渋沢大滝

Data 住所 檜枝岐村
評価(5段階) ★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆
現地へ 尾瀬の北部。国道352号の小沢平駐車場で停めて、登山道を南進。渋沢温泉小屋を経て滝に向かう。徒歩2時間ほど。
2023年7月

2023年の三条の滝の続きです。
「うさぎ田代」の分岐から渋沢大滝に向かうのは初めてです。
かと言っても尾瀬らしい景観が広がる訳ではなく、普通の地味な登山道を歩くだけです。

下って下って、渋沢小屋との分岐点に到着。


あれ? 案内がない。

あるのは通行止めを示唆するピンと張った虎ロープのみ。
どうした事かしらと虎ロープを跨いで渋沢大滝方面に進みます。

すぐに渋沢温泉小屋が現れるはずだけど、


あれ? 小屋がない。

あるのは平地。建物が撤去されていました。

更に右岸に渡る橋もなくなっている。ピンクテープの案内も全然見つからない。
これはもう整備する気なしだな。人が来ることは少ないでしょうから、月日とともに踏み跡も消えてしまう恐れ大です。

渋沢温泉小屋跡地から、新しい踏み跡が左岸に伸びていたので、それを辿ってみました。
行けるところまで左岸で行ってみるかと進んでいたら、気付いたら草付きの岩壁の中に侵入してしまい立往生。
ここからの脱出はちょいと疲れた。

“小屋跡からは右岸に渡る”
これ絶対に覚えておきましょう。試験に出ますよ。

しかし登山道があるはずの右岸に行ってみたもの、明確な道は全く分からない。
なんとなくそれらしき踏み跡を辿るも、荒れていて歩きづらい。

途中から沢沿いを進んだりして、ようやく滝前に到着。
温泉小屋跡から実に70分掛かっていた。

以前、まだちゃんと案内がある登山道だった頃に訪問した時には温泉小屋から30分で到着している。
左岸岩壁でのトラブルがあったものの、まさか倍以上の時間を奪われるとは驚きだ。道の有無でこれだけ変化するものなのね。
潔く沢登りで向かった方が楽だし早かったように思えます。


滝前は穏やか。

大きな落差で迫力はあるが、ここの滝は静かで優しい。

三条の滝から歩きっぱなしだし、この滝まで予想以上に右往左往させられたので疲労が蓄積されており、あまり楽しむ余裕が無かった。

タカヒロさんは重いロープを背負って来ているので相当疲労されている。ほんとお疲れ様です。

フグさんの集中力は半端ない。僕ら二人と比べて圧倒的に元気。
せっかくだからと滝壺に中に入ってモロに滝に打たれながらハイテンションに奇声を上げていた。


滝を全身で楽しんでいる。滝の中に入って楽しむ人を初めて見た。
キャニオニングの世界にどっぷり浸かっている方なので、滝は遊ぶ対象なんだと思う。

滝は癒しであり被写体であり一歩引いて楽しむものという概念から外れている滝との接し方に驚きを隠せない。
キャニオニングというアクティビティが一般化された時代だからこそ、今までとは違う滝との楽しみ方が生まれているのだと思う。

新時代、新しい風。楽しみ方の多様性。
フグさんの行動を見て、違う視点から滝を楽しむのも良いのかなと、新しいドアが開く音が聞こえた気がしました。

人との出会いは、自分だけでは見つけられない創造と感動を生む。

おっさんになった今でも、新たな感動を探すための挑戦を忘れずに、進んでいきたいものですね。


〜〜〜〜
ちょいと脱線しますが、ジャンルの話を一つ。

鉄オタのジャンルは様々あり、「撮り鉄」「乗り鉄」「音鉄」「模型鉄」「時刻表鉄」など多岐に渡る鉄道の愛し方があるが、「撮り鉄」が圧倒的に多いと思われる。

同じように滝オタも「撮り滝」が一番多いだろう。

私はというと、勿論、撮影を楽しんでいるが一番の喜びは滝を間近で感じること。飛沫を浴びる事である。ジャンルで言えば「浴び滝」を自称している。

タカヒロさんは「撮り滝」であり、「探検滝(滝を探す喜び)」である点で共通の意識で滝の喜びを共感できる。

しかしフグさんは新たなジャンルになるのだろう。
「電車に乗るのが好きな鉄道マニア」が「乗り滝」になるが、これに近い。
まさしく滝に乗っている感じだから。

じゃあ「乗り滝」なのかというと、なんかちょっと違う。乗りなのだけど、気分上々であるノリノリの方の表現がシックリ来る。だから「ノリ滝」さんなのかな。

「撮り滝」「見滝(じっくり観賞する人」「浴び滝」「探検滝」、それに「ノリ滝」。沢山の滝の愛し方がある。これからも色々な滝マニアが生まれるだろうし、そんな新しい人と一緒に滝巡りしたいですね。

〜〜〜〜



渋沢大滝には長くは滞在出来なかった。疲労で楽しむ余裕が無かったのが一番だけど、これから先も長い距離を歩くので、ゆっくりする気持ちになれなかった。

帰路も右岸から。
下りになると視界が広がるので、なんとなく登山道が見えてくる。


フグさんがうまくルートを見つけて沢に入らずに下っていけた。
あとは小沢平まで突き進むだけ。
ほぼ平坦な道なので歩くのは容易だけど、とにかく長かった。


日没に間に合い、無事に小沢平の駐車場に到着。
朝に駐車したフグさんとタカヒロさんの車と再会。
タカヒロさんの車に乗せて頂き、御池駐車場に到着。これにて尾瀬の滝巡りが終了。
登山道ながらも、ひたすら長く疲労感たっぷりの充実した一日でした。


5:00 七入 駐車場 集合
5:25 小沢平 駐車場(準備)
6:35 御池 駐車場 出発
8:50 三条の滝 観瀑台
10:10 三条の滝 滝下
11:25 出発
13:25 うさぎ田代 分岐
14:05 渋沢温泉小屋 分岐
15:15 渋沢大滝
15:55 出発
17:50 小沢平 駐車場 到着
※休憩込み

沿面距離 17.85km


2014年9月

百選「三条の滝」の近くにあるものの、なかなか立ち寄る機会を得られず、困り果てていました。

そんな矢先、嫁さんが実家に遊びに行くと言うではないか。

おお、そうかい。じゃあ自分は滝に行ってくるよ。そう言うと「いいんじゃない。でも夕飯までには帰ってきてね」と時間の制限を宣告される。
という訳で慌ただしい1日が始まりました。

尾瀬で面倒なのは高速道路のインターから目的地までかなり離れている事。埼玉から目指すと東北道、関越道、どちらでも行けますが、どちらともに下道を遮二無二走る必要があります。

関越道から向かう方は峠道の運転がかなり面倒になるので、比較的走りやすい東北道を利用して目指します。

そしてアプローチ開始地点である小沢平の駐車場に到着。この時点で早朝5時。もうちょっと早く着きたかったのだけど、やっぱり尾瀬は遠いです。ほぼ徹夜で走ってるので途中眠くて辛かったし。

5時30分に出発。この小沢平からのアプローチのメリットはアップダウンが少ない事です。三条の滝の起点である御池の駐車場から渋沢大滝に向かうとなると高低差400m程の登り返しが必要になるので体力的にきついです。

この滝だけを目指すなら、小沢平からの方が近いし、楽です。でも複数人で三条の滝を絡めて1日滝巡りするならば、車1台を小沢平に置いて、もう1台で御池から出発し、三条の滝から渋沢大滝を目指し、小沢平に下りて置いといた車で御池に戻るのが、山道は下りだけになるので体力的にも時間的にも余裕が生まれると思います。

ほとんど休憩はなし。止まったのは汗掻いてきてシャツを脱いだときと、携帯を泥の中に落とした時の2回だけ。

しかし、とにかく長い。変化のない樹林帯の景色。右手に沢の音を聞きながら同じような所をずっと歩いているのは結構辛い。

息が切れるのも無視して、とにかく前へ前へ。時間がない、その言葉だけを呟きながら進み、ようやく目印である渋沢温泉小屋に到着。ここって宿泊出来るんですね、知らなかった。

時計を見ると6時50分。あれ、予定としてはこれくらいの時間に滝に到着するつもりだったのだが、これから更に30分も歩くってマジっすか。

まったくもって悠長にしていられない。やはり無理が有りすぎたかとまだ朝なのに既に嫁さんから怒られている自分の姿を想像し震えてくる。

渋沢温泉小屋を抜けた先の道はやや荒れているものの、迷う心配もなくいい加減にしてくれと思い詰めた頃に、滝に到着。

時間は7時20分。駐車場から110分掛かったんですね。頑張って歩いたけれど、予定では下山を始めている頃合いだ。

焦りはあるものの、呼吸を整えて滝と向き合う。
予想では男性的で荒々しい迫力を堪能出来ると思ってました。ところがどっこい優しい滝で女性性に満ち溢れていて包まれている気分。

これは意外ではあった。期待に反してという面では肩すかしを喰らった感じ。癒されるー、と気持ち良いのだけどもなんかしっくり来ない。

滝の見た目と周囲の雰囲気は直瀑。
蝶野であったり猪木だったり筋肉質の男性の姿が見える。そんな滝からはビンタを貰って気合いを入れて頂きたいものだ。
そう覚悟していざ対面したら、「お疲れさま」って笑顔で頭を撫でられたら複雑な気持ちになるでしょう。

なんか物足りない、なんか違う。でも優しい飛沫だしカッコいいし綺麗だな。
そう首を捻ったり笑顔になったり、自分の感情がよく分からない状態になりつつも写真を撮っていると簡単に30分が経過してしまう。

これはいかん、もう出発しなければ。
およそ2時間かけてここまで来たのに30分で去るのは何ともやるせない。せめて1時間は居たかった。

帰路もほとんどノンストップ。ツキヨタケという毒キノコの群生を見つけた時は足を止めてしまった。そこにまぎれていたウスヒラタケだけを持ち帰り美味しく頂きました。

駐車場に戻ってきたのは9時40分。目指すはモーカケの滝
もう一つ見たい滝があるから急ぐんだ。
他写真
訪問日 2014/09/14
2023/07/05

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