ここは左俣の千倉沢と、右俣のヤド沢の出合いであり、二つの沢がこのすり鉢で合流する夫婦の形態なんです。それがレースのカーテンのように広がって、更に深い釜を作って出合うなんて素敵過ぎる。
正に出会った瞬間、深い仲って感じで、この場所こそ「恋人の聖地」として鐘を設置して貰いたいと思いました。

ちなみに、はんぺんさんが「寝てるスヌーピー」のようだと表現してて、そう見るとどことなくそう思えてくる面白さもありました。


この出合の滝を、踏み跡を利用して越えると、真ん丸の釜がクッキリ見えるし、すり鉢の大きさがよく分かって感激。見下ろす姿も美しい。どこを捉えても全てが美しい。頑張ってここまで来た甲斐がありました。

さあ、存分に聖地を楽しんだら、テンション上がった状態で右俣のヤド沢に入りますよ。

6:50 ゲート前駐車場 出発
7:05 取水堤
9:40 @綺麗な小滝
10:20 A左の溝を上がる小滝
11:05 B長い瀞
11:30 Cひとまたぎ
11:50 三ツ釜・下段
12:40 出発
12:50 三ツ釜・上段
13:20 出発
 ↓ ヤド沢大滝

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