朱滝


所在地
福島県北塩原村

地理院地図 (←クリックすると国土地理院のHPにて位置を確認できます)
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆◆
現地へ 裏磐梯の東部。県道70号で中津川レストハウスを起点とする。基本は中津川渓谷を遡行(危険)し、二泊三日で出会える滝。

変則的として、朱滝だけを見るならば、@吾妻山神社まで登山道を進んでから向かう。A北部にある天元台スキー場のリフトを利用して中津川を下る方法もある。どちらも日帰りは難しく一泊二日が必要
訪問日 2018年9月24日
2018年

神楽滝からの続きです。

朝、気温はそれ程下がらず、凍えるような寒さはなく明るくなってから起床。
山泊の朝はどうもグダグダしてしまう。焚き火起こして、朝ご飯食べて、片付けしてると7時になってしまった。もっと早く出発しないと時間が勿体ないですよね。
朝の打ち合わせで、不忘滝を遠望だけでも見れるなら見ようという話でまとまり、右岸に向かいます。

幕営地のちょうど対岸から、とりあえず右岸に入ってみると、踏み跡と思われる草が生えてない斜面があり、それを辿っていくと水が流れ始めました。中津川に合流する時には伏流になっていたようですが、斜面を上がるにつれて明確な枝沢に変わっていきました。

枝沢はグズグズな斜面ではあるけれど、藪がないので気軽に上がっていけます。

優しい斜面を標高で30〜40mくらい上がると、枝沢は高さ10m程の滝となって行く手を阻みました。不亡滝の崖上まで高巻くにはまだまだ高さが足りない。この滝の上に行かなければなりません。

滝の真下に立つと左手(南側)に泥斜面があって、踏み跡が続いているのが見えたのでそちらへ向かいます。踏ん張りは効きづらく滑ってしまうので、四つん這いのような感じでジリジリと上がって行きました。

すると目の前には岩壁が見え、階段状に上がっていけるように見えました。この岩壁の上に行ければ枝沢の滝の上に行けるのは間違いないのですが、取っ掛かりだけがホールド乏しくよく滑るため登るのに凄く苦労しました。

滝を越えて、再び枝沢の水流の中を登っていきます。もう北に向けて進路を変えても良い高さまで上がってきたけれど、枝沢以外は藪が濃すぎて突っ込む気になれません。

どうしたものかと思いつつまだ登っていくと新たな側壁が現れました。不忘滝を形成する側壁は二段になっている事が分かりました。

現在は段と段の中間地点にいます。枝沢をそのまま上がっていけば上段も越えられるようなので、とりあえず更に登ってみましたが水が減るのと反比例して藪が増えてきたので一旦ストップ。このまま上の側壁をも越えてしまうと超大高巻きで滝が見れないと判断し、せっかく登ったけれど枝沢を下りました。


中間地点まで下がって戻ると上段側壁が立ち上がってる縁だけは藪は薄くなっているのが見えました。

この上段側壁に触れられたのが幸運でした。左手で岩壁を触り、なぞるように進んで行くと藪こぎを強いられずに北上出来て、久しく聞いていなかった中津川本流の水の音が耳に入ってきました。というかこの轟音は熊落滝だろうと分かります。

相変わらず岩壁を触り続けて進みます。時折アップダウンがあるけれど、藪が薄いのでわりかし気軽に進んで行くと、対岸に直瀑が見えました。

岩壁からは水が染み出てきて、それが下方にある崖に吸い込まれていきます。この染み出した枝沢は熊落滝の下から見えた、右岸側にあった二本の水量少ない枝沢の滝でしょう。

水と共に斜面を下りていき崖っぷちに向かう。不忘滝の姿が大きくなってきます。やや右手、南へ太い木を頼りに進むと全体像が見えました。

くり抜いたように滝を覆う岩盤は綺麗に垂直に伸びている。滝壺には白煙が怒涛のごとく乱れ飛んでいるのが分かる。遠くからでも迫力が伝わってきます。

岩盤は上から見るとまさしく"C"の形状をしていて、開いた口の部分は熊落滝の落ち口になっています。

下から見上げても、上から覗いても凄い威圧感。高さ40mと言われている不忘滝なので、今自分は50mほど垂直壁の崖っぷちに立っているのだと思うと怖くて足が震える。
左手で掴んでいる木を離すことが出来ない。右手でコンデジを操作するのが精一杯でしたが、どえらいもんを見れて感激でした。

高さの恐怖で心臓がバクバク鳴る中、取り囲んでいる上段の岩盤まで戻り安全な場所で一呼吸して、再び左手で岩盤を触りながら落ち口を目指します。

二本目の枝沢を通過したら上段の岩盤は途切れるので、あとはなだらかな尾根のような斜面を下って行って、不忘滝の上流にある5m滝の前に着地出来て、無事に高巻きを終えました。

快適な中津川の遡行を続けてると、右岸から綺麗な滝が現れました。この辺りの右岸壁にはフレッシュな水が滴り落ちているので、ペットボトルに補給します。沢登りは水に困らないので安心です。

更に進むと右岸から水量は少ないが高い滝が二本、本流に20m程の滝が現れました。筋滝です。

この滝には驚かされました。朱滝の為の通過点としか考えてませんでしたが、本流と枝沢で構成されるワイドビジョンな三本の滝は、想像よりも大きくて幅広で、この滝の為にここまで遡ってきたとしても存分に満足して帰れるくらいトキメいた滝でした。

中津川には脇役がいない。どれもが主役。さすが沢ヤさんに愛される名渓です。

筋滝は右壁を直登するのが一般的なようですが、自分にはとても登れる気がしないので、少し戻って左岸の斜面を上がり高巻きました。

踏み跡などはなかったですが、適度にある藪を持ちながら上がれるので安心の巻きです。

ここから渓相が朱滝の準備に入ります。周囲の岩肌が赤くなってくるのです。胸くらいまで浸かったミニゴルジュを抜けると更に火山の雰囲気が出てきます。
地形図にもある右岸の滝マークを過ぎると左岸にピンクテープと笹藪の中に踏み跡が見えました。

そうそう、これが昨年の下降したルートだ。懐かしい。

ここまで来れば朱滝までもう難所はない。のんびり進んでいく。

朱滝到着の前にまた一つ、見覚えのある光景が目の前に。焚き火をして寒さに耐えたあの夜の場所に着きました。そうだ、ここだ、この岩に寄りかかってジッとしていたんだ。

こんにちは、昨年の耐えていた自分。今年は軽快にここまで来れたよ。

そして朱滝の滝前。
対峙して分かる事。朱滝は別格。

ここまでの道中、中津川で出会った滝はどれも素晴らしい滝である事は間違いありません。神楽滝では滝満足ゲージが100%を振り切ったのでもう下山しよっかなって心底思ったくらい感動しました。

朱滝に会えずに下山になっても充足してるからまあいいやと思っていました。でも違うんですね。朱滝はこれまで遡行して出会ってきた中津川の滝の、どれもが霞んでしまうような迫力と美しさも持っています。やっぱり中津川の主瀑は朱滝なんですね。

昨年は自重した裏見に挑戦。左岸から滝壺の淵を進んでいくと簡単に裏に入れました。

細かな粒子が崖から飛び跳ねて滝壺に落ちていくのがよく分かる。楽しい空間です。今日も青空がある良い天気で気温も上がっているので、裏から飛沫を浴びまくっても極端に寒くないのも幸いでした。

目標にしていた裏見が出来て、やっと宿題を終えました。

時間を見ると12時30分。どうやって下山するか三浦さんと協議する。

このまま遡行して中津川を詰めて、西吾妻山からグランデコスキー場のゴンドラを利用して楽して下山が一番の希望でしたが、ゴンドラの最終は16時のようで、とてもじゃないけど間に合わない。スキー場を歩いて帰る事になるでしょう。

それでも構わないけど、どうせ歩いて帰るなら距離は短く早く帰れる方が良いと言うことで、昨年と同じ神社登山道を利用して中津川レストハウスに向かう事にしました。

まずは朱滝を高巻くように左岸の高台に乗らないと行けません。
昨年使ったピンクテープのある草付き斜面よりも、より上流にある細い流れの枝沢を選択してみました。対岸の右岸にも同じくらいの枝沢が中津川に流入しているので、それが目印となっています。

斜度は程々だけど浮いている岩が多くて落石が心配。30〜40mくらい枝沢を登った所で5mの滝が現れて、右側からやり過ごす。この辺りは傾斜が厳しく足だけでは登れない。木の枝や根っこを掴んでヨッコラショっと上がって行く。

この巻きの景色、なんか見覚えがあります。昨年もこの枝沢を下りて、滝が出て来たから諦めた場所でした。
登るのと降るのでは選択が変わる。下りる方が難しいんだなとよく理解出来ました。

無事に平坦な大地について、あとはGPSを頼りに神社登山道に向かう。権現沢に下りる手前の激藪地点では昨年に自分が巻いたピンクテープが見つかって、そのお陰で藪漕ぎが少し楽になった。この辺りのルート取りや時間の予測は出来ているので気軽に行動出来た。昨年の苦い経験が活かされました。

あとはひたすら下山。林道に着いた頃に日没になり、闇夜の中をヘッドライトを点けて寡黙に歩く。
一度だけ、真っ暗のなかで左腕をポンポンと叩かれた気がしてかなりビビりました。あれは何だったのだろうか。

トンネル手前で斜面を下りて、中津川を右岸から左岸へと渡り、あとは観光路を利用して中津川レストハウスに到着。

そこから自分の車でグランデコスキー場の手前まで走り、三浦さんの車のあるアプローチ起点となった広場に着く。

どちらに下山するか最初から流動的に選択する予定で、その為に車を別々の所(グランデコスキー場と中津川レストハウス)に置きました。車が複数台あるとこのように行動状況によって下山路を選択出来るのは利点ですね。

昨年から行きたくて悶々としていた中津川、9月初旬に行く予定が雨で延期になったけど、無事に行けて良かった。そして物凄〜く楽しかった!

メインの滝に会うまでの道中とは、我慢と忍耐の連続と思っていますが、ここは違いました。主役を張れる滝がゴンゴン出てきて、その度にストーリーが変化して興奮しまくりました。

これと同じようにワクワクする映画があります。歴代のプリキュアのヒロインが一斉に集まる映画「プリキュアオールスターズ」シリーズを観てる気分でした。
『ぷいきゅあ〜 がんばえ〜!』

7:00 出発
8:30 不忘滝を俯瞰
9:10 高巻き終了
9:30 筋滝
10:40 朱滝
11:25 出発
13:50 登山道終点(吾妻山神社)
17:30 登山道 起点
18:45 中津川レストハウス

コメント 2017年

沢登りで一泊二日以上、難所も多くかなり危険であり上級者向けなので、自分では出会えないと諦めていた滝です。
でも沢登りをせず、日帰りで目指そうというプランを聞き、参加させて頂きました。

中津川レストハウスで皆様と集合。初めましての方と滝巡りするのはいつぶりか。
そこから出発して吾妻山神社の参道という名の登山道を目指し、地形図に描かれている実線と波線の道を利用して歩き始めです。
意気揚々と出発するものの、最初から躓いてしまいました。なぜか中津川に着いてしまった。引き返して林道を辿るも地形図に描かれていない道が沢山あるし林道が途中で消えたとかそんなハプニングで初っ端から時間を奪われて、とりあえず神社登山道の起点に到着。

ちなみにこの時点で藪漕ぎを強いられ、そのせいで長年使用していた熊鈴とガチャピンのカラビナを紛失してしまいました。愛着あったからとても悲しかったです。

ここからひたすら登山道を北上です。長いです、とても。急勾配の登りがしんどいです、マジで。でも道が一本道で迷いようがないのでとにかく歩いていれば良いのでその点は気楽でした。

およそ3時間30分かかって登山道の終点に到着。社があると思ってたのですが建物は何もなくてガッカリ。でも御神体(?)の温泉に触れられて嬉しい。

さてここから朱滝まで直線では1kmくらい。左岸の平坦な台地を行けば落ち口まではスムーズに行けるはず。

問題は藪の濃さと、台地に上がるまでの斜面の難易度です。
どちらも容易であれば時間短縮になるのは間違いないですが、どちらも難儀であれば中々に厳しい。
さあ、どうでるか? 正解は「どちらも難儀」でした。

まず、ここから流れを簡単に整理します。
@崖上の平坦な台地に乗る。
A台地から朱滝の落ち口を目指す。
B落ち口から朱滝の高巻き道を見つける。
C高巻き道を下降し、滝前へ。

登山道終点の目の前の北面は崖です。この崖の上のもう一つ上が平坦な台地です。予想以上に威圧感のある崖にビビりますが越えなければならないので行動開始。

まずは@の崖上に行かなければ何も始まらない。
見た限り、崖は2段になっている様子。とりあえず神社前の東から西に流れる権現沢を登っていく。ある程度登っていくと上部にある2段目の崖が見えてきます。権現沢の右岸が平坦になったのを頃合いとして、ここから沢を離れて神社の崖の方へ向かいます。
理想は高度を変えずに移動して神社の崖上に出られれば良いけど……
2段目の崖沿いに藪を漕ぎながら北西方面に進んで行くと、神社の崖が現れます。予想に反してスムーズにとは行かず、ちょっとしたガレ場を踏ん張りながら上がる。
無事に崖上に出られたけれど、平坦の台地はまだ遠い。西に進みたいが藪が濃いし斜面も急で向かう気になれず、藪の薄い急斜面を北に登って行きました。

これで2段目の崖上に出れて、なんとか平坦な台地へと踏み入れました。しかし神社からここまでは予想以上に時間が掛かってしまった。進退伺いの打ち合わせをして、14時までに滝へのアプローチが見つけられなければ撤退しようと決定。

さてA。落ち口を目指そう。でもここからの藪は非常に濃い。油断してると仲間が見えなくなってしまう。帰路の事を考えてピンクテープを巻き付けて進みます。

相変わらず藪というものには辟易する。今回も痛い目にあいました。

掻き分けた枝がメガネを飛ばし、慌てて探そうと枝から手を離したら、跳ね返って戻ってきた枝が右の眼球にヒット。猛烈に痛い。
幸いにメガネはすぐに見つかってホッとしましたが、なんか視界がおかしい。
周りが霞んで見える。というか右と左で見え方が違う。藪に衝撃を受けた右目だけで見ると滲んでいる。すぐ目の前にいる仲間の顔も朧にしか見えない。画像で見た事がある0.01の人の世界と同じ感じだ(自分の裸眼が0.2、眼鏡で1.0)
両目で見るとくっきりと朧が重なって距離感が全然掴めない。
そんな中、変わらずに進んでいると折れて尖っている太い枝に気付かず突進していき胸を突き刺された。ゲフッと一瞬息が止まった。
胸が痛くて、目が見えない。
あれ? なんかこんな状態に覚えがあるぞ。
彼女の事を思うと胸が痛くなり、周りが見えなくなって突き進んだ衝動。それと一緒だ。

はっ! もしかして私……、恋してる!? 「恋は盲目」ってことぉ!? 藪がこいって「濃い」ではなく「恋」ってことなのぉ?
んなこたぁない。そんなアホな事を考えられるならまだ余裕はある証拠かなと、痛みに耐えつつ朱滝に恋する自分は相変わらず藪に突進を続ける。

権現沢の右岸から伸びる枝沢(水線なし)を越えると藪は薄くなりスピードが上がりました。GPSで位置を確認しながら、ちょうど朱滝の真横に来れたと足を止めると、木に鉄板が張り付けられている。文字は消えているけれど昔の登山道だった頃の案内でしょう。今では道は完全に喪失していますが。

ここから西へ、斜面を下りていくと落ち口が見えました。ストンと切れている水際を見ると下腹部がキューってなりますよね。

Bに移ります。滝の姿を確認したらその付近に沢ヤさんが辿った高巻き道があるだろうし、それを辿れば滝前に下りられるだろうと予想していました。

しかし、だろう運転はやはり良くないです。

踏み跡が全然見えません。

落ち口付近から見ると周囲は絶壁で滝前に下りられる斜面は皆無。
下流側へトラバースをしつつ、絶壁を伺う。行けそうな小尾根を下りてみるが途中からストンと切れ落ちている。付近に踏み跡がないかと周囲を伺うがそれも見えない。

これではダメだと登り返し、トラバース。また下りてみる。それの繰り返し。

トラバースは平坦な台地と違って斜度もあるし、藪も濃い。ここに来て時間だけが虚しく過ぎていく。

150m程も下流側へトラバースをした頃、ついに当初から決めていた引き返しの時刻である14時になってしまいました。でも、それとほぼ同時に中津川に下りられそうな枝沢を見つけたんです。

散り散りになって下降点を探していた皆が集まって顔を合わす。下りれば滝に行けるだろうが、予想以上に苦労しているので滝に行ったのなら日没を迎えるのは必然。下りるならばビバークは覚悟しなければなりません。
自分の荷物を確認。パンが5個と非常食の菓子が1つ。あと塩飴が10個ほど。そういえば早朝に西友で買った納豆巻き(まずかった)とサーモン巻きを車内で食べた以降、道中では何も口に入れてなかった。でもお腹空いてないからまあいいか。

これならば自分はビバークして明日に下山してもシャリバテにはならず何とかなるだろうと判断し朱滝を目指す側に挙手。

6人の内、2人は下山を選択された。やむを得ないが出来れば全員で行きたかったな。

4人となって中津川を目指すべく下降を始めます。

しかし、見つけたと思った斜面は途中で崖になり、これまた徒労に終わる。

もう一度、下流側に向かいなだらかな枝沢を見つけ、ここを下りてみる。これでも無理であれば滝を見れずビバークという踏んだり蹴ったりの状況になっちゃうなぁと嫌な事を考える。時間的にもこれが最後のアプローチになるだろうと覚悟を決める。

枝沢は割とすぐに滝となって下りられず、左岸の小尾根に乗って下る。やがて小尾根も突端が崖となって進めなくなったので、その左に見える草付きのルンゼを下りる。

ここは岩盤の上に泥が乗った登り返しの難しい草付き斜面なので、ロープを下ろし帰路の為に残置。

30mロープを掴んで滑りながら下りていくと藪に突入。掻き分けて進むと目の前にやっと中津川が見えました。

最後は3m程の岩壁だったのでここでもロープを出して、ようやく平坦な台地からの下降アプローチを終えました。

あとは難しい所はありません。靴を沢靴に履き替えて遡行して、朱滝を真正面に捉えました。

左右に絶壁を構えた大きな滝。幾多の滝を乗り越えて来た沢ヤさんだけが見れる世界。人目に晒されることが一切ない孤高の戦士。

幅広の直瀑は中間で岩盤に当たって水を散開し、更に幅広となって滝壺に落ちる。その水滴は限りなく細かく、極上の飛沫を生んでいます。

やや強めの滝風と飛沫を全身に浴びると、爽快感に震えるものがありました。

幅広になる事で、滝の形はより一層素晴らしさを増しています。末広がりの姿は発展と繁栄の象徴で非常に有難い。力強く、かつ美しい。簡単に行ける滝ではなく、苦労を重ねて辿りつける朱滝は確かにその価値はありました。感動と快感に感謝。

喜びはマックスと言いたいけれど、全員で滝の感動を分かち合えなかったのは悔しいですね。

滝との対峙は終えた。でも自宅に帰るまでが滝巡りです。まだまだまだ終わりません。これからこの場で夜を耐えねばなりません。

滝前から50mほど離れた岸をビバーク地として、焚火のための枝を集めます。明るい内に寝泊りの準備をしたい為、慌ただしいです。

相変わらず焚火は難しい。というか昨日買ったばかりのライターがあっさり壊れたのにはショックを受けました。

地形図を印刷した紙を燃やし、でも火は起きず。タオル、軍手を投入してようやく燃え広がってくれました。
もしも火がつかなければ深夜の寒さを耐えるのは厳しかったと思うので想像するとゾッとします。いつでもどこでも焚火をつけられる練習をしないとダメですね。これは生死に関わるので滝巡りよりも最優先に時間を使って習得したいと思います。

闇が近づいてくる。エマージェンシーシートに包まり焚火前で目を瞑る。疲れているからすぐに寝入るがふと寒さで目覚めてしまう。時計を見ると20分しか過ぎていない。震えた体を起こし焚火に当たって温めて、再び眠る。でも長くは寝続けられない。疲労から足が攣ったり、持病のある左膝が痛み出して起きた時もありました。

見上げると星空、聞こえるのは中津川の流れと焚火の音。振り返ると月夜に浮かぶ朱滝。素晴らしい空間にいるのだと幸せを感じるものの、疲労と寒さに耐えるのが酷で楽しめない。長距離の飛行機、狭い椅子にジッと耐えている時と同じ気分です。

白い吐息が出る。10℃以下になっているのかな。薪が足らずに何度かヘッドライトを利用して探し歩くのもしんどかったです。

丑三つ時になると月が朱滝を照らしました。もしかしてムーンボウが撮影出来るんじゃないのと思いましたが、カメラを取り出す気力は失せていました。今思えば頑張って撮影すれば良かったなと後悔が募りますが、あの時はジッとしているだけで精一杯でした。

朝、周りが見えてきて、活動出来る頃合いに。でも震える体は焚火前から動けず、下山開始は6時頃になりました。

心配だった右目はとりあえずでも寝れた事で回復したようで無事にはっきりと見えるようになって一安心。
視力が回復したのは朗報だけど、体力はそうは行かないものですね。

草付きの登り返しは泥が予想以上に踏ん張りが利かず、苦労しました。

藪の掻き分けもしんどい。神社登山道はとにかく長く、我慢と忍耐の歩き。あまりにも眠く、歩いていても夢見に入っているような状態でふらふら。休憩時はすぐに寝入るがハエが取りついてきて落ち着いて仮眠も出来ないうざったさ。

それでも4人、全員無事に駐車場に帰ってこれました。到着は日没前。丸一日の仕事になっちゃいました。

解散して、日帰り温泉に入る。鏡を見ると肋骨が浮いていて2キロも痩せていました。ここまで苦労するとは、ホント予想以上でしたね。

今回の計画を立てて頂いた三浦さんに感謝の意を示します。苦労しましたがとても楽しい二日間でした。


追伸
脇腹にダニというお土産を朱滝から頂いた旨、お伝え申し上げます。


6:30 中津川レストハウス 出発
7:25 吾妻山神社 登山道 起点
11:00 登山道 終点(権現沢との出合・吾妻山神社)
12:15 平坦な台地
13:25 朱滝 落ち口
15:25 中津川へ下降開始
16:40 朱滝

――滝前でビバーク――

6:10 滝前 出発
8:15 平坦な台地
11:20 登山道 終点(吾妻山神社)
16:45 吾妻山神社 登山道 起点
18:00 中津川レストハウス

他写真
訪問日 2017/09/09

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