松川 支流 濁川
不帰の滝





Data 住所 蔵王町
評価(5段階) ★★★★★
難易度(5段階) ◆◆◆◆
現地へ 蔵王のお釜のすぐ東にある。蔵王エコーライン沿いにある駒草平から遠望するのが一般的。滝下には登山道から濁川に入渓して遡行。
 コメント
2020/7

再訪。良い滝は2度目でも喜びを得られます。細かな粒子の飛沫が全身を包む楽しさは何度でも興奮するでしょうね。
ルートは特に変わりなく。


最初の小滝

二つの小滝の、最初の滝。これは右壁を登りますが、前回よりも不安定でした。しっかり掴める凹凸があって、安定して置ける足場があったと記憶してますが、なんとも登り辛い。凹凸が削られたような気がします。
ちなみに直登でなくても右壁の更に右側の藪地帯には踏み跡があって、岩壁を登らずとも容易に高巻ける事を知りました。


そして二つ目の滝ですが、今回は直登はせず、その手前にある安全なガレ場を登りました。安全と言っても道ではありませんので慎重に進むのを忘れずに。落石が起こりやすいグズグズの斜面ですから同行者がいる場合、その点を一番注意しなければなりません。

ガレ場を越えれば不帰の滝の全景が見えます。うむ、絶景。

ここから斜面は緩くなりますので滝を目指して一直線です。
久しぶりの滝下。


滝前にちょっぴり違和感。確か左壁はオーバーハングした暗い空間でした。ですが、今回は非常に開放的になっていました。おそらく崩落があったんだろうと思います。今回の方がのんびり過ごせて良いですが、また変わるのでしょうね。久しぶりの訪問はそんな間違い探しのような表情の変化を見つけるのも楽しいです。


コメント
2012/8

濁川にある不帰という恐ろしい名前が付けられている滝です。

隣には三途の川が流れており、本当に帰ってこれないのではないかと不安になります。

お地蔵さんに安全祈願を終えて、まずは展望台のある駒草平へ。
ここはこれで絶景ですね。さすがの観光地です。
目指す滝を一望し、沢の下流も確認。なるほどあれが前衛の滝かと把握。
ついでに振子滝も確認。下段の滝を越えて上段滝下に行けるだろうか、ちょっと心配になる。

展望台からの観察を終えて、車に乗って東へ下ります。ほんのちょっと走らせると、蔵王寺の大きな駐車場があるので、そこで駐車。

ここから登山道を利用して賽の磧を通過して下りて行くと、濁川に入渓出来ます。
登山道と言っても、もともと車道だったようで、平坦なアスファルトでとても歩きやすいです。途中、自生している木イチゴを摘まんで食べながら川を目指します。
運搬用のワイヤーが現れると平坦なアスファルト道は終わりです。

ここから急斜面を一気に140m程下ります。帰りは登らないといけない事を思うと嫌になります。

下り立った濁川は鉄分をたっぷり含んで赤茶けており、周囲は硫黄の匂いが充満していて死の世界を連想出来ます。

滝までそれ程距離がある訳ではありません。直線距離700m程度です。新宿駅から都庁に行くのと変わらない位です。

滝までの難所は二つの小滝でしょうか。それを無事に通過出来るかが鍵です。
もしも無事では済まなかったら、隣の三途の川に移動するのでしょう。だとしたらすぐだから楽チンです。

まず一つ目の小滝。二段の滝で8m位かな。下段の右側の岩盤はホールドがしっかりしている凸凹があるのでサクッと登って藪の中へ。ここには唯一踏み跡があります。ということは結構人が入っている証拠ですね。

この踏み跡を辿れば上段の滝もまとめて越えられます。第一関門突破。

次の滝は難所です。10m程の直瀑。この滝はこれはこれで無骨でカッコいい。不帰を守る門番はさすがの威圧感です。

左壁は一つ目の二段の滝と同様にホールドがしっかりしてます。滑りもしないし指が岩に食い込み安定してます。
高さにひるむものがありましたが、左壁を直登しました。途中からは高さによる恐怖心が出てきて思うように体が動かず、へっぴり腰になってしまいました。我ながらダメダメで登り終わってから下手な登り方に猛省です。もっとクライミングを練習しないといけないですね。そんな、ヘタレでも登れるような岩壁だったのは幸いでした。

うーん、直登はちょっと・・・という方。ご安心下さい。
この直瀑が出てくる前にガレ場がありまして、それを登っていくと滝の目の前に出れます。急登になるので疲れますし落石が怖い所ですが、行けます。

えー、ガレ場はちょっと・・・という方、大丈夫です。
直瀑とガレ場の間に藪が密集していますので、その藪の根や枝を頼りに斜面を上がって越えられると思います。

げぇー、藪はちょっと・・・という方、蔵王温泉でゆっくり体を癒やして下さいね。良い温泉ですよ。

直瀑を越えたらもう目の前。草木が生えず岩だけの世界。崖がそびえ立ち、滝が飛沫を放つ。とても特殊な空間です。

初対面で失礼ながら、百選「惣滝」に似ていると思いました。
同じくらいの落差、似た岩盤、ただしこちらの方が幅広に落ちています。惣滝はIライン、不帰はAラインって感じ。
当然ながらAラインの方がワイドであり、包み込まれるかのように水が迫ってきます。

富士山や、八の字など、末広がりは見てて気持ち良いですね。ドスンと腰を落として支えているような、浮ついておらず安定感たっぷりです。
視界を覆う岩盤はむき出しで落石が怖いけれども、この滝を生んでくれたのは岩盤のおかげなので感謝せずにはいられません。

ド迫力の滝、素晴らしさに高揚し、体が自然と震えていました。

この滝の由来は、 あの山へ行った者 で帰って来た者はいないということから「かえらずの滝」と呼ばれるようになったという説と、訪れる人が帰るのを忘れて見惚れるという説(蔵王町観光協会HPより)の二つがあり、間違いなく後者だと確信しました。
帰りたくない、 ここにいたいと心底思ってしまうほど魅力たっぷりでした。

去りがたきを耐え、不帰に背を向けて右岸を登りました。
直登した所を下降するのはあまりにも怖いので、ガレ場を目指し岸壁沿いを進みました。
そこから遠望する滝姿も素敵ですね。
落石に気をつけてガレ場を下りて濁川に着水して、来たところを戻ります。

二段の滝は登り同様に右壁を下りて、入渓地点である橋が見える所まで戻ってきました。

ちょうどそこに右側から合流している沢があります。これを遡って振子滝を目指します。
距離は不帰と同じくらいですが、高低差がありますので結構登ります。しかし難所はないのでひたすら登るだけです。
2・3mの小滝がいくつも出てきます。どれも直登可能で楽しく登れます。ただ水量が少ないので、ちょっと藪に覆われて歩きづらかったです。

たどり着いた振子滝。うん、予想通り水量が少なく迫力は少ない。

いざ上段を目指し右岸から下段の滝を巻きます。岩壁に沿って登っていくと意外と簡単に越えられました。もっとびびるかと思ってましたが安全に登れてホッとしました。
滝自体は下段と同様に水量は少ないですが、開放感が半端ないです。遥か遠くに駒草平の展望台が見えます。

対岸の直立した崖は素晴らしい迫力で圧倒されます。スケールは比較できるものではありませんが、グランドキャニオンを思い出しました。

素晴らしい絶景が見れたので大変満足。体力は削られたものの、テンションは上がりっぱなしだったので、帰路の登り返しも苦にはならなかったです。

他写真
訪問日 2012/08/10
2020/07/20

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